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4/19【NOAH】鼓太郎が師・小川破って万感のGHCジュニア奪取 一転和解でJr.タッグ獲りへ

『NOAH the SPIRIT 2020』会場非公表(2020年4月19日配信※TVマッチ)
GHCジュニアヘビー級選手権試合 ○鈴木鼓太郎vs小川良成×

 小川と鼓太郎による“師弟対決"GHCジュニア王座戦が『ABEMA』TVマッチのセミファイナルで実現。激闘の末、鼓太郎が王者・小川を破って3度目の戴冠に成功した。試合後にはまさかの“和解"を果たしてGHCジュニアタッグ王座再挑戦を表明し、ユニットの『STINGER』も一転継続することになった。

 故・三沢光晴さん門下の鼓太郎にとって、小川は永遠の兄貴分であり師匠格。その関係性はほぼ一貫して“共闘関係"であり、鼓太郎が確固たるステータスを築いた後も腰を据えて“対戦"することはなかった。

 一度ノアを“家出"した鼓太郎だが、戻ってきてからもSTINGERとして小川と共闘。「戻ってきたからには(兄弟子の)丸藤さん、小川さんとは必ずやりたい」意思を抱いていたが、小川との対決は叶わぬままだった。

 だが、今年初頭に小川が53歳にしてGHCジュニアを奪取。今しかないとばかりに防衛後の小川を襲って挑戦を表明し、手荒な手段に出たことも「本気の小川さんとやりたい」と説明。ところが当の小川は激怒し「もうSTINGERは終わり」「鼓太郎はパクリレスラー」と“制裁モード"に入っていた。

 微妙なスレ違いを抱えたまま、19年間の歴史が詰まった“師弟対決"によるGHCジュニア戦は、無観客のTVマッチで実現。徹底した首への一点集中攻撃で主導権を握ったのは小川だった。ヘッドロックを皮切りに、クロックヘッドシザースやスリーパー…。鼓太郎は何度も首を引き抜き、あらゆる手段を講じて反撃を試みたものの、小川は全てを先読みして鎮圧。引き出しの違いを見せつけながら、鼓太郎を精神的にもスタミナ的にも追い詰めていく。

 まるで“若手レスラー"のように小川にやり込められた鼓太郎だったが、15分過ぎに“奇策"で反撃。バックドロップ着地の際にヒザを痛めた…とみせかけてスクールボーイでクルリ。怒った小川を場外までおびき寄せるや、鉄柱を使ったファンネルを見舞うと、ダイビングエルボーもぶち込んだ。

 負けじと小川も鼓太郎のダイブ攻撃を倒れ込み式急所ニーで撃墜すると、バックドロップを連発して再攻勢。あらゆる丸め込みで何度もニアフォールまで追い詰めた。

 だが、しのぎ切った鼓太郎もカウンターのボディエルボーで逆襲するや、得意のブルーディスティニーへ。さらに小川の反撃を切り抜けながら合計3発のブルーディスティニー発射に成功だ。

 それでも小川は、フォールの瞬間を丸め込みで切り返すなど、わずかなスキも見逃さない。ならばと鼓太郎はありったけの思いをぶつけるように、三沢さん譲りのローリングエルボーを連発だ。小川も倒れない。その姿は意地になっているようにも、成長した弟分の強さを受け止めているようにもみえた。

 そしてそのまま右のエルボー4連打で遂にヒザをつかせた鼓太郎は、力の入らない小川を引きずり起こしてこん身のジャベリン(アッパー式エルボー)でカチ上げ、ついに3カウントを奪ってみせた。

 真正面から師匠を破った鼓太郎が、約1年4ヶ月ぶり3度目となるGHCジュニア王座奪取に成功。激しい息遣いのままマイクを握った新王者は、余韻に浸ることなく意外な行動に出た。

