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2/13【DDT】坂口戦目前…ユニバーサル王者・上野勇希インタビュー 飛躍の今年へ自ら試練

 あす(14日)開催されるDDT今年最初のビッグマッチ・カルッツかわさき大会で、坂口征夫の挑戦を受けるDDTユニバーサル王者・上野勇希。

 キャリア4年の25歳。竹下幸之介とは大阪・咲くやこの花高校の同級生だ。端正な顔立ちと大阪人ならではの陽性オーラを併せ持ち、器械体操仕込みの空中技にも一層磨き。昨年は10ヶ月間に渡ってKO-Dタッグ王座に就いて成長を遂げ、暮れには新設タイトルのユニバーサル王座も獲得した。いよいよシングル王者として歩みだし、今年のマット界で飛躍が期待される20代レスラーの一人だ。

 年始早々、翔太を破って防衛に成功し、自ら坂口を指名。あえてイバラの道を選んだ理由とは。ユニバーサル王者としての展望、現在の竹下との“距離感”も含めて話を聞いた。


【上野勇希インタビュー】


――改めて坂口を指名した理由というのは?

▼上野「前回の防衛戦は、翔太さんに負けたことで挑戦が決まった。敗れたからには挑戦を受けねばならない。それはチャンピオンの責務だと思っていたので。その責務を果たしたからこそ、今度はチャンピオンの特権を使いたかった。なので坂口さんを指名させてもらいました。去年10月の後楽園で、タッグ王座戦と6人タッグ王座戦を連続で一日2試合やったことがあったんですけど、6人タッグでは僕が坂口さんに絞め落とされて…。タッグはパートナーの吉村(直巳)君が負けてしまったんですが、僕も坂口さんから思い切り頭を蹴られて、脳震盪みたいになってしまって。なかなか大変な試合でした。余力を残さず負けた清々しさもあったんですけど、それ以上に負けてしまった悔しさが凄くて。2020年のなかでも特に悔しさが残る出来事だったので、2021年を迎えるにあたって坂口さんと試合をせずにはいられなかった」

――ユニバーサルのベルトを懸けて、どう坂口と向き合う?

▼上野「このユニバーサルのベルトっていうのは“世界"に向けたベルトなんですけど、今はコロナの状況があって(渡航制限で)世界と闘うことはできない。本来であればこのベルトを持って、色んな国に行って、色んな選手と闘って、チャンピオン・上野勇希とDDTユニバーサルベルトを広めていかないといけないところなんですけど、それができないのであれば“世界"の解釈を自分で考えていかないといけないと思って。そこで思ったのが、世界に羽ばたくなら、まずは地盤作りが必要だと。だったらあそこまでボコボコにされて悔しい思いをした相手を、まずは乗り越えないといけないな…という思いもありましたね」

――前哨戦でも絞め落とされていて、分が悪い状況が続いているが対策は?

▼上野「青木(真也)さんにも公開練習でご教授いただいたんですが、とにかく寝技をいかにしのぐか。一番ヤバいのは“自分自身が今、何をされているのか分かってない状態"だと思うんで。気づいたら負けてしまっていた…では取り返しがつかない。なので坂口さんのグラップリングやサブミッションをいかに切り抜けて、自分の形に持っていくか…だと思ってます。向こうが仕掛けてくることは受け入れてあげますが、僕はチャンピオンなので。ただ、そっちの土俵には上がらないよと」

――川崎では「遠藤哲哉vs秋山準」のKO-D無差別級王座戦もあるが、対抗意識はある?

▼上野「やっぱりKO-D無差別とこのユニバーサルだと歴史がはるかに違う。もちろん試合内容とか広がり方で負けたくないですよね。ただ、まだまだ“楽しみながら広げたい"というほど器量のあるレスラーではないとも思っているので、まずは坂口さんに勝つ。とにかく全力でやる。それが前提にあっての、KO-D無差別への対抗意識ですね」

――最終的にはユニバーサルのベルトをどこまで高めたい?

▼上野うーん…確かに『このベルトを広げたい』という思いも強いんですけど、本当のことを言えば『このベルトを使って自分を上げてやろう』って気持ちのほうが強いですね。僕のできることなんかまだまだ小さい。発言力もそうだし。ただ、このベルトを使えば挑戦者が出てきて、みんな僕のことを意識してくれる。そしてタイトルマッチで試合内容を残すチャンスが来る。ベルトを持ってるとそのサイクルに入れるんですよね。ベルトを持ち続けていれば、常にそのサイクルの中に居続けることができる。サイクルが回れば回るほど、自分自身も上がっていくし、ベルトも広がっていくと思ってます」

――今年はこのユニバーサルベルトを使って、プロレス界全体に名前の響く存在になりたい?

▼上野「そうですね。去年は吉村君とのタッグチーム・ノーチラスで10ヶ月間くらいタッグベルトを防衛できたんですが、やっぱりベルトを獲る前と獲った後、そして落とした後では、いろんなモノの考え方が変わった。ベルトを獲ることで後から気づく自分の成長っていうのは、もの凄く大きいんだな…と。だからこそ、もっともっとチャンピオンとして色んなことを知っていきたいし、僕が知れば知るほど、色んな人に僕のことも知ってもらえる…とも思っています」

――同級生・竹下幸之介とは今は同チームだが、今の距離感というのは?

▼上野「僕は彼に憧れてプロレス界に入りました。入門当時、タケはKO-D無差別のチャンピオン、僕はもちろん新人で。同じレスラーになれたワケですけど、当時は『勝てる』ということを明確に意識できる存在ではなかった。でも、その後いろいろな経験ができて、今は僕もシングルのチャンピオンになった。今は背中が見えた…じゃないですけど、自分も胸を張ってレスラーになったと言える。レスラーとして尊敬する存在ではありますけど、今なら『俺はチャンピオンだぞ』とタケにも堂々と言えると思ってます」

――憧れの存在から、仲間・ライバルへと意識が変質してきた?

▼上野「そうですね。尊敬とかだけではなくて、より“勝ちたい相手"になってきてますね。それもこれまで対戦してきてくれた人たちのおかげであって、色んな闘いを通じて自信を積み重ねることができたから。本当の意味で“勝ちたい相手"ではありますけど、やっぱり今は同じチーム(DDTサウナ部)ですし、まだまだ自分の器量も小さいので、目の前の敵に集中したいですね」

――では改めて坂口戦はどんな試合をして、どんな勝ち方をするのが理想的?

▼上野「坂口さんには『俺をチャレンジャーに選んだことを後悔させてやる』という言葉をいただきましたんで、『俺をチャレンジャーに選んでくれてありがとう、楽しかったよ』という言葉に変えるような試合と勝ち方をしたいですね。それが理想というか、目標ですね。そして、とにかく“殺されない"こと。川崎では生き延びます!」

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