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1/4【新日本】柴田が4年9ヵ月ぶり復帰 緊急プロレスルールで愛弟子・成田を真っ向蹴殺

『WRESTLE KINGDOM 16 in 東京ドーム』東京ドーム(2022年1月4日)
スペシャルシングルマッチ ○柴田勝頼vs成田蓮×

 柴田が4年9ヵ月ぶりに復帰。予定していたキャッチルールから急きょ通常のプロレスルールに自ら変更し、愛弟子・成田と真っ向から火花。かつての新日本プロレスを思わせるシンプルな激闘の末に成田をPKで蹴殺し、復帰戦を勝利で飾った。

 柴田は2017年4月のオカダ・カズチカ戦後に救急車で病院に搬送され、急性硬膜下血腫と診断されて緊急手術を受けると、その後は長期欠場していた。しかし、昨年の10・21日本武道館大会のリングにサプライズ登場し、ザック・セイバーJr.と5分間のグラップリングルールによるエキシビションマッチで対戦。12・15両国大会では「1月4日、試合するぞ!」と宣言し、新春ドーム大会での復帰が決定した。

 正式な試合をするのは、実に4年9ヵ月ぶり。形式は打撃禁止のキャッチレスリングルールが予定され、対戦相手は当日発表の「X」となっていた。

 Xは柴田を慕って2019年9月からLA道場所属として武者修行を続ける成田だった。1年4ヵ月ぶりのサプライズ凱旋帰国で、師匠・柴田の復帰戦の相手を務めることに。柴田は新日本伝統の黒いショートタイツでリングに入ると、マイクを持ち、「ルール変更しよう。プロレスだ! 成田、やれんのか、おい!」と絶叫。成田も「はい!」と呼応し、打撃OKのプロレスルールとなった。

 のっけから気迫全開のグラウンド戦で火花。ロックアップで押し合うと、成田は離れ際にビンタをぶち込んだ。柴田もサッカーボールキックをアグレッシブに狙っていく。柴田が足4の字固めに固めれば、成田は「やってみろ!」と絶叫。かつての新日本プロレスを彷彿させるような攻防が展開された。

 柴田はコーナーに押し込んでエルボーを連打したが、成田も真っ向からやり返し、喧嘩腰にストンピングや踏みつけを連打。ミドルキックを乱射したものの、柴田も武者返しで譲らない。怒号を上げて、頭を掴んだまま串刺しフロントハイキックを連発すると、再びエルボーを乱れ打つ。成田が吠えても止まらず、得意の串刺し顔面低空ドロップキックを放つと、場内は沸騰した。

 柴田はハーフハッチから腕ひしぎ逆十字固めを狙うも、上手く切り抜けた成田がサソリ固めへ。さらにヒザ十字固めに捕らえると、柴田は苦もんするが、何度もロープに逃れる。その後も左ヒザ攻めが続いたが、柴田はキチンシンクで逆転。怒号を上げると、こん身のソバットやミドルキックで場外に蹴落とした。

 柴田はロープを挟んだ状態でスリーパーに固めるが、成田は躊躇なくヘッドバットを放ち、コブラツイストに。だが、柴田も同じくコブラツイストで応戦。成田がロープに逃れても、バックドロップで引っこ抜き、片手を固めたままビンタやミドルキックを猛連打。懸命に立ち上がってくる成田にフロントハイキックやラリアットを叩き込む。

 成田もカウント1でキックアウトし、死力を尽くした左右のミドルキック乱射で気迫をみなぎらせたものの、柴田はインローキックで鎮圧。蹴り足を掴んでビンタを放ち、スリーパーで絞め上げると、こん身のPKで蹴り飛ばして成田を沈めた。

 “ストロングスタイル"の熱戦の末に、柴田が愛弟子・成田を真っ向から粉砕。充実感をあらわにした柴田は成田の健闘を称えると、リングと客席に深々と一礼した。

 直前のルール変更となり、「会社との約束とは違うことを、はみ出したことをしてしまったんで、これはちゃんと自分のペナルティでも何でもしっかり受け止めたいと思います」との意向を示した柴田だが、「自分では見てないんでどういう試合だったか分かんないけど、一番大事ななんか魂っていうか、そういうものをぶつけられた、ぶつけ合えたっていうのがあの試合かなと自分は思っています」と振り返ったように理想とする戦いをみせたい思いからの決断だった。

 無事復帰を果たしたことで、気になるのは今後。「自分の今後っていうのは分かんない」と前置きした柴田は「ただ一つ言えるのは、俺の試合はプロレスだった。柴田はプロレスが出来る」と言い切った。そして「俺の残り少ない時間だから、そこはレスラー生命使って今年は試合したいなって思っています」と精力的にリングで戦っていく構えだ。

【試合後の柴田】
▼柴田「無事、復帰をいたしました。ちょっと会社との約束とは違うことを、はみ出したことをしてしまったんで、これはちゃんと自分のペナルティでも何でもしっかり受け止めたいと思います。今日、ここに一つリングに上がるチャンス、どうしても作ってこじ開けたかったんでキャッチレスリングルールというものを作ったんですけど、結局はやらず。今、今の新日本にどういう戦いが必要なのかなって、自分なりに4年、5年近くずっと海の向こうからLAから見て、日本に帰ってきて会場の空気とか感じて、エキシビションをやって、ザックと。このワンチャン作って、どうにか自分がリングに上がれる状況を作れればなと思って、虎視眈々と4年ぐらい自分の体と相談しながら伺ってました。逆に聞きたいんですけど、今日の試合はどう映ったんですか? プロレスですか? 何ですか?」