 「小川さん、本気で相手してもらってありがとうございました。今日のタイトルマッチは俺の勝ちです。俺が勝ったんで、生意気ですが、ひとつ頼み事というか、お願いを聞いてもらってもいいですか? 俺ともう一度組んで、ジュニアタッグいってください。俺のジュニア二冠に力を貸してください」と座礼で懇願し、タッグ再結成を願い出た。

 すかさず現GHCジュニアタッグ王者のHAYATA&YO-HEY組が現れ、「裏切ったり、くっついたり、いろいろして、お忙しいお二人さんでございますね。どうなんですか。組むんですか?」と詰め寄った。

 すると小川がおもむろに鼓太郎に歩み寄って握手。YO-HEYは「了解です。そういうことですね。ジュニア二冠、あなたのその野望を俺たち夫婦タッグが打ち砕いてみせますから」と迎撃を宣言し、HAYATAも「次は…鼓太郎と小川や!」と残して姿を消した。

 とはいえ、師弟対決は闘いの末に“和解"する意外な結末。小川が自らを下した弟分の腰にベルトを潔く巻くと、鼓太郎は感極まった表情をみせた。いつもは背中を向けてベルトを肩から下げる“ゲルググ・スタイル"がお決まりの鼓太郎だが、この日ばかりは腰にベルトを巻いた姿で写真撮影に応じた。

 まるで“兄弟喧嘩"を終えた兄弟のようにスッキリした表情でバックステージに戻ってきた二人は、「勝負には勝ったけど、試合では負けたなって感じですかね。ほとんどペースつかまれたし…」(鼓太郎)、「真正面から行って完敗したんで。試合後にあんなこと言われて頭下げられたら、男として断るわけにはいかなかったんで」(小川)と話した。

 解散と思われたSTINGERについても「復活でいいでしょう!」と鼓太郎。ともあれ、雨降って地固まる。亀裂どころか、さらに絆を深くした感もある鼓太郎&小川組が、再びRATEL'SのHAYATA&YO-HEYに襲いかかる。

【試合後の小川&鼓太郎】
――試合を終えて?

▼鼓太郎「ハァ…ハァ…勝負には勝ったけど、試合では負けたなって感じですかね。ほとんどペースつかまれたし…」

――小川さんとしては?

▼小川「そうだね…真正面から行って完敗したんで。試合後にあんなこと言われて頭下げられたら、男として断るわけにはいかなかったんで」

――これまでのいきさつを考えると…

▼小川「そうだね。いろいろ矛盾するところもあるかもしれないけど…」

▼鼓太郎「でも“男の喧嘩"なんてこんなもんでしょ?」

――改めて念願の小川戦だったが?

▼鼓太郎「そうですね! それで結果がついてきてくれたんで、うれしい限りですけど、やっぱり試合は持ってかれたな…っていう感じは否めないですね」

――予想以上に懐が深かった?

▼鼓太郎「深いですね。気づいたらスタミナ無くなってたんで。久々にこういう展開の試合したかな…って。いつもは俺が相手のスタミナ奪って主導権握って…って試合ばっかりで。改めて試合の中で教えてもらった…っていうか。懐かしい感じがしましたね」

――小川さんは対戦相手として鈴木鼓太郎と闘ってみて?

▼小川「負けてるからね。何も言えないし。あと俺らが向かうのはHAYATA&YO-HEYのベルトを獲ることだから」

――STINGERが復活? それともまた別なものとして生まれ変わる?

▼小川「それは鈴木くんに聞いてください!(※と言って小川だけ去る)」

▼鼓太郎「復活でいいでしょう! 誰も解散だなんて言ってないしね」

――小川さんは『もうSTINGERは終わりだ、その言葉自体、二度と使うな』と言っていた気が…

▼鼓太郎「今日は俺が勝ったんだから、俺の言うこと聞いてくれてもいいでしょー!」

――これからはSTINGERを引っ張るつもりで…?

