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2/14【DDT】秋山がKO-D初戴冠、小橋眼前で遠藤を正面突破 51歳の王者誕生でDDT新局面

『KAWASAKI STRONG 2021』神奈川・カルッツかわさき(2021年2月14日)
KO-D無差別級選手権試合 ○秋山準vs遠藤哲哉×

 秋山が小橋建太氏の眼前で遠藤を撃破し、KO-D無差別級王座初挑戦・初戴冠。早くも次期挑戦者に樋口和貞を指名した。形としては外敵へタイトル流出する結果となったが、高木三四郎社長は笑顔でベルト奪取を祝福。51歳の秋山が新王者となって、団体入団も浮上し、DDTは新たな局面を迎えた。

 昨年7月にレンタル移籍という形でDDTに乗り込んできた秋山は、年末に行われたシングルリーグ戦「D王 GRAND PRIX 2021」を制し、DDT今年最初となるビッグマッチのメインで満を持してKO-D王座初挑戦に臨んだ。左ヒザ手術のため、1月に3週間ほど欠場したが無事復帰。D王GP公式戦では遠藤に敗れており、雪辱戦となった。

 遠藤は決戦に向けて秋山の全てを知る小橋氏に師事。秋山対策と握り拳を学んできた。立会人としてその小橋氏が試合を見守る中、17時17分にゴングが打ち鳴らされた。

 試合は静かな立ち上がりとなったが、場外戦になると遠藤が動く。セコンドのマッド・ポーリーに介入させて、ロープを跨ごうとした秋山の動きを止めると、左ヒザめがけてスワンダイブ式低空ドロップキックをグサリ。そのまま場外でニークラッシャーを決めると、足4の字固めで絞め上げ、リングに戻っても左ヒザを徹底的に狙い撃ちにした。

 苦しい展開が続いた秋山だったが、非情な首攻めで巻き返す。パイルドライバー2連発を皮切りに、エプロンからのニードロップや場外DDT、羽根折り固めなどで一点集中攻撃。遠藤も負けじとサスケスペシャルやゆりかもめなど得意技で応戦し、再びヒザ攻めを仕掛けるが、秋山は効果的にニーリフトを決めて主導権を渡さず、フロントネックロックで絞めに絞めた。

 遠藤がギブアップしないとみるや、秋山はフォールに切り換えたが3カウントは奪えず。ならばと遠藤の顔面をニーリフトでカチ上げるが、続くブレーンバスターはヒザへのダメージが響いて投げられない。逆に遠藤がぶん投げて逆転。トラースキック、投げ捨てジャーマンと畳みかけると、エクスプロイダーを食らっても即座に立ち上がって低空ドロップキックで足止めし、トーチャーラックボムからヒザ十字固めに捕獲した。

 悲鳴を上げながらもなんとかエスケープした秋山は執念を発揮し、コーナーに上がった遠藤に雪崩式エクスプロイダーを決めて再逆転。エクスプロイダーからリストクラッチ式エクスプロイダーの構えに。しかし、遠藤はなりふり構わず顔面への頭突きで払いのけると、オーバーヘッドキック、ハンドスプリングレッグラリアット、トーチャーラックボムと大技ラッシュ。一気に勝負を決めようと、小橋氏から伝授された握り拳を作り、D王GP公式戦で勝利を挙げたシューティングスタープレスで宙を舞った。

 だが、秋山は回避して自爆に追い詰めると、生ヒザ式ランニングニーを一閃。遠藤はカウント1で肩を上げたものの、秋山は髪を鷲づかみにして生ヒザでニーリフトを乱射し、エクスプロイダーでぶん投げた。意識もうろうとなった遠藤はふらつきながらも意地になってエルボーを返すが、秋山はお株を奪う顔面への頭突きで足止めし、リストクラッチ式エクスプロイダーで追撃。遠藤がギリギリでキックアウトすると場内は大きな手拍子に包まれたものの、秋山は変型スターネスダストαで死闘を制した。

 昨年の12・27後楽園で自身がIWGPヘビー級、GHCヘビー級と並ぶ「3大王座」と定義したKO-D王座を秋山が51歳にして初戴冠。2日前のノア武道館大会で武藤敬司がGHCヘビー級王座を獲得したのに続き、CyberFight傘下にある2団体の至宝をどちらもフリーのベテランが奪取する形となった。

 立会人の小橋氏からベルトを受け取り、勝ち名乗りを受けた秋山。マイクを持つと、「遠藤。お前、これからも戦っていくと思うけど、小橋さんそこにいるから…。お前、最高だよ。よかったよ」と2004年7月のノア東京ドーム大会で自身が小橋氏に言われた言葉を拝借して遠藤を賞賛し、「今日は少しの差で俺が勝った。次にやったらわからない。ちょっとこのベルト、借りとくな」と呼びかけた。

