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4/6【全日本】初の無観客興行で激闘60分 諏訪魔「勇気と這い上がる根性を伝えていきたい」

『What we can do now 「いま全日本プロレスにできること」』東京・新木場1stRING(2020年4月6日)
△諏訪魔&宮原健斗&ゼウスvsジェイク・リー&青柳優馬&石川修司△

 全日本初となった無観客試合のメインで全日本ベスト6が60分ドローの激闘を展開。5冠王者としての初陣となった諏訪魔は新型コロナウイルスの猛威にさらされる現状に「プロレスどころじゃない人だってたくさんいるんだよ。その方々に勇気と這い上がる根性だったりさ、それをリングを通して伝えていきたい」と誓った。

 新型コロナウイルスの感染拡大によってプロレス界は興行の中止、延期が相次いでいる。全日本も同様で、4月のチャンピオン・カーニバル中止を余儀なくされた。そんな非常事態の中、この日、新木場で無観客試合を実施。大会の模様は動画配信サービス「全日本プロレスTV」で生配信された。

 メインに組まれたのは諏訪魔&宮原&ゼウスと、石川&ジェイク&青柳が激突した6人タッグマッチ。現時点での全日本ベスト6といえるこの一戦はファンにメッセージを届けるような激闘となった。6人が各々持ち味を発揮。激しい攻防の連続で時間はあっという間に経過し、最後は諏訪魔と石川の暴走大巨人対決が肉弾戦でリングを揺らしてタイムアップとなった。

 無観客試合のメインは決着つかず60分フルタイムドロー。新型コロナ騒動の中、大会名にある「いま全日本プロレスにできること」を象徴するような激闘が繰り広げられた。それは阪神・淡路大震災に見舞われたばかりの95年1月の大阪大会で「小橋建太vs川田利明」の三冠戦が60分ドローの激闘を通じて被災地にメッセージを送った時を思い起こさせるものがあった。また、この日は無観客だったものの、試合を終えた選手たちが次々に客席に現れ、ファンの代わりとばかりにリング上の選手たちに声援。そしてメイン終了直後にはファンの声を代弁するかのように「ゼンニッポン」コールが発生した。

 3・23後楽園大会で史上最多7度目の三冠王座戴冠を果たした諏訪魔は5冠王としての初陣となった。自身初となる無観客試合を終え、代表してマイクを持った諏訪魔は「今日の大会は『今、全日本プロレスに何ができるのか?』っていうテーマで行われたんだけど、やっぱし俺らプロレスラーは戦って、汗かいて、みんなに感動を、そして勇気を与えたりさ。それしか俺らできないよ」とプロレスラーにできることを再認識。目を潤ませながら「プロレスどころじゃない人だってたくさんいるんだよ。その方々に勇気と這い上がる根性だったりさ、それをリングを通して伝えていきたいと思います」と誓うと、「俺たちのメッセージを受け取ってください!」と叫んで締めた。

 それは2011年に東日本大震災が発生後、新日本、ノアとの3団体共催で行われた被災地支援興行『ALL TOGETHER』の大会テーマ曲の中で諏訪魔が叫んだフレーズだった。当時と状況が違うとはいえ、諏訪魔の思いはあの時と同じ。「とにかく自粛第一だから。そこのところは肝に銘じて」と強調したうえで、興行再開の時を見据えつつ、「やっぱし俺らはプロレスしかできないね。プロレスが大好きなんだよね。みんな大好きなんだ。その気持ちを、全国の凄い大変な思いをしている方々に、なんかプラスにできないかなって思いますね」とプロレスを通じてメッセージを発信していく構えをみせた。

 一方、宮原は三冠ベルト喪失後、初の試合となった。無冠になったとはいえ、最高男はいつもと変わらず。「皆さんの今の不安な日々の中の、僕がちょっとした笑顔になれれば」との思いで2週間ぶりとなるリングに立った。締めのマイクこそ諏訪魔に譲ったものの、「チャンピオンベルトを落としてね。新たな再出発が、初めての試合が今日の無観客というのも、長い人生を考えたらたぶん意味のあること」と今の状況を前向きに捉え、「また、皆さんと普通の生活ができる状況で、プロレス会場で会えたらいいというのが僕の本音です。プロレス抜きにして、早く普通の生活ができるように、皆さんで一緒に頑張ろうというのが僕の本当の本音です」とファンに向かって訴えた。

