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3/29【NOAH】稔と技巧戦…杉浦がナショナル苦闘V4 中嶋表明を即諾

『PRO WRESTLING NOAH 20th ANNIVERSARY NOAH the CHRONICLE vol.2』東京・後楽園ホール(2020年3月29日)
GHCナショナル選手権試合 ○杉浦貴vs田中稔×

 ナショナル王者・杉浦が稔との技巧戦を苦しんだ末に制してV4。試合後、中嶋勝彦の挑戦表明を即諾した。

 これまで着実に防衛を重ねてきたナショナル王者・杉浦がジュニアヘビー級の稔をV4戦で迎え撃った。同王座が“無差別級"をうたっていることに目をつけて挑戦表明した稔は、初挑戦・初戴冠を狙って関節技合戦を仕掛けると、杉浦もあえてそれに応え、ノア史上初となる無観客興行で行われた試合は激しい技巧戦になった。

 先手を取ったのは稔。ゴング直後にグラウンド戦に引きずり込み、腕ひしぎ逆十字固めに捕獲すると、たまらず場外に転落した王者にケブラーダをお見舞い。そこから左腕への一点集中攻撃に打って出た。杉浦はパワーの差を活かし、得意のエルボーで何度もねじ伏せるが、守勢に回りながらも稔は虎視眈々とチャンスをうかがい、再び腕ひしぎ逆十字固めに捕らえて杉浦を苦しめた。

 その後も稔の動きは冴え渡る。杉浦が変則的な動きからスピアーを狙ってもジャンピングハイキックで撃墜。側頭部をローキックで蹴り飛ばすと、ダイビングフットスタンプも火を噴く。杉浦は強引に雪崩式五輪予選スラムを狙ったものの、稔はコーナー上でアームロックに捕獲。ミドルキック連打で左腕を狙い撃ちにした。

 何度も苦もんした杉浦だったが、負けじと関節技で活路を開き、アンクルホールドで反攻。猛追に転じる。雪崩式ブレーンバスター、ランニングニーで畳みかけると、「終わりだ、立て!」と絶叫した。粘る稔は五輪予選スラム、ハイクラッチジャーマンを立て続けに不時着して切り返し、腕狙いと見せかけてHEATクラッチでクルリ。杉浦に揺さぶりをかけると、カウンターの右ハイキックからミノルスペシャルで勝負に出る。しかし、あえて相手の土俵に上がった杉浦はアンクルホールドで切り返し、互いに関節技を取り合うスリリングな展開に発展。ポジションが二転三転し、追い込まれる場面もあった杉浦だったが、最後は意地のアンクルホールドで絞め上げて、稔からギブアップを奪い取った。

 苦闘を制して杉浦がV4。これまでの防衛戦とは違った戦いを見せ、さらにナショナル王座の価値を上げた。そんな赤いベルトに引き寄せられるように、挑戦表明をぶち上げたのが中嶋だった。試合後、リングに上がると、「杉浦貴、防衛おめでとうございます。その赤くて美味しいベルト、シンプルに獲りたいんですよね。なので、ハッキリ言います。挑戦表明です。どうですか?」と詰め寄ったのだ。

 杉浦はテレビカメラに向けて、「視聴者の皆さん、中嶋勝彦、イエスかノーか」と問いかけ、マイクを向ける。視聴者の思いを感じ取った杉浦は「おい、イエスらしいぞ。よしやろう。思いっきりやろう。やってやるよ。場所はどこでもいい」と即決し、両者の対戦は決定的となった。

 「やっぱ上手いというか。徹底して腕攻めで、きつかったね。ヘビー級とかだとぶつかり合って体力を奪い合うような試合なんだけど、今回はちょっと違う一点集中でね。きつかったですよ」と稔との技巧戦を振り返った杉浦は、「もう1つのGHC王座だとジュニアの挑戦はなかなかできないし。そういう意味では自由なスタンスでできるんで。また違ったものを見せれるんで、よかったのかなと思います」とナショナル王座の価値向上に手応え。無観客という特異なシチュエーションでの防衛戦だからこそ余計にファンの思いを感じたようで、「人が見てくれて、応援してくれなきゃ、俺たちはリングで戦えないから。今日は会場に観客が足を運べないけども、常に感じて試合をしているんで。また会場で会いましょう。僕たちは戦い続けるんで、またよろしくお願いします」と決意を新たにした。

【試合後の杉浦】
――稔選手はどうだった?