▼鼓太郎「いや、STINGERは誰が引っ張るとかじゃないんですよ。その時、元気なヤツが引っ張ればいいんです。解散の瀬戸際でしたね! とどまった。これ(GHCジュニア)と一緒に踏みとどまらないといけないですね」

――タイトルマッチアレルギーと発言していたが、大きなタイトルマッチが終わった後に自らタイトルマッチを望んだ

▼鼓太郎「だって小川さんからベルト獲ったら、もう一個のジュニアタッグも欲しくなるよね。自分のコンディションを考えるより先に口に出ちゃったかな」

――3月末にHAYATA&YO-HEY組に敗れてジュニアタッグのベルトを失った借りもある

▼鼓太郎「小峠と組んで負けたけど、俺と小川さんでは、去年のタッグリーグでコテンパンにしてるからね。小峠にも言っとかないとね。瀬戸際でSTINGERが踏みとどまりました、って」

――いつもベルトを獲っても肩からかけるスタイルだが、この日ばかりは腰に巻いた

▼鼓太郎「そうですね。(普段はガンダムの)ゲルググ意識してるんで(笑) でも今日は小川さんが巻いてくれたから。素直にそれはうれしいですよね。何歳になっても兄弟子は兄弟子だし、教えてもらった師匠でもある方なんでね」

――過去の戴冠時とベルトの重みは違う?

▼鼓太郎「違いますね。意味合いが違うかな。やっぱり小川さんから獲るってデカいと思うんで」

――シングル王者としてどう闘っていきたい?

▼鼓太郎「また(次期挑戦者)出てこなかったな。まぁ今日はしょうがないか。(新型コロナの影響で)試合終わったら、なるべく早く帰らないといけないからね。まぁでも、記事にしろ映像にしろ、所属選手は俺のこのコメントを知るわけでしょ? だったらアクション起こしてきてもいいんじゃないの? 在宅からのツイッターとか。ちゃんとエゴサーチしてるから。鼓太郎って入れてくれたら見つけるから。…ハァハァ、つかれた…」

【HAYATA&YO-HEYのコメント】

――喧嘩していた二人が一転してチームを組んで…

▼YO-HEY「STINGER終わってまったんや…って思っとったら、また『よろしくどうぞ〜!』みたいな感じでくっついたから。またSTINGERとして活動していくかどうかは分からんけど、とりあえず鈴木鼓太郎と小川良成が次のタッグベルト狙ってくるということで。誰が相手だろうが、私たち夫婦はウエルカムですし。まぁ私の希望としては、ライオネル・リッチとシンディ・ローパー組というのが、バッと次は来てほしかったんですけど、小川&鈴木組を倒してから、ライオネル・リッチ&シンディー・ローパー“ライオネル・ローパー"を倒したいと思います」

――鼓太郎&小川組には去年のジュニアタッグリーグ戦で敗れている

▼YO-HEY「イエス。それが言いたかった。ジュニアタッグリーグ3連覇がかかった決勝戦。忘れもせんよ。相手が鈴木鼓太郎と小川良成やった。その二人に俺らの偉業を達成できなかった恨みっていうのは、やっぱりあるし。あと夫婦タッグがビュッ!となることによって、RATEL'Sもまたシュビュッ!てなるし。まだSTINGERもスッビュ!ってなるかも分からんけど、そこをRATEL'Sがまた、ビュッシュッホッ!なところを証明できると思うから。絶対あの二人、特にあの二人には負けたくない。さっきジュニアタッグのタイトルも防衛したけど、吉岡世起? 新しい杉浦軍もチュチュッ、ピュッ!くらい来とるから。その中で俺らRATEL'Sの二人が防衛していくことで、やっぱりノアジュニアはRATEL'Sや!と言わせられると思うんで。RATEL'SにSTINGER、杉浦軍に金剛いろいろあるけれども、ずば抜けたいと思っとるんで。俺ら二人が先陣を切って、カープスッ!カフッ!!くらい行きたいんで、そんなカンジです! なんかありますか? ないですか? じゃあ最後に何か言おうか」

▼HAYATA「……(※無言で去る)」

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