──素晴らしい戦いでした。1ミリのスキもない、これでもかと見せつける柴田さんの思いが伝わってきました。

▼柴田「ありがとうございます。これを復活と言わずして何と言うのか、俺はずっと気になっていました。ここに来る間も、みんなどう思って見て、どう思ってあの試合を受け止めたのか? 実際自分では見てないんでどういう試合だったか分かんないけど、一番大事ななんか魂っていうか、そういうものをぶつけられた、ぶつけ合えたっていうのがあの試合かなと自分は思っています。成田には申し訳なかったというか、いい経験になったんじゃないですか? 『こんなことがあるんだ、ああルール変えちゃうんだ、この人』って。まあ俺、今後どうなるか分かんないすけど、本当に分かんないんですよ、今後。自分の今後っていうのは分かんないですね。ただ一つ言えるのは、俺の試合はプロレスだった。柴田はプロレスが出来る。これは世界でも見ている人がちゃんと認識出来たんじゃないかなと思います。日本で出来ないんだったら、俺の残り少ない時間だから、そこはレスラー生命使って今年は試合したいなって思っています。何かありますか? 何でも答えますよ、今だったら」

──東京ドームのあの花道を歩いた時の気持ちの高ぶりはどうでした?

▼柴田「いや、なんか凄い懐かしかったですね。やっぱり4年以上、ドームは4年ぶりですね。今日ここに来て、そんな緊張はしてないし、でも興奮はしている、会場入りしてから。それがずっと試合前まで続いていて、やっぱり噛み締めながら花道を歩いていましたね。懐かしさと道がボコボコしてるなって思いながら」

──不安とか怖さもあったと思うんですけど。

▼柴田「それはたぶん見ている人のほうが不安だったり怖さっていうのはあったと思います。実際、自分の体なんで自分の体の限界は知っているんで。ちょっと話が逸れるかもしれないですけど、ボクシングの山中選手かな? 俺と同じ硬膜血腫っていう怪我をして、ライセンスを1回剥奪、失効されちゃったんですけど、ボクシングですよ? ボクシングで俺と同じ怪我して復帰するんですよ? 俺はこれに凄い勇気をもらったんですよ。まあ先に試合しちゃいましたけど。あんな頭と腹しか殴んねえようなハードな戦いをするアスリートが復帰出来んだって。凄い勇気もらいましたね。逆に俺が先にやっちゃいましたけど、プロレスでも同じこと。ジャンルは違えど。ただみんなちょっと勘違いしている部分があるんでしっかりそこは説明しておきたいと思うのが、俺はつい昨日かおとといかな、海外のメディアのインタビューでヘッドバットでってリリースされたんですよ。ヘッドバットじゃないんですよ、この怪我。もっと複雑なんですよ。ただ、そんなの関係ないしね。俺は試合した。今日言えるのはそれだけですね。本当に新日本、素晴らしい会社だと思います。迷惑かけてしまいましたけど、感謝しています。ありがとうございます」

──今の新日本に見せたかったっていう発言が印象的だったんですけど、その思いは自分の中で相当あったということですか?

▼柴田「ありましたね。やっぱり中にいると見えないものってあるんですよ、客観的に見て。俺は海を渡っちゃって見ているんで、凄い感じますね。なんかコロナだからって、みんな同じ状況なんですよ。どんな仕事でも同じなんですよ。コロナのせいにしちゃいけないし、だけどコロナの中で戦わなきゃいけない。こうやって元気を与えられるのがプロレスだと思ってるんで。元気ねえなって思ったんすよ。50周年ですよ? 50周年だぜ。元気出していこうぜ。それだけっすよ」

──50周年ですけど、柴田さんにとってはお父さんも含めればずっと新日本じゃないですか? そのへんは改めてどうですか?

▼柴田「父親は父親のレスラー人生、レフェリー人生を送ってきているんで、またそこは別でもあるし、まあそこに自分がいたっていうのはやっぱり何らかの運命的なものがあるのかなとは思いますね。なんかの役割となんかの使命があって今日は試合したんじゃないかなと思いますね。そんな気持ちにはなりますね。戦う魂、これ一番大事にしたいなって」

──対戦相手が成田選手でした。どういう経緯で決まったんですか?

▼柴田「成田には一発、試合で痛みを教えてやりたいなって思ってましたね。海外に行って一緒に練習して、良くはなっているって、そういう言い方はあれかもしれないですけど、良くはなっているんですよ。成長しているんですよ、あいつ自身。ただ何かのきっかけがあったらもっとバーンと跳ねるんじゃねえかなって、日々練習して、組んだり蹴り合ったりして思ってた部分があったんで。だったら俺が作ってやろうかなと。だったら俺がきっかけになったらいいかなと。あいつにとっては凄くいい経験になったんじゃないですかね。まあ俺はこういう初めての復帰の試合になるんで、怖い部分と緊張の部分とあったと思いますけど、毎日一緒に汗を流しているから。ただ練習と本番とは違うよっていうのは、今日よく分かったんじゃないですかね。鼻血出しながら。いい経験だったんじゃないかなって俺は思います。ありがとございました。以上!」

【成田の話】「見ての通り負けました。柴田さんにプロレスで負けました。次は勝ちます。もう一回、プロレスであの人に勝ちます。またLAに戻って練習します。以上です」

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