 明日7日にも日本政府から非常事態宣言が発せられる見込み。自粛ムードはさらに高まり、興行再開の見通しも立ちそうにない。それでも諏訪魔ら全日本勢は“いまできること"を見つけ、全力で推し進めていくしかない。

【試合後の諏訪魔】
▼諏訪魔「大変な状況で無観客の試合を。しかも60分ドロー。あのメンバーで戦えたってことは、凄い大きな意味があったってのちのち思いたい。そのために、こうやって全日本プロレスの止まっていた針が動き出したわけなんで。ただね、今は世間が大変な状況にあるわけで。そこを『よし、プロレスだ』っていう風には言えないよね。だからさ、こうやって無観客だけどさ、全国に配信という形でね。見える人には見ていただきたい。そう思いますね。リング上でも言ったんだけど、プロレスってさ、そういう勇気をもらえたり、なんかこう力が出てくるものだからさ。やっぱし俺らはプロレスしかできないね。プロレスが大好きなんだよね。みんな大好きなんだ。その気持ちを、全国の凄い大変な思いをしている方々に、なんかプラスにできないかなって思いますね。それが今回の5冠になった大仕事なのかなっていう風に思ってますよ。あとはもう、俺らレスラーが率先して、この今の状況を打開できるような取り組みとかね。そういうのを率先してやることが、今後みんながまた会場に集まれることなのかな。その日を夢見てさ、またみんなでいい風に活動というか、そういう取り組みができたらなと思うよ。とにかく自粛第一だから。そこのところは肝に銘じて、しっかり環境を整えたうえで、配信していきたいね」

――大会名に「いま全日本プロレスにできること」とあったが、それをテレビの向こうのファンに見せられたという手応えはある?

▼諏訪魔「俺もこの全日本プロレスTVを通して、こういうプロレスの凄さ、楽しさ、そういうものを改めて発信できる場なんだなというのは改めて思うし、これはまだ第一歩だから。ドンドンドンドン手応えみたいなものを感じれたらなと思いますね。ただ、スゲエ声を出してくれてる人がいたりとかさ。やっぱ嬉しいよね。スゲエこみ上げるものがあった。だから、何としてもね、レスラーだからね、全員の声を皆さんに届けたいなって思いますよ。俺たちのメッセージを受け取ってくださいって」

【宮原の話】「本当に僕にとっても忘れられない60分間になりましたね。チャンピオンベルトを落としてね。新たな再出発が、初めての試合が今日の無観客というのも、長い人生を考えたらたぶん意味のあることだと思うんで。でも、今現在は世の中、何が起こるかわからない不安な日々が続いているんで、その中でこうやって無観客をやる意味というのは、僕は問い詰めながら今日を迎えたんですけど。『やる意味があるのか?』ということから僕は考えていたんですけど、世の中の人が普通の生活を過ごせてエンターテインメントっていうのは見れるものだと僕は思っているので。それは僕の信念として変わらないので。皆様が普通の生活をして、エンターテインメントは楽しめるものなんで。それは、僕らプロレスラーが独りよがりで、『プロレスを見て笑顔になってくれ』とは言えないと思って当日を迎えたんですけど、60分を終えて、このカメラの前だけでプロレスをして、カメラを通して人に何を伝えられるんだろうと思って。途中から、何か見えないお客さんがいるような…。テレビの前から応援してくれるエネルギーがブラウン管から僕の肌に感じて、45分ぐらいから。僕自身、本当に感動して。皆さんの今の不安な日々の中の、僕がちょっとした笑顔になれればいいなと思って今日は試合をしたんですけど、逆に僕も皆さんからパワーをもらって。やっぱりプロレスっていう力も今日は感じたし。それはね、これからどういう状況になるかわからないですけど、今日無観客というものでリングに立った以上は、プロのレスラーとして、皆さんの今のこの不安な日々の中の、小っちゃな笑顔になったらいいなと思ってやったんですが、全力でやれてよかったですね。ただ、僕は世の中が普通の生活をして楽しめるものがエンターテインメントだと思うので。それは変わらないので。プロレスとは関係ない、プロレスラーじゃない人間・宮原健斗からひとこと言うならば、普通の生活を送れるように、僕もいち日本人として臨んでます。そしてまた、皆さんと普通の生活ができる状況で、プロレス会場で会えたらいいというのが僕の本音です。プロレス抜きにして、早く普通の生活ができるように、皆さんで一緒に頑張ろうというのが僕の本当の本音です。本当に今日はありがとうございました」

