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9/12【タカタイチデスペマニア】大コール爆発…素顔のデスペが葛西に激勝 超死闘の果てに“生"と“再会"の誓い

『レック株式会社presents タカタイチデスペマニア〜TAKAみちのく30周年記念大会〜』国立代々木競技場第二体育館(2022年9月12日)
スペシャルシングルマッチ ○エル・デスペラードvs葛西純×

 両者へのコールが何度も鳴り響いた中、素顔のデスペラードがデスマッチで葛西に激勝。限界を超えた死闘の果てに、2人は“生き続けること"と“未来の再会"を誓い合った。

 新日本マットでは実現できないことを形にし、恒例化した「タカタイチマニア」だが、今回はデスペラードを加えた特別版の「タカタイチデスペマニア」として開催に。会場はビッグマッチ仕様の代々木第2体育館で、会場側と協議の結果、観客席を50%に減らし、マスク着用での声出し応援が可能な形で行われた。

 30周年のTAKA、20周年のタイチを押さえて、トリプルメインイベントの大トリに登場したのはデスペラード。葛西との完全決着戦に臨んだ。2人はタカタイチマニアのリングで2019年5月に初対決。狂乱の激闘の末にノーコンテスト決着となり、再戦を誓った。年月が流れて、今年5月に再会がタッグマッチで実現すると、2人は一騎打ちに同意。3年ぶりのシングルマッチが決定した。

 ルールは何でもありのデスマッチ。リング上に有刺鉄線ボードなど無数のアイテムが置かれると、2人は上半身裸で向き合う。両者の声援が交錯すると、2人は中指を立て合い、ついにゴングが鳴った。

 有刺鉄線ボードに投げつけて先制した葛西がいきなり暴走する。マスクを引き裂いてデスペラードの素顔をさらすと、有刺鉄線を容赦なく使って額を切り裂く。ナイフを舐めて狂気の表情を浮かべると、さらに額を切り刻み、デスペラードは早くも大流血に。

 劣勢に次ぐ劣勢となったデスペラードだったが、ナイフボードへのボディスラムで逆襲。ギターは奪われて、脳天に振り下ろされてしまうが、コーナーに設置された足場の上から雪崩式ブレーンバスターを敢行した。

 葛西は躊躇なくパイプイスを投げつけて形勢打開。パイルドライバー、リバースタイガードライバーと大技ラッシュに出る。アルミ缶ボードめがけてパワーボムまで決めると、パールハーバースプラッシュを投下。勝負あったかと思われたが、デスペラードがキックアウトすると、場内は重低音ストンピング&「デスペ」コールに包まれた。

 葛西はカミソリボードを投入するが、捨て身のデスペラードは自らのダメージを気にせず、そこに河津落としを強行。金的攻撃から葛西を頭からカミソリに何度も叩きつける。さらに、ギターラ・デ・アンヘルでぶん投げると、場外のテーブルに葛西を寝かせ、コーナーから決死のダイビングボディプレスを投下。テーブルが真っ二つにへし折れた。

 負けじと葛西はデスペラードの無数の額に竹串を突き刺し、そのまま垂直落下式ブレーンバスターを決めて反攻。今度はフォークボードをリングに設置。コーナーから雪崩式前方回転タイガードライバーを強行した。

 決定的な荒技を受けたデスペラードだったが、執念のキックアウト。場内はこの日、一番の沸騰を見せる。葛西は自らの額にフォークを突き刺すと、カミソリボードを使ってのパールハーバースプラッシュを投下したものの、デスペラードはカウント1でキックアウト。ならばと葛西は垂直落下式リバースタイガードライバーで仕留めにかかったが、それでもデスペラードは沈まない。

 逆にデスペラードはカミソリボードに頭から突き刺す非情な人でなしドライバーで逆転。意地のラリアット合戦、頭突き合戦になだれ込むと、葛西のエルボーをかいくぐり、ロコモノ(ナックルパンチ)をぶち込む。葛西もギターラ・デ・ラ・ムエルタをカウント1でキックアウトすると、ピンチェ・ロコを受けても肩を上げたが、ナックルパンチ合戦で押し勝ったデスペラードが、垂直落下式リバースタイガードライバーから流れるようにピンチェ・ロコを決めて、死闘に終止符を打った。

 デスペラードが狂乱のデスマッチで激勝。精根尽き果てながらもデスペラードは「葛西さん…。ありがとうございました」とマットに額をつけて一礼する。すると、葛西も「デスペよ。こちらこそありがとうございました」と一礼。「お前みてぇな、すげぇ強えヤツとこの会場でメイン張れて、俺ッチは嬉しいよ」と潔く勝者を称えた。

