プロレス・格闘技の情報満載!全日本・ノア公式モバイルサイト

8/26【光留自主興行】光留メイン敗戦も「夢のど真ん中」でデスペと26分超激闘

『ニコプロ presents 佐藤光留自主興行「変態は夢を見た」』富士通スタジアム川崎(2023年8月26日)
○エル・デスペラードvs佐藤光留×

 光留がデスペラードとのシングル初対決で26分を超える激闘を展開。敗れはしたものの「俺は今、夢がかなってるど真ん中にいる」と感慨をのぞかせつつ、「エル・デスペラードと叶える夢が1個できたんで、俺は叶えたい」と続きを見据えた。

 2020年から4年連続開催となった富士通スタジアム川崎大会。トリを務めたのは光留とデスペラードの一騎打ちだった。「一回、日本の、世界のトップのジュニアヘビー級選手と試合したい」という光留の“夢"が実現することになった。

 その夢は互いを削り合う消耗戦の様相を呈した。序盤から光留が一瞬のスキをついて腕ひしぎ逆十字を仕掛け、チキンウイングフェースロックで絞め上げる。場外戦でも腕攻めを続けたが、デスペラードは足攻めで応戦。両者の戦いは客席、そしてスタンド席、グッズ売店にまでもつれる乱戦となった。

 その後もデスペラードがフロントインディアンデスロックで足攻めを続けた。光留がミドルキックを連発し、チキンウイングアームロックで絞め上げても、デスペラードはギターラ・デ・アンヘルで応戦。ヌメロ・ドスで絞め上げてギブアップを迫る。耐えた光留は腕十字をフェイトにしてアンクルホールドで対抗。バックドロップからの腕ひしぎ逆十字で勝負に出た。

 しのいだデスペラードは光留のジャンピングハイキックを上空でのドラゴンスクリューで切り返すと、トペコンヒーロを発射。リングに戻すと変型バックフリップを敢行。動きが鈍った光留に「佐藤さん、ありがとう!」と絶叫とともにピンチェ・ロコを爆発させて3カウントを奪った。

 シングル初対決は激闘の末にデスペラードに凱歌。夢を叶えた光留だったが、敗戦に終わった。試合後、マイクを手にしたデスペラードは「さっきメジャーコール起きてたじゃん? あれは阿部さんに対するにぎやかしなのは理解してるけど、そういうのは面白いなとは思うけど、俺に対するそのコールはいらないかな」と切り出した。「俺は生粋で確かに新日本生まれ、新日本育ちかもしれない。メキシコから来てますが。散々っぱらメキシコでもっとひどい状況のリングで試合やったよ。リングの上でカッコいい照明浴びて何万人の前でやるのもプロレスかもしれないけど、このプロレス、最高に楽しかった」と心境を口にし、最上級の言葉でこの一戦を実現させた光留を称えた。

 そしてデスペラードは「来年、何があるかわからない。だからたぶん今年しかないんだ。俺がこうやって動けるのは。そんな中で声かけてくれて本当にありがとうございました」と感謝。デスペラードからマイクを受け取った光留は大の字のまま「楽しかったっすか? 面白かったっすか? まさか初対面が横浜の漁港で、一緒に釣りしてる仲間のエル・デスペラード選手と川崎の夜空の下、こんなに面白ぇプロレスやる日が来るとは思いませんでしたよ」と感慨をのぞかせた。「インディーだ、メジャーだって言ってるヤツよく聞けよ。インディーは絶対メジャーを許さない」と前置きし、「それは確かだが、エル・デスペラードはインディーでもメジャーでもない。エル・デスペラードだから今日来てもらったんだよ。改めて今日はありがとうございました」と感謝。座礼で敬意を示し合った。

 「今、拍手してる人、みんな夢あるかい? 自慢じゃねぇけどな、佐藤光留の夢は子供の頃だけじゃなくて、35歳ぐらいまで誰も信じてくれなかったよ。川崎球場で試合やるって言った時も、ほとんどの人が信じてくれなかったよ。エル・デスペラードと試合やるなんて、そんなことあるわけねぇじゃねぇかって言われたよ。でも俺は今、夢がかなってるど真ん中にいる」。そう言い切った光留は「それ見て拍手してるヤツ、次はお前らの番だからな。金払った、面白かった、それで終わりなんて佐藤光留興行は生易しくねぇからな。お前らの夢がかなうまで、絶対に俺を追いかけろ! チケット買って」と集まったファンにメッセージを送った。

