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6/14【NOAH】魂のGHC戦で三沢メモリアル…潮崎が齋藤下してV2 命日翌日に「前進」の誓い

『NOAH “GO FORWARD" powered by ABEMA』ノア特設アリーナ(2020年6月14日配信※TVマッチ)
○GHCヘビー級選手権試合 ○潮崎豪vs齋藤彰俊×

 ノア創始者・三沢光晴さんの命日翌日に行われたTVマッチで、王者・潮崎と挑戦者・齋藤が“魂のGHC戦"を展開。三沢さん最期のパートナー・潮崎が、最期の対戦相手・齋藤を破って2度目の防衛に成功し、涙にむせぶ齋藤とともに“魂"の継承と前進を誓った。

 三沢さんが亡くなってから13日で11年が経った。最期の試合でパートナーを務めたのが潮崎で、齋藤は対戦相手。当時の追悼大会(2009年9月27日、日本武道館)でも両雄は鎮魂のGHC戦を展開し、若き王者の潮崎に決意の白装束をまとった齋藤が挑んだ。

 三沢さんに「前進」を誓ったあの日から11年。奇しくも『GO FORWARD』(前進)と名付けられたTVマッチで、再び両雄が“GHC"の名のもとに相まみえた。

 現在は「くすぶる者たち」の思いを背負って令和の反選手会同盟を結成中の齋藤。かたや「I am NOAH」を標ぼうし、エメラルドをコスチュームを背負って新生ノアをけん引中の潮崎。先手を握ったのは、黒の道着に身を包んだ齋藤だった。鬼気迫る勢いで潮崎の右腕に殺到。場内外で徹底的にいたぶり抜いて潮崎の生命線“豪腕"を封じにかかった。

 潮崎もあえて右の逆水平を乱射して王者の意地をみせたものの、齋藤は止まらない。怒とうの裏落とし4連発や断崖式ジャーマンを強行すると、パワーボム、スイクルデス…と出し惜しみなしで一気に勝負をかけた。

 追い込まれた潮崎も、豪腕ラリアットを連発して逆襲したものの、齋藤は「まだまだぁっ!」と立ち上がりながら鬼の絶叫。逆にショートレンジ豪腕に合わせてスイクルデスを叩き込むや、亡き盟友バイソン・スミスの名を叫びながらのアイアンクロースラムへ。さらには決意に満ちた表情でのぞかせてから、三沢さんが最後に浴びた技・バックドロップを放った。

 齋藤にとっての急角度バックドロップは強烈な“勇気"を要する技。その魂を“受け止めた"潮崎は闘志十分に立ち上がるや、ランニング式スイクルデスをもキックアウト。逆に三沢さんが乗り移ったのように、齋藤のスイクルデスをエルボーで空中撃墜するや、エルボー連打からローリングエルボーのコンボ、そしてエメラルドフロウジョンへ。そして、「立て、齋藤!」と叫ぶと、意識もうろうで立ち上がった決意の挑戦者を、こん身の豪腕ラリアットでマットに沈めた。

 魂をぶつけ合った鎮魂の熱闘を制して、潮崎がGHCヘビー級王座2度目の防衛に成功。ベルトを手に仁王立ちする潮崎と、大の字のまましばらく天を見つめた齋藤。それでも先にマイクを握ったのは、齋藤のほうだった。

 「GHCヘビー級チャンピオン、潮崎豪殿。いや、シオ! ベルトはお前を選んだ。そして、負けはしたけど、効いてるけど、一言だけ言いたい。シオありがとう…ありがとう」と涙声で感謝。「これで負けたけどさ、俺、次に進むよ。次どこかで接点があったらまた戦おう。お前、最高のチャンピオンだよ。ありがとう!!」。そう言って涙に暮れながら潮崎と抱き合い、“前進"を誓った。

 潮崎も「齋藤彰俊! 齋藤さん。6月に、そしてこの日に、あなたとこのベルトを懸けて闘えたこと、誇りに思います。魂感じました。ありがとうございました」と去りゆく齋藤に深々と一礼。そして「ノアには魂のこもった闘いがあります。その魂を消さないよう、このリングは、今後もこれからもずっと! 動き続けていきます」とTVカメラに向かって誓いを立て、「画面の向こうのみんな! ノアを…ノアを見ていてくれ! 今日はありがとう。用意はいいか? このリングにはノアの選手、そして! この俺、潮崎豪がいる! I am NOAH!」と締めくくった。

