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6/6【CyberFight】“義足レスラー"谷津が2年ぶり復帰 途中敗退も得意技連発で奮闘

『CyberFight Festival 2021』さいたまスーパーアリーナ・メインアリーナ(2021年6月6日)
時間差入場バトルロイヤル決勝 ○アントーニオ本多vs井上雅央×

 谷津が2年ぶりの復帰戦にして、義足レスラーとしての初陣に登場。時間差バトルロイヤル優勝はならなかったものの、「次につなげる可能性を一つ自分の中で見出した」と義足レスラーとして戦っていく手応えをつかんだ。

 持病の糖尿病が悪化し、昨年6月に右足を切断した谷津。それでも懸命のリハビリを続け、リング復帰もあきらめず。高木社長の同級生・川村慶氏が社長を務める川村義肢株式会社が開発したプロレス用義足を装着して2年ぶりの復帰戦に臨むことになった。

 時間差入場バトルでいきなり1番手として登場。大石相手にショルダータックルでなぎ倒した谷津は、フロントスープレックスでぶん投げ、高鹿には得意のブルドッギングヘッドロックを決めるなど快調に飛ばした。その後も大石を監獄固めで捕らえるなど存在感をみせた谷津だったが、最後は再び監獄固めを狙ったところを井上に丸め込まれて優勝を逸した。

 2年ぶりの復帰戦を終えた谷津は開口一番「想定内で終わったよかった」と安どの表情をみせた。初めて着用したプロレス用義足に不測の事態も起こらず、無事に試合を戦い終えることができたからだ。

 まだまだ「手探りの状態」で試合前は不安もあったが、これから義足レスラーとして戦っていくうえで「粛々と終わったって感じで、次につなげる可能性を一つ自分の中で見出したかな」と手応えをつかめたようで、「片足を取った状態でも力は出ますから、まだやってみたいなというのは。まだまだこんなもんじゃ終われませんよ」とやる気満々だった。

【本多の話】「さいたまスーパーアリーナ、ひじょうに素晴らしい会場で、ついリング上でキン○マスーパーアリーナなどと言ってしまいましたが、キン○マ…キン○マって言ったら変な人って思われるかもしれないけど、キン○マから生まれてくるみんなだということを。心にキン○マをもって生き抜きましょう。ありがとうございます。さよなら、さよなら、さよなら」

【試合後の谷津】
――義足をつけてという形で久しぶりにリングに立ったが今の心境は?

▼谷津「想定内で終わったよかったなって。ただ、やっぱりですね、これ義足ですから。生身じゃなくて人工物でやって。躊躇してしっかりヒットしているのか、それともどっかで手加減したらいいのかっていう。本当にこれでやっちゃうと怪我させてしまう。そのへんが選手にしても自分自身にしても読めないですね。手探りの状態。ちょっとバトルじゃどうにもならない。そのへんはまたDDTの高木社長に直訴して、やらせてもらえればいいかなと思います。とりあえず自分の想定内で。足引っ張られると厳しかったですね。抜けちゃうんじゃないかと思って、これ(足首の部分)も外れることなく」

――これからもやっていける手応えはあった?

▼谷津「今日は最初、事実として義足でリングに上げさせていただいたと。これは初めてのたぶん経験で、またプロレスの義足を開発していただいて、リングに上がったっていうのは初めての経験というか、世の中でも初めてだと思うんで。そういう意味では自分が満足にできなくて当たり前。リングに上がったらそんなの許されないのはわかってるけど、自分の中ではリングに上がったってことは、上がる前、想像とかいろんな憶測とか妄想を抱くんですよね。そういう中では粛々と終わったって感じで、次につなげる可能性を一つ自分の中で見出したかなと」

――結果については?

▼谷津「もうちょっとできるならできたんでしょうけど、こんなもんかなといったらこんなもんですよ。満足まではいってませんけど、とりあえず今日、リングにこの姿で上がって、そしてファンの皆さんにも受け入れてもらった感じもしますし、特別扱いもされることなく、この義足でもう一つリングに立てればいいかなと思いますけど。練習して血豆ができて。あまりやりすぎてもいけないですし、練習でそうなっちゃってもつまらんし。そのへんちょっと読めないですね。どうなるか。リスクを恐れたら自分じゃなくなくなっちゃうんで、やれることやって。これから選手生活をやっていくとなったら。俺はこうだから特別扱いしろとなると、リングに上がるなってなっちゃうから。そういう意味ではバトルという一つのスタイルでいろんなレスラーが上がってウェルカムしてくれただけでも、自分としてはそれがありがたいというか、受け入れてくれたのかなと思いますね。これからもうちょっと素材とかいいとこも悪いとこも出てくると思うんで、それを改善しながら徐々にやっていく。最初からパーフェクトはあり得ないんで。今回は一番はレスラーに受け入れられたこと、次はこの義足をはいて何も不具合なくできたこと。またこの義足をはいて、義足でまた一つの演出もできるんではないかなと。それも何となく漠然とですけど、そう思ってます。やっぱり義足を最大に使うことは、大げさに言えば義足レスラーの使命じゃないかなと。自分としてはちょうど2年前ぐらいに片足切断して、最終的にどうなっちゃうんだろうっていう自分の迷いっていうか、真っ暗闇の中に入れられちゃったような状態だったんで。それから2020年のオリンピックで自分の原点を確かめて、オリンピック(の聖火ランナー)やりながらDDTの高木社長に直訴して、そして谷津がやるなら自己責任だよということでできるようになったわけです。2年前だったら絶対そんなこと想像もしてなかったですから。そういう意味では義足を作ってくださった川村さん、高木社長、周りのいろんな支えてくださった皆さんに感謝して、ファンの方にも自分のありのままの姿をみていただいて、受け入れてくれたらいいなと」

――胸に8つの輪が描かれているが?

▼谷津「肖像が結構厳しいじゃないですか。かつて1987年ごろ、鶴田さんと組んで最強タッグやった頃と訳が違いますので。五輪コンビが使えなくて、2020年のオリンピックに当て込んで、要するに五輪ってつけられないんで八つ輪(やつりん)で。俺、谷津だから八つ輪でいいやと思ってですね。輪っかを3つ増やしまして作ったんですけど。結局これをつけさせてもらって2試合だけやって、そのまま片足を切断しちゃったので、着ることがなかったんですよ。オリンピックが2021年になりましたので、しばらくはこれをつけてやらせていただければ。あくまでもプロレスは自分にとって通過点になると思うんですけど、これからいろんなことを可能な限り試して、何でもやって挑戦しようかなと思ってます」

――次にやりたいこと、目標は?

▼谷津「あんまり言うと谷津はほら吹きになっちゃうんで、あんまり言いたくないんですけど、自分の腰を踏まえても、まだ脊髄とか頸椎がいたんでるわけじゃないですから。片足を取った状態でも力は出ますから、まだやってみたいなというのは。まだまだこんなもんじゃ終われませんよって感じで」

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