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2/20【NOAH/会見全文】武藤が引退直前会見、両足負傷「もう大丈夫」 内藤ワクワク「俺自身にトランキーロ」

 あす(21日)の東京ドーム大会で引退する武藤敬司が20日、最後の相手となる内藤哲也とともに都内ホテルで直前会見。懸念される太もも肉離れの影響も「もう大丈夫」と強調し、「(重圧の)ストレスをすべてぶつける」と改めて完全燃焼を誓った。

 いよいよ引退試合を翌日に控えた武藤は、スーツ姿で会見に登場。先月22日の化身グレート・ムタラストマッチで両足ハムストリングス(太もも裏の筋肉)の肉離れを起こした影響が気がかりだが、「医者に全治6週間と言われました。まだ4週間しか経ってないんだよな。ただ、ある意味、レスラーっていうのはヒーローじゃなきゃいけない、スーパーマンじゃなきゃいけない。俺はプロレスラーですから超人的なところを見せなきゃいけない。もう大丈夫です」と自らに言い聞かせるように“問題なし"を強調した。

 対する内藤はファン時代への憧れだった武藤への深い思い入れを改めて語り「完封勝利こそ最高の恩返し」と再び宣言。

 武藤の負傷については「ヒザが悪いのは知ってることですし、そこが弱点だということも分かったうえで、明日のシミュレーションはいろいろしてますよ。でも、どんなに痛くても、這いつくばってリングまで来てくださいよ。リングまで来てくれたら俺がおいしく料理しますんで」と意味深な笑みを浮かべつつ、「ワクワクしている俺自身に言いたい。そう、まさにトランキーロ、あっせんなよってね」と胸を高鳴らせた

 昨年6月の引退表明から約8ヶ月間。引退ロードであらゆる選手や場所に別れを告げ、周囲も大々的な宣伝活動で花道を育んできた。ドーム当日もプロレス界の“オールスター戦"さながらのラインナップ。コロナ感染にも細心の注意をはらいつつ、直前には負傷と闘うピンチの日々も過ごした。

 武藤自身もかねがね「かつてないプレッシャーがある」と語ってきたが、「(負傷した)1月22日まではひじょうに心地よく、そうやって周りが盛り上げてくれればくれるほどレスラー冥利に尽きるなと感じていた。ただ怪我してからは盛り上がれば盛り上がるほど追い込まれていく自分がいて。まあ38年間のプロレス人生の中でひじょうに追い込まれたこの1ヵ月だったですね。そのストレスを明日全てぶつけて解放されたいと思っております」。プロレス界を照らし続けてきた太陽が沈む日。38年あまりに渡って輝き続けてきた天才・武藤が放つ最後の光が、いよいよ東京ドームを包む。


【会見の模様】

※先に現れた内藤は「武藤vs内藤」大ビジュアルが描かれたインタビューバックをしばし感慨深けに眺めてから着席

▼内藤「新日本プロレス、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン、内藤哲也です。いよいよ明日に迫った武藤敬司選手の引退試合。俺をプロレスに熱中させてくれた選手の引退試合ということで、少し寂しい気持ちはありますが、今プロレス界の先頭を走る人間と引退する人間の差をみせつけたうえでの完封勝利。これが理想だと思うし、それを見せつけることこそ、俺をプロレスに熱中させてくれた武藤敬司選手への最高の恩返しだと思うので、明日は遠慮なく完封勝利を狙ってリングに立ちたいと思います。そして武藤敬司選手の望み通り、リング上で白く灰になっていただきますよ。きっと明日は俺にとって忘れることのできない一日になることでしょう。ワクワクしている俺自身に言いたい。そう、まさにトランキーロ、あっせんなよってね」

▼武藤「現役としてきっとこれが最後のこういう記者会見ということで、非常に感慨深いものがあります。1月22日に怪我をして、1月23日に病院行って診察したところ、両足のハムストリング(太もも裏の筋肉)が肉離れを起こしたっていうことで。その時、医者に全治6週間と言われました。それからまだ4週間しか経ってないんだよな。ただ、ある意味、レスラーっていうのはヒーローじゃなきゃいけない、スーパーマンじゃなきゃいけないってことで。俺はプロレスラーですから超人的なところを見せなきゃいけないところで、もう大丈夫です。多くのファンの人、もしかしたら内藤選手とかにも、いろいろ愚痴ったり泣き言を言ったり、もしかしたら心配もかけたかもしれませんが、明日は内藤選手を思いっきりぶちのめしてみせますので、よろしくお願いします」

――明日の引退試合、ファン、現役レスラーに向けてどんな戦いをしたい?

▼武藤「いや、いまさら何も飾ることもできないし、持てる力全てを出し切って、最後、内藤選手が言ったように灰になりたいと思ってるんだけど、灰になるのも大変そうだからな。まあマイペースで頑張ります」

――11年前に対戦しているが、今の内藤選手をどのように見ている?