▼杉浦「いや、やっぱ上手いというか。徹底して腕攻めで、きつかったね。ヘビー級とかだとぶつかり合って体力を奪い合うような試合なんだけど、今回はちょっと違う一点集中でね。きつかったですよ」

――このベルトだからこそできた一戦だった?

▼杉浦「そうですね。もう1つのGHC王座だとジュニアの挑戦はなかなかできないし。そういう意味では自由なスタンスでできるんで。また違ったものを見せれるんで、よかったのかなと思います」

――試合後、中嶋選手が挑戦表明してきたが?

▼杉浦「まあ、問題ないでしょ? 常にベルトを狙える位置で、うちの中で頑張ってくれているんで。出てきた時のお客さんの反応で、別にブーイングがなかったし、問題ないでしょ?」

――視聴者に呼びかけた時、「イエス」と聞こえた?

▼杉浦「会場に来たくても来れないんで、凄い楽しみで見ている視聴者がいると思うんでね。それに向かっても、参加してほしいなという気持ちもあったんで、ちょっとマイクを向けてみたんだけど。今日みたいに会場に来れなくても、どこかで見てくれているファンがいれば、俺たちはリングがあればそこで戦うんで」

――無観客というシチュエーションで戦ってみてどうだった?

▼杉浦「やってると試合に集中しているんで、あまり気にならないかな。あと、ノアのファンみんなどこかで見てくれているなって、なんか感じるんでね。それはテレビの向こう側で、ネット配信で見てくれるかもしれないけど、そういうのを凄く感じたんで。見られているという意識は凄い感じましたね」

――その見られているという意識が、思わず視聴者にイエスかノーかを問いかけることに繋がった?

▼杉浦「視聴者にも参加してほしいと思ったんで。意識するでしょ、それは。リングで試合をしている限り、やっぱ人の目を意識して試合をしているんで」

――何万、何十万という単位の目を意識せざるを得ないと?

▼杉浦「だって、人が見てくれて、応援してくれなきゃ、俺たちはリングで戦えないから。今日は会場に観客が足を運べないけども、常に感じて試合をしているんで。また会場で会いましょう。僕たちは戦い続けるんで、またよろしくお願いします」

【中嶋のコメント】
▼中嶋「もうリング上で言った通り。挑戦表明ですよ」

――赤いベルトのどういうところに興味がある?

▼中嶋「やっぱり情熱的な赤は俺によくお似合いでしょ? だから」

――最近の杉浦選手の印象は?

▼中嶋「やっぱり王者だから、相変わらず強い男だなと思いますよ。まあでも、俺とやったらどうなるんだろうね? 面白くなると思わない? ねえ、見たいでしょ? 今の俺と杉浦貴が試合をしたらどうなるか。想像つきますか? もしその想像があるとしたら、俺はその上をいってあげるよ。あんなにすんなりOKをもらえると思わなかったけど、非常に今あの赤いベルトが欲しくて、俺の身体も赤い血が騒いでますよ」

――今日は無観衆だったが、中嶋選手の耳には「イエス」という絶叫が聞こえた?

▼中嶋「それは聞くまでもないでしょう。聞こえましたよ、そりゃ。俺が愛するホーミーズ(仲間)が待っているんで。それはもうイエスしか聞こえない。まあ、俺も欲しがりな男だから、貪欲にいくよ。無観客試合、仕方ないよ。でも、俺はいつもホーミーズたちといるし、このノアのリングで変わらず暴れてやります」

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