プロレス・格闘技の情報満載!全日本・ノア公式モバイルサイト

4/4【新日本】飯伏初防衛ならず…オスプレイが「神殺し」達成でIWGP世界王座戴冠、鷹木とオカダを連続迎撃へ

『SAKURA GENESIS 2021』東京・両国国技館(2021年4月4日)
IWGP世界ヘビー級選手権試合 〇ウィル・オスプレイvs飯伏幸太×

 NEW JAPAN CUP覇者のオスプレイが予告通りの「神殺し」を果たし、IWGP世界ヘビー級王座初戴冠。挑戦表明してきた鷹木信悟、そして自ら指名したオカダ・カズチカを連続して迎撃すると宣言した。一方、飯伏は初防衛戦で敗れ、一度も真新しいベルトを腰に巻かずに王座から転落した。

 UNITED EMPIREを立ち上げ、なりふり構わぬヒールファイトも見せるようになったオスプレイはNEW JAPAN CUP初制覇。2つのタイトルを統一し、5日前に真新しいIWGP世界ヘビー級王座のベルトを受け取ったばかりだった飯伏との頂上決戦に臨んだ。飯伏に2連敗中のオスプレイは恋人ビー・プレストリーをオスカッターでKOし、悲壮な決意と狂気をあらわにし、「神殺し」を予告して決戦に臨んだ。

 静かな立ち上がりとなったが、試合が動き出したのは5分過ぎ。飯伏がフランケンシュタイナーからプランチャにつなげて先制した。しかし、オスプレイは手段を選ばぬ帝国流のヒールファイトで挽回。股間からトップロープに落とし、強引に場外へ蹴落とすと、鉄柵めがけてバックドロップを強行し、エプロンに首だけ出た状態で固定すると、ニードロップを投下する。そこから首攻めでリズムを掴んだ。

 空中戦で反撃に出た飯伏がかつて得意としていたスクールボーイスープレックスを決めると、試合はシーソーゲームに。2人らしいスピーディな攻防を挟みつつ、飯伏がラリアット、シットダウン式ラストライドと畳みかけるが、カミゴェは時期尚早で決まらない。逆にオスプレイは腹部からトップロープに落としてそのまま固定すると、そこめがけてシューティングスタープレスを強行。正調式でも繰り出して好機を掴んだ。飯伏がトップロープからの雪崩式リバースフランケンで逆転を狙っても、オスプレイは不時着する離れ技を披露。それでも王者はリバースフランケン、スワンダイブ式ジャーマンと大技ラッシュに打って出たが、オスプレイはその場飛びスパニッシュフライで鎮圧し、オスカッターで追い詰めた。

 後頭部へのローリングエルボーを食らってしまい、目がうつろになった飯伏だったが、ストームブレイカーは背中合わせの形で不時着すると、流れるように両手を捕らえ、スタンディング式、そして正調式のカミゴェを連続発射。ピンチをチャンスに変えると、生ヒザ式カミゴェで勝負に。しかし、首固めで上手くいなしたオスプレイは、前後からトラースキックを連発すると、ドンピシャのタイミングでジャンピングニーをズバリ。意識もうろうとする飯伏の後頭部にヒドゥンブレイド(バックエルボー)をぶち込むと、ストームブレイカーでダメ押しし、3カウントを奪取した。

 NJC制覇の勢いそのままにオスプレイが飯伏を撃破。「オスプレイに勝つまでベルトを腰に巻かない」と宣言していた飯伏の覚悟を粉砕し、できたばかりのIWGP世界ヘビー級ベルトを奪取した。昨年のG1 CLIMAXで敗れている怒りが甦ったのか、オスプレイのセコンドについたジェフ・コブが虫の息になっている飯伏を襲撃し、ツアー・オブ・ジ・アイランドで叩きのめした。有言実行の「神殺し」を果たしたオスプレイは、笑みを浮かべてそんな飯伏を見つめ、「神は死んだ!」と吠える。ピクリとも動かない飯伏をレフェリーやリングドクターが介抱。セコンドの肩を借りて去っていく飯伏を、コブはなおもにらみつけた。飯伏に「サヨナラ! グッバイ!」と罵声を浴びせたオスプレイがここでマイクを持つ。

 「ここにいるお前らは、直前まできっとこう思っていたに違いない。『イギリス人のお前がIWGP世界ヘビー級王者になれるわけがない』と。だが、今ここに立っているのは誰だ? ニュージャパンに来て5年。再びこのリョーゴクの舞台で、俺がデビューしたこのリングに俺は立っている! 俺はいい人間ではないし、間違えだって犯してきた。しかし、ここで謝る…気はさらさらない! 俺たちUNITED EMPIREはこれからも思うがまま、好きなようにさせてもらうぞ。俺たちにはそれだけの力がある」。溜め込んでいた鬱憤を吐き出すようにまくし立てたオスプレイは、「借りを返す相手」として1・4東京ドーム大会で敗れたオカダをリングに呼び込んだ。