▼武藤「やっぱり引退試合の相手を選ぶ中で、いろんな部分をリサーチしていく中で、もちろんビジネスであり、あれだから集客力とか。調べてる中で本当に集客力もある選手であったりとかの中で、リングの戦う内容も素晴らしいということでね。こないだ新日本プロレスの横浜アリーナで間近で試合を見てて、本当に胸打つものもあったので、内藤選手で対戦相手、いいと思います」

――武藤選手から指名されたことを含め、武藤選手の言葉をどのように受け止めている?

▼内藤「今さら隠す必要もないので言いますけど、俺は小さい頃から、記憶のないぐらいからプロレスを見ていて、一番最初好きになったレスラーが武藤敬司選手でした。1997年6月5日、日本武道館大会での橋本真也選手とのIWGPヘビー級選手権試合を生観戦して…」

▼武藤「高田延彦戦じゃないの?」

▼内藤「いや、それはどっかで情報間違えたんじゃないですか。1997年6月5日、日本武道館での橋本選手との試合です。その試合を生観戦して、負けた武藤敬司選手の姿を見て、何か惹かれるものがあったんでしょうね。俺もああなりたい、俺も武藤敬司選手のように新日本プロレスのリングでプロレスラーとしてプロレスをしたいと思い、プロレスラーを目指して新日本プロレスに入りました。そんな武藤敬司選手から引退試合の相手として指名されて、名前を呼ばれた時、物凄くうれしかったですよ。きっと名前を呼ばれたの初めてなんじゃないですかね。なんせ団体が違うんで、ほとんどしゃべったこともないですし。だから俺は名前呼ばれてうれしかったですよ。最高の作品を残すための相手として、きっと武藤敬司選手は俺のことを指名してくれたんだと思いますが、プロレスリングNOAHのリング上でも言いましたが、俺に残念ながらそのつもりはない。だって今プロレス界の先頭を走る人間と、プロレス界を引退する人間。引退する人間に最高の作品が創れるのであれば、引退する必要なんかないじゃないかと俺は思うのでね。差を見せつけたうえで、悔しい思いをさせたうえで、灰になり、そしてリングを降りていただきたいと思います。ちょっと質問の内容忘れちゃいましたが、大丈夫ですか?」

――武藤選手からのレスラーとしての評価については?

▼内藤「まあ、うれしいですけどね。やはり一番最初、好きになったレスラーですし、うれしいですけど、本当に見てんのかなという部分に関しては、武藤選手ってこういう人間だっていうのを噂で聞いてる限り、ポロっと平気な顔をして嘘をつくような印象があるので、あまり武藤選手の僕に対する印象を真に受けて聞くことはないです」

――東京ドームメイン後の大合唱というのは?

▼内藤「それはもちろん勝ったうえで大合唱っていうのは頭の中に入っていますが、あくまでも俺が一番やりたいことは新日本プロレスの東京ドーム大会での大合唱なので。たとえ明日勝利し、東京ドームで大合唱したところで俺の夢は変わらない。俺の目標は変わらない。俺の今年の目標は変わらない。2024年1月4日、東京ドームのメインイベントで大合唱する。その目標は変わらないですね」

――内藤選手から『先頭に立つ人間としての差を見せつけたうえでの完封勝利』を予告されたが?

▼武藤「いや、願ってもないことであってね。ただ、ホントに潰しにきてくれるのか…しゃべってる半面、その裏側で何か優しさがちらっと見えたりして。もしかして遠慮されたりしたら逆に困っちゃうな、なんて思ってます」

――回復を強調していたものの武藤選手の弱点がさらされている状況だが?

▼内藤「今現在に限らず、もともとヒザが悪いのは知ってることですし、そこが弱点だということも分かったうえで、明日のシミュレーションはいろいろしてますよ。でも、とりあえずどんなに痛くても、這いつくばってリングまで来てくださいよ。リングまで来てくれたら俺がおいしく料理しますんで」

――目まぐるしかった引退ロードの日々を振り返って直前の心境は?

▼武藤「当初は、1月22日までは非常に心地よく、そうやって周りが盛り上げてくれればくれるほどレスラー冥利に尽きるなというふうに感じてた時であって。ただ怪我してからは盛り上がれば盛り上がるほど追い込まれていく自分がいて。まあ38年間のプロレス人生の中で非常に追い込まれたこの1ヵ月だったですね。まあまあ、そのストレスを明日全てぶつけて解放されたいと思っております」

――2月20日はアントニオ猪木さんの80歳の誕生日。その翌日に引退することに縁を感じるが猪木さんへの思いは?

▼武藤「明日の東京ドームは一人で作り上げるものじゃないんだけど、猪木さんには一度も褒められたことがないからね。最後マスターズに呼んだ時も怒られたりして。『何で勝手にデビュー60周年ってつけるんだ』って怒られたりして。きっと明日もあの世から『お前ちょっと派手にしすぎるんじゃねえか』って怒ってる気がします」

※その後写真撮影、カメラマンの要望にいつものように「ういーっし」と応えてから去る武藤の背中を、内藤はひとり残って感慨げに見つめる

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