 あえて腰にベルトは巻かなかったが、秋山はその理由を「小橋さんがこの腰にベルトを巻いてくれようとしたんですけど、もう1人、負けているヤツがいるんですよ。そこにリベンジするまでは、すいません、このベルトを腰に巻けません」と説明。「次、樋口! リーグ戦で俺に情けない1敗をさせてくれたよな。KO-Dで俺にリベンジさせろ。だから次、最初の挑戦者は樋口」とD王GPで敗北を喫した樋口をV1戦の相手に指名した。

 「会場の皆さん、このコロナ禍の中、会場までありがとうございました。そして、WRESTLE UNIVERSEをご覧になっている皆さん、ありがとうございました」と続けて感謝のメッセージを口にすると、「途中、サーバーがダウンしたみたいでご迷惑をおかけしました。ディーノ! 聞いてたら、今度ア○ルサーバー用意しとけ」とDDTらしく第2試合で男色ディーノが見せたア○ル電源をもじって笑いを誘い、「KO-D無差別級チャンピオン秋山準、ありがとうございました」と締めくくった。全試合終了後、会場の特設ビジョンにはエンドロールが映し出され、最後にベルト戴冠を果たした秋山を笑顔と握手で祝福する高木社長の姿が映し出されてフィナーレとなった。

 バックステージで秋山は「高木さんからもぜひ所属でってお話ももらったんですけど、やっぱりこの試合をしっかり勤め上げてから、そのお返事はちょっと待ってもらえますかと言ったんで。これでしっかり言えると思います」と入団のオファーがあったことを明かし、明言はしなかったものの、前向きな姿勢を示した。

 メジャー出身の51歳が若き遠藤を下して新王者に輝き、入団も浮上。マット上には今までにない光景が広がり、DDTは今年最初のビッグマッチで新たな局面を迎えた。

【試合後の秋山】
▼秋山「ホントに遠藤もいいチャンピオンで…でしたけど、もう一歩、いろいろ口八丁手八丁、リング上で全部やるんだったら、今はこのコロナ禍の中でいろいろストップしてる中で、やっぱり発信っちゅうのも大切だし、リング上の中も大切だと思うし。今は俺なのかなと。だから俺のとこにベルトがきたのかなと思います。でもホントにいいい奴、いいチャンピオン。いい奴じゃないな。さほどいい奴でもないか。でもこの前、小橋さんのとこにいったの見たら、こいつホントにいい奴なんだろうなと思って」

――昨年のレンタル移籍からKO-D王者にたどりついたが?

▼秋山「コーチからレンタル移籍に変わって、させてもらって、そこから自分の中で頭切り替えたし、選手としてしっかりやらないと。やっぱりフリーという立場で上がってるんで、自分のためでもあるしね。もちろん応援してくれるファンのためでもあるし、家族のためでもあるし。やらないといけないというのが芽生えたんで。その時、高木さんからもぜひ所属でってお話ももらったんですけど、やっぱりこの試合をしっかり勤め上げてから、そのお返事はちょっと待ってもらえますかと言ったんで。これでしっかり言えると思います」

――今後は所属として、王者としてDDTを引っ張っていく?

▼秋山「そんな急に俺がじゃあ所属だって、ちょっと待てと思う人もいるかもわかんないけど、俺ももう切り替わって、高木さんからそのお話をいただいた時ありがたかったし。ハッキリ言ってこの51の俺を所属にってリスクあると思うんですよ。ましてやケガして手術ってなった時、黙って待ってくれた。それをいい形で最後のリングでみせないといけないし。それまで自分の中で待って下さいと。だからヒザが痛かろうがやらなきゃいけなかったし、やったし。これで返事ちゃんとできます」

――ベルトを巻くのは樋口にリベンジしてから?

▼秋山「来てから負けてるのが今日の遠藤、で、樋口しかまだ負けてないんで。負けたままチャンピオンというのも何かね。それはそれでいいと思うんだけど、自分の中で気持ち悪いんで『小橋さん、すいません。まだやらないといけないことあるんで』って巻かなかったです。次、樋口に防衛できれば、ちゃんと腰にベルト巻きますので、また見に来てください」

――ディーノの名前を出したが意識にある?