 姿を現したオカダがマイクを掴むが、そこに突然横やりを入れたのが鷹木だ。鷹木はNJC1回戦でオカダに勝利し、決勝戦ではオスプレイに敗れている。「おい、お前ちょっと調子に乗りすぎじゃねえか。王様にでもなったつもりか? 東京ドームでオカダに負けたリベンジ? バカヤロー、そんなのは誰も覚えちゃいないんだよ。だけどな、先のNEW JAPAN CUP1回戦、ここにいるオカダがこの俺に豪快に負けたのはみんなよく覚えているよな」とオスプレイの前でオカダ戦での勝利を強調した鷹木は、「そんなオカダがこのタイトルに挑戦できるならば、NEW JAPAN CUP全戦メインイベント、初の準優勝のこの俺にも…いやいやいや、この俺のほうが挑戦権利あるよな?」と主張。「心配するな、オカダ。このクソヤローからこのベルトを獲ったあかつきには、初防衛にはお前を指名してやる」とオカダに誓うと、「これで誰も文句はねえよな? ということで、俺の言いたいことは以上だ」と締めくくった。オカダはあえて何も語らず、マイクをオスプレイに戻す。

 強引ながらも理屈の通った鷹木の考えに一定の理解を示したオスプレイは「まずはシンゴだ。その次にお前(オカダ)とやってやる」と鷹木、オカダの連続迎撃を宣言した。

 IWGPヘビー級王座時代を含めて、イギリス人が新日本の至宝を腰に巻くのが今回が初めて。27歳の若き新王者誕生、初防衛戦での飯伏の陥落、2人の挑戦者浮上…。生まれたばかりのIWGP世界ヘビー級のベルトは激動の展開でその歴史を紡ぎ始めた。

【試合後のオスプレイ】
▼オスプレイ「コブ、イブシを片付けてくれてありがとな。(ピンクのバスローブを羽織りながら)バスローブを着てオシャレにコメントさせてもらおうか。(記者たちに向かって)お前らの中の何人が俺、ジェフ・コブ、グレート-O-カーン、そして新メンバーのアーロン・ヘナーレのことを疑っていたんだ? お前たちは見抜けなかっただろうが、俺たちは初めから自分たちの可能性を信じていた。俺たちがトップに立つとわかっていた。イブシ、凄い勝負だった。ここまで俺を突き動かしてくれたことに、そして俺たちUNITED EMPIREの踏み台になってくれたことに礼を言わせてくれ。まだ俺たちのことを嘲笑っている奴がいるのか? でもお前らがそうすればそうするほど、俺たちはもっと輝くんだ。これはまだほんのスタートだ。ここからもっと宝をいただくぞ。(メンバーに向かって)ボーイズ、ZIMAでカンパイしようじゃないか。ちなみにこのバスローブは£500(日本円で約76000円)もしたんだから、ビールはかけてないでくれよ。じゃあ、俺たちUNITED EMPIREの新たなチャプターに、新IWGP世界ヘビー級王者誕生に、ニュージャパン・プロレスリングの未来にカンパイだ」

▼ヘナーレ「(ZIMAを口からこぼしながら)6カ月ぶりの酒だ」

▼オスプレイ「このあとはもちろん飲みに行くんだろ? でもその前に質問に答えてやるよ。ほら」

──今後、どんな防衛ロードを描いていきたいか?

▼オスプレイ「俺は防衛ロードを通して、世界で俺より強いプロレスラーはいないと教えてやる。このベルトが世界ナンバーワンの証だ。狙われる立場になったが、誰が挑戦してくるのか今から楽しみだ。もし俺より強いと思う奴がいるなら、相手になってやる。だが、誰が挑戦しようと一人残らずレベルの違いを叩き込んでやる。このベルトはニュージャパンだけに留まらず世界で最も価値のあるベルトだと身をもって証明していく。質問は以上か? ないなら仲間とカンパイに行かせてもらうが? じゃあ、写真を撮れ。それから、こっちのベルト(ブリティッシュヘビー級)は俺がイギリスプロレス界の王である証だ。俺たち次世代がニュージャパンの未来を率いていく。今まで見たことのない舞台に連れて行ってやろう。まだ始まったばかりだ。さっさと写真を撮れ。じゃあ、もう行くぞ。お前たち、新たな歴史が生まれたこの瞬間に居合わせることができてよかったな」

※飯伏はノーコメント

【鷹木の話】「まぁオスプレイの勢いは本物ってことだな。まさかあの飯伏から勝つとは思わなかったよ。いやでも、アイツの勢いを俺はこの身をもって感じてるからな。オスプレイに対してなぁ、一番腹立ってんのはなぁ、オカダでもねぇ、他の誰でもねぇ、俺なんだよ。このまんまじゃなぁ、次に進めねぇんだよ。なぁ、アイツのイングリッシュ、俺はしっかり聞き取れねぇけどよぉ、次の、いや初防衛戦の相手は、オカダじゃねぇ、この俺しかいねぇだろ」

プロ格 情報局