 ノアを背負い続ける覚悟と、十字架を背負いながら闘い続ける覚悟。新型コロナの影響で『三沢メモリアル』は開催できなかった今年だが、覚悟と魂をぶつけ合った二人だけの“三沢メモリアル"が確かに今年も存在した。


【試合後の潮崎】
▼潮崎「ただ一言。6月のこの日にベルトを懸けて齋藤彰俊と為合(しあ)うことができて、俺はこの闘いに誇りを持ってます。齋藤彰俊としか、この試合はできなかった。その一言です」

――すべてを出して、すべてを受け止めたが、どんな気持ちが込もっていた?

▼潮崎「技に込める気持ちは、対角線に立ってる齋藤彰俊、その男を倒すため。その気持ちしか、込めることはできないよ。でも、この闘いはお互い単なる闘いじゃない。ただのGHCタイトルマッチでもない。二人にしか分からない闘い、それに込める思いをぶつけるだけでした」

――11年前の武道館から互いに紆余曲折があって、こうしてまたGHCを懸けて相まみえた

▼潮崎「そうだね。6月という時期に、こうして齋藤彰俊と向かい合った。このことを俺も望んでいたし、魂を感じることができて。まぁ俺は今日(急性虫垂炎手術からの)復帰戦だったけど、でも(今日のこの)ノアのリングに立てたことは本当に良かったと思います。だからこそ一発一発、魂を、気持ちをね、込めるしか無かったよね」

――過去を振り返るための闘いではなく、前に進むための闘いだった?

▼潮崎「うん。それは齋藤彰俊から挑戦状を受け取った時点で『前に進む闘いをするしかない』と。その気持ちで、齋藤彰俊と魂を込めた闘いができたことは良かったと思います」

――今日の闘いを経て、ベルトの輝きもひとつ増した?

▼潮崎「そうだね。光り輝いてると思うし、“齋藤彰俊と"だからこその輝きも持てました。感謝します」

――次の挑戦者は現れなかったが、改めてどう王者としてノアを引っ張っていく?

▼潮崎「うん、あと少しだと思うんだよ。このインタビューを見てくれてる人たち、そしてみんなに会えるのは、あと少しだと思う。それまで俺がこのベルト、守りますよ。このベルトを守って、このベルトを持って、みんなと笑顔で、会場で会いたいと思います。I am NOAH」


【齋藤の話】「ご覧になってくださった皆様、本当にありがとうございます…!(※深々と頭を下げる) それと自分のファン…齋藤彰俊に期待して応援してくださった皆さん、すみませんでした! 結果はベルトは巻けずに…そこは素直に謝っておきます。でもね、三沢さんの(亡き)あと、潮崎とやるたびに、何の運命なのか宿命なのか分からないですけど、今回も思いっきり(戦前に)腰をやってしまって。前回潮崎とやった時もそう、今日もそう。でも、今回も不思議と会場に来るとピタッと治るんだよね。今日は本当に全力の全力を尽くしました。潮崎に…シオに思いっきりぶつかって、悔いのないくらい。ただ、今日は結果としては負けたけど、レスラーとして、試合として、強さとして負けたつもりは…これは無い! GHCのヘビー級っちゅうベルトがね、潮崎豪という男をベルトにふさわしいとして選んだ。それだけだと思います。今日、シオにもお礼を言ったけど、もの凄い思いで“緑"と一緒に今日来ましたけど、言い訳でもなんでもないけど、これは次に進むため、俺も潮崎も今日という“門"をくぐったということです。なので今日もガッカリするファンもいると思うけど、(今年2月の)30周年の時も言ったけど、俺はまだまだ落ち着かない! これが第一歩の始まり。次会う時、もう一回俺を見てくれって。必ず今日より前進してるから。これだけは約束するから。プロレスを観てワクワクしている人たち、皆さん…かつて俺もそうだったけど、俺は絶対にガッカリさせない! 俺は言ったことやるから。まだまだ…まだまだ!落ち着かないっ!! 今日はその第一歩!! ありがとうございました!!」

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