 その上で、葛西は試合前にデスペラードが「燃え尽きて死んでもいい覚悟でリングに上がる」と語っていたことに言及。「バカヤロー。世の中にはな、死にたくて死ぬヤツなんていねえんだよ。生きていてえのに死ななきゃいけないヤツ、生きてえのに死んじまうヤツが五万といるんだよ。お前みたいに最高の仲間に囲まれて、たくさんのファンに応援されて、夢だった新日本プロレスに入門して、プロレスラーとしてデビューして、新日本ジュニアでトップを取って、最高の人生送っているヤツが、死んでもいい覚悟でリングに上がるなんて言うなよ」と感情を爆発させる。そして、「俺たちは死んでもおかしくねえ、大怪我してもおかしくねえリングに上がって、生きて生きてリングを降りなきゃいけねえんだよ。死んでもいい覚悟なんて捨ててしまえ。死んでもいい覚悟なんていらねえんだよ。そうすれば、お前はもっと強くなる」と魂のメッセージを送った。

 それに応えたデスペラードは「軽々しく口にしません」と誓うと、「自分はまた必ずリングに上がって、その時は必ず生きて帰って、何試合も重ねて、この間、約束を1回破っちまったけど、スーパージュニアも優勝して、ベルトを持ったまんま葛西さんともう1回やります」と再戦を熱望。葛西も「お互い明日からも生き続けて、お互いもっと強くなって、またリングで会おうや」と応じ、大きな「葛西コール」を浴びて、リングを去っていった。

 “生"と“再会"を誓ったデスペラードは、ここで改めて引き裂かれたマスクを被ると、「わざわざここでカッコいいこと言って、デ・ハ・ポンとか言えればいいんだろうけどさ、俺はそういうの小っ恥ずかしくてできないんで。30周年とか、20周年とかの記念興行なのに、メイン預からせていただいてありがとうございました」と照れくさそうに語って声援を集める。「飯塚とシングルマッチで負けたら鈴木軍追放とか、俺はそういう過去があったんですけど、追放されなくてよかった。最高に楽しいっす」と満足げ。デスペの奮闘を見守っていたタイチは「見事だ、弟よ」と言葉少なに称えた。

 最後は「もう喋ってたらひっくり返りそう」とこぼしたデスペラードに代わり、TAKAが「今日皆さんが見た最高のプロレス、この大会の名前はなんですか?」と場内に問いかけると、「タカタイチデスペマニア!」の雄叫びが発生し、大熱狂を生んだタカタイチデスペマニアはフィナーレとなった。

 バックステージではデスペラードも葛西も涙を見せたものの、「また必ずちゃんと成長して、ちゃんと体も心も鍛えて、もう1回必ず強くなって、俺は必ず葛西さんとやらせていただきます」(デスペラード)、「葛西純の全盛期は10年後だ! まだまだ強くなって、生き抜いて、生きて生きて生き抜いて、強くなって、またデスペラードとやるよ」(葛西)と互いに早くも再戦を見据えていた。


【デスペラードの話】「(マスクを被り)今さら何をとおっしゃるかもしれませんが、これが俺の顔なんで。葛西さんの仰る通りでした。自分、ニュースの保育園のやつとかで、ちょっとここ最近ちょっとやられて、精神的に来ちゃってて、もう家で1人でいてもぶっ壊れそうだったんですけど、それでも試合に向かうモチベーションと、趣味のゲームとかやっている時だけ自分が保てて。なんとか本当にこの試合がなかったら俺、(感極まると)本当に頭おかしくなるかっていうぐらいやられて。それなのに、コメントで軽々しく死んでもいいとか、まだ俺はそんなレベルだったかと驚きました。自分の幼稚さに驚きました。また必ずちゃんと成長して、ちゃんと体も心も鍛えて、もう1回必ず強くなって、俺は必ず葛西さんとやらせていただきます。ありがとうございました」


【葛西の話】「(娘の手を引いてコメントスペースに現れると)パパ、負けちゃった。ごめん。でもよ、齢48歳になった男が負けて悔し泣きしてるってことはよ、この涙の意味がわかるか、お前ら。デスペっていう最高の男とやれて、感極まって泣いてるんじゃねえぞ。負けて悔しくて泣いてんだよ。この涙があれば、もっと強くなれるってことだ。葛西純は48歳になってもまだまだ強くなるぞ! 葛西純の全盛期は10年後だ! まだまだ強くなって、生き抜いて、生きて生きて生き抜いて、強くなって、またデスペラードとやるよ。今日が終わりじゃねえ。今日が始まりだ」

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