▼秋山「ありますよ。どう本道と対決するんだって思うけど、正直あいつとリング上で向かい合ったって、俺のスタイルでいったら、それはもうね、勝負は見えてる。だけどあいつが言ってるのはDDTの男色ディーノという名前と、本道を掲げた俺がどっちがDDTなんだというのを彼は言いたいんだと思うんですよ。この本道どうのこうのは俺一人でできるもんじゃないから。やろうという気のある奴、それでいいと思うし、やりたくないっていうなら別にやらなくていいし、俺がそのまま引っ張っていくだけだし。高木さんからもそれ言われてるし、勝負してくれと。それ言われてると思う、みんな。新日本と勝負だって言われてるんだから。そこでじゃあ、どこで勝負だとなったらプロレスで勝負だろ。ディーノの気持ちもわかるし、俺もあいつのやってることは嫌いじゃない。大阪出身だし。嫌いじゃないけど、プロレス界で勝負はそれじゃない。俺なんだって。俺らがやることだから。そこはね、どれだけの人間がじゃあ俺もそこで勝負してやるよと。お前の本道というところで秋山お前と勝負してやると言う奴が出てくることを楽しみにしてます。出てこなかったら出てこなかったでいいよ。もう一切…樋口もそう。お前やりたくないんだったら本道って言うなよって。お前プロレスやりたくないんだったら、俺が言ったけど挑戦してくるな。それでお前は負けを認めたってことで俺はベルト巻くから」

――2日前のノア武道館で気合が入った部分はある?

▼秋山「入りましたね。入りましたけど、ヒザは痛かったですね。やっぱりヒザのことを考えたらそのままいったらよかったと思うけど、気持ちが、最後の清宮。あいつたぶん泣いてたと思う。俺が語りかけたことにね。あ、こいつ、プロレスやってリング上で純粋に泣けるんだって俺もうれしくなったし。当たることはほぼないと思うけど、あいつには頑張ってもらいたいと。プレッシャーでね、たぶん若いうちから正直、会社からいけって言われることもあると思う。それは俺と一緒で、ここの竹下もそうだ。お前、上いけと。そのプレッシャーって凄いと思う。叩き上げの人は何やってんだと、そんなお前らにいかすわけねぇだろと言うかもしれない。その人たちの苦しさもわかる。だけどポンと上にお前いけよと上げられた奴の苦しさもそりゃあるよ。俺はどっちかといったら叩き上げじゃないから。ポンと祭り上げられた方だから。あいつらの気持ちもわかる。だからしっかり頑張ってくれと。清宮負けんなって。またどっか、ノアのリングか、DDTのリングかわかんないけど、どっかでまた会おう」

――武藤がGHCを戴冠したが刺激になった?

▼秋山「いや、武藤さんはそんなに別に。武藤さん頑張ったなって思っただけで、俺はどちらかというと刺激は清宮の涙ですよ。俺の刺激はあいつの純粋な涙。リング上で本気で泣ける奴どこにいるんだろうなと思って。俺も本気で…リング上では泣いてない。バックステージでは泣いたことあるけど悔しくて。だけど、あいつリング上で泣いて、涙見せたくないから下向いてたと思うんですよ。俺はあいつの涙でこんな奴いるんだって、こいつとまたいいところでやりたいな。やってあげたいなじゃないな次は。やりたいなでしょうね。それの方が大きかった俺は。武藤さんは別に。別にハゲとハゲでシンパシー感じてるわけじゃないですから」

――「I AM NOAH」がいるが、秋山選手なら何と言いたい?

▼秋山「俺は何も言いたくないですね。僕は今までカメレオンのように変わってきたんで。でもやっぱりこのチャンピオンになったからには、最終的には『I AM DDT』と言わす奴を作りたいですね。俺は『I AM DDT』と言えるような人間じゃないから。だけど、もうすぐあとちょっとで30年やってきて、いろんなものが詰まってるから。俺とやって、最終的に俺がDDTだと。プロレスの本道で言える奴を作り上げたいですね」

【試合後の遠藤】
▼遠藤「遠藤哲哉、2021年もっと強くなります」

――実際にリング上で対峙した秋山選手はどうだった?

▼遠藤「俺自身、負けるつもりはなかったし、負けるとも思ってなかった。ただ、こういう結果…新チャンピオン秋山準、この結果が全て。実力。偶然、そんなんじゃなくて必然。遠藤哲哉よりも秋山準が強かった」

――秋山選手が本道という言葉を掲げたこのタイミングでの敗北をどう捉えている?

▼遠藤「俺の中の本道は、DDTプロレスっていうのは変わってないし、変わるつもりもないから。俺は全日本プロレスの王道と呼ばれるプロレスを知らないし、DDTしか知らない。俺の中で本道と言ったらDDTというのはこれからも変わらないし、変えるつもりもないしね。俺の中の本道で、秋山準選手の本道を超えて見せますよ」

【高木の話】
▼高木「お疲れ様でした。DDTの2021年初のビッグマッチということで、一昨日はノア武道館もあって、今日はDDTがカルッツかわさき。まあまあ、キャパ的な部分とかは比較するのもあれだと思うんですけども、緊急事態宣言下の中で、今日も一応完売ということで発表が出ると思うんですけど、予定していた席は全部埋まったということで、ありがたいなと思うところですね。途中、UNIVERSEが2度落ちまして、本当に想定外のアクセス数でサーバーがダウンしまして。今後はこういうようなことがないように、サーバーを増強しなくちゃいけないんですけど、2年前にやった両国大会よりも負荷がかかったようなので。ちょっと細かいことはあれなので、ちゃんと検証しなくちゃいけないんですけども、注目度がどんどんどんどん上がってきている中で、特に海外ですね。今日も第4試合とメインイベントの最中で、注目度が大きくなってきているんじゃないのかなと思う部分がある中で、体制としてキチッとしなきゃいけないので、その辺に関しては反省する課題が残ったのかなと思ってはいます。リング上に関しては、セミファイナルのUNIVERSALのタイトルマッチもそうですし、メインイベントも凄い試合でした、本当に。個人的には、秋山選手は同じ歳、同じ学年なんで、秋山選手がベルトを獲ったところに、私自身も凄く元気をもらったなと思ってまして。プレイヤーとしてよりは経営者として、凄く元気をもらって。そこはあんまり比べたくないんだけど、一昨日の武藤選手もそうだし、秋山選手もそうだし、ちょっと感慨深いものがありますね。マット界の流れって、やっぱり若い世代が中心になってきてて、世代交代って言われている中で、なんか逆の現象が起きている。僕の中では逆世代交代と呼んでいるんですけど、逆の現象が起きているんで。ここは頑張ってもらいたいなと、個人的には。ただ、当然のことながら、今までDDTの中核になって頑張ってきてもらった若い選手たちも、何かしら発奮する部分もあると思うので。そこはこれから期待したいなと思ってます」

――秋山選手からは「入団の話をもらっていたが、このタイトル戦が終わるまで保留していて、ベルトを獲ったことでそれに応えて、今後はDDTで本道のプロレスを極めていく」という言葉があったが?

▼高木「本当ですか? さっきタイトルを獲ったことに対するねぎらいをして、正直、そこまではまだ聞いてなかったんで、ちょっと聞いておきます。でも、凄く嬉しいことではありますね。明日また会見もあるので、そこに関しては」

――逆世代交代はどのように受け止めている? 危機感なのか、そこに希望を感じているのか。

▼高木「なんでしょうね? うーん、でも現実ですからね、これが。別に狙っているわけでもなんでもなくて、現実じゃないですか。やっぱりコロナでいろんなものがどんどんどんどん変わってきているんですよ。だって、今日のリング上を見ましたか? 小橋建太さんがKO-Dのタイトルマッチの立会人として真ん中にいて、そこに王者として遠藤哲哉がいて、挑戦者は秋山準。1年前に、誰がこの画を想像してました? ね。だから、わからない。もう理屈じゃわからないことがどんどん起きているんですよ、マット界、プロレス界は。だから、このコロナという状況がいいのか悪いのか。もちろん僕らにとっても苦しいですけども、でもこの状況でしかできないこととかはこれからもどんどん起きると僕は思いますし、どんどん起こしていかなくちゃいけないと思っているんで。逆世代交代って言いましたけど、全部そうなんですよ。俺も説明つかない。じゃあ、みんなね、11年ぶりにノアが日本武道館をやりました。そこで潮崎豪に武藤敬司が挑みますって誰も想像つかない。同じ図ですよね。秋山準が挑戦者としてKO-Dのベルトを獲る。その立会人が小橋建太って誰も想像つかないじゃないですか。だから、どんどんどんどんそういうことが起きればいいのかなと。起こそうかなと思ってますし。まあ、経営側としたら、起きたことを受け入れるべきかなと思ってますし」

――秋山選手は、高木選手が「新日本を乗り越えていくんだ」という話をしていると言っていたが、その通り?

▼高木「その通りですよ。いや、そこはぶれてないです。自分の目標はやっぱり新日本プロレスを抜くことなんで。そのためにはまずサーバーを増強しないとね。やっぱ会員数ではまだ差が全然あるんで。でも、将来的にそこの会員数になったとしても、それをこなせるぐらいサーバーの増強をしていかないといけないですね。まあでも、映像スタッフの皆さんには助けられました。ありがとうございました。リングサイドで急きょTwitterで動画をリアルタイムで出すという機転のよさっていうのは素晴らしいなと。スタッフ、社員の皆さんに感謝です。ありがとうございました」

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