 バックステージで光留は「やっぱ夢って1個叶ったら1個出てくるなって思ったんで。次は別の夢を必ず叶えます」と宣言。その夢はデスペラードとの続きで「エル・デスペラードと叶える夢が1個できたんで、俺は叶えたいと思います」と誓った。デスペラードも呼応するように「最高に楽しかったです。またやりましょうって終わった瞬間に言っちゃうと、またすぐできると思われても悔しいんですが、できるタイミングは必ず僕は見計らってますから」としたうえで「プロレス界でいつかって言ってると、いつまでも来ないですけど、これは本当にいつか。またやりたいと思います」と言い切った。

 釣り仲間として親交の深い二人。この日の初対決によってリング上での再会が期待されるところとなった。


【試合後のデスペラード】
――戦った佐藤選手の印象は?

▼デスペラード「やっぱり凄い人じゃないですか。組まないとわかんないと思うんですけど、でかいんですよ。タッパとか横幅とかそういうことじゃなくて、骨格からでかい人なんで、そこから生まれてくるパワーとか、そういうものを全部乗せて技術に転化して、こっちにぶつけてくるわけじゃないですか。蹴りにしろ、関節にしろ。たまんなかったですね」

――新日本でいないタイプ?

▼デスペラード「いわゆるアメリカンプロレスでオーソドックスって言ったらTJPがいたり金丸さんがいたりっていうのはあるんですけど、プロレスの技術と、要は佐藤さんがやっておられた総合格闘技の技術ってもちろん根底は同じなんですけど、同じ答えにいくまでの式が違うというか、足し算、引き算と掛け算、割り算の違いみたいな。答えは一緒なんですけどね。っていうロジックの違いがあるんで、わかってないと対応できないんだなと。あんまりこれ言いたくないんですけどね。鈴木さんと散々っぱら練習したことがこういうとこで生きてきたんだっていうのは非常に。あえて言うとすればストロングスタイルの中で努力してきたことは間違いじゃなかったというのはありますね」

――リング設営を手伝ったとか?

▼デスペラード「皆さん凄いんですよ。資材搬入からやろうと思ってたら、来たらもうほぼリングの骨組みできてまして。非常に申し訳ない。緩衝材入れから参加させてもらったら、ここからは分かってる人がやんないと足手まといになるんで、ほぼ何もしてません」

――新日本でこのような雰囲気で試合することはないが?

▼デスペラード「最高に楽しかったですね。リングの上で決着をつける、そのゴールに向かって必ずみんな同じことをやる必要はないわけですよ。ゴールは決まってますが、リング上での決着。そこに至るまでをどれだけ相手を振り回して、自分が楽しみながら勝つか。というのはいろんな経験をしてきて、いろんなものを自分で見に行って、それを全部楽しめるようになってたから今日の試合ができたと思います。だからこそ、佐藤さんは僕のこと呼んでくれたと思います」

――このように外に出るのは今年が最後になる?

▼デスペラード「一瞬、今、ジュニアに関して言えば、僕やヒロムやBASARAさんに上がったSHOですか。とかはやっぱりこないだのヒロムが音頭取ったジュニアのイベントあったじゃないですか。あれがあっての、お互いの選手間のモチベーションももちろんそうなんですけど、ゲスい言い方をすれば、会社のフロント側の損得勘定にも何かしら影響があったんじゃないかと僕は思ってるんですね。これは勝手な想像ですよ。もちろん僕は夢を追っかけてプロレスやってますけど…僕なんかよりも佐藤さん、こんな興行やってるんだから、散々そういうそろばんはじかなきゃいけないところも経験してると思うんで。だからこのタイミングだったんじゃないかとも思ってます」

――今年いろんなところに上がった中での集大成のような感じ?

▼デスペラード「集大成って言っちゃうと、これまでが過程になっちゃうんで。それはまったく。全てが一回一回が僕にとってその時の集大成なんで。実際、今、僕の中でこうやって外でやれるっていうことのえもいわれぬ解放感、素晴らしかったですし。こないだダムズさんに上がらせていただいて、山下りな選手に担がれたんですよ。男だ