【ゼウスの話】「今日はこういう現状の中で、無観客でも試合をする。正直、それがいいことか悪いことかというのは、自分の中でも凄い葛藤があった。けど、全日本プロレスだけが娯楽の人もいるし、凄いこの試合を楽しみにしている方もたくさんいる。本当に全日本プロレスがファンのみんなに、このギリギリの段階で楽しんでいただくために出した苦渋の決断やと思う。俺はもう、やるからには全力でやったろうと思った。全力で。それはみんなに楽しんでもらうため。けどな、やっぱり憎い憎いコロナウイルスをぶっ倒すため、全力でやったろうと思った。みんなも力を持って挑んでほしい、コロナウイルスに。絶対に無意味に外には出るな。みんなで力を合わせて、コロナウイルスぶっ倒そう。そして、平和な世の中が来た時、またたくさんのお客さんの前で最高のプロレスができることを望んでいる」

【石川の話】「こういう状況になって、なかなかお客さんの前でプロレスができる状況じゃないっていう中で、無観客でプロレスをやって、画面の前のお客さんに届いたかなと、届いてほしいなという気持ちで試合をしました。また次がどうなるかわからないですけど、全日本プロレスを守っていくために、変わらなきゃいけないところは変えていかなきゃいけないし、この全日本プロレスが大好きなんで、選手やスタッフが一丸となって守っていきたいと今日思って戦いました。これからもお客さんの前で戦う機会はなかなか厳しいかもしれないですけど、全日本プロレスを守るために精一杯自分ができることを探して、戦いたいなと思います。チャンピオン・カーニバルを優勝して、諏訪魔さんの前に立つという目標があったんですけど、今日顔が向かい合ったら、その思いがこみ上げちゃって。だいぶ最後はやられましたけど、3カウントは許さなかったので。必ず三冠ベルトは諏訪魔さんがチャンピオンのうちに挑戦したいなと思います」

【ジェイクの話】「みんな久しぶりの試合だったでしょうけど、俺は前日にやっているんでね。それはちょっと置いといて、明日明後日あたりに緊急事態宣言でしたっけ。そういうのも出て、日本は何がどう変わるのかっていうのはたぶん明日明後日にハッキリするとは思うんですけど、僕らはプロレスラーなんで。プロレスってみんなに希望とか、夢だったりとか、そういうのを提供する職業だと僕は思っているので。戦後の日本もそれで活性化したんじゃないかなと思っているんで。今はインターネットがここまで普及して、試合だけじゃなくて、いろんな媒体が出てますよね。それを僕らプロレスラーでもっとアイディアを重ねて、この状況でも楽しませることを何か提供できればなと。試合だけじゃなく、そういった意味でも全日本プロレスの選手にご期待していただければなと思ってます。だから、僕は下を向かないし、今の状況に落胆しているわけじゃないので。こういう状況だからこそできることがあると、僕は常にポジティブにプラスに考えているので。なので、これをご覧の皆さんもそういう意識で、前を向いてやっていただければ。そして、辛くなった時、ちょっと長いですけど、この60分の試合をまた映像で見返してください」

【青柳の話】「疲れますね。本当に凄いしんどいですね、プロレスって。でも、こういう時に無観客試合って初めてやりましたけど、本当に新鮮でいい経験できたかなって思います。あれだけの面子の中で、メインイベントって凄いしんどいなって感じましたけど、このしんどいっていう気持ちが、プロレスラーやってるなっていう気持ちになるんで、凄く嬉しいですね。今、あんまり大会ができないですけど、でも僕はすぐに今起きていることが終息して、また皆さんと会場で会えると思っていますんで。その日まで、皆さん今は耐えて、元気で過ごして、またメッチャ元気な姿でお互いお会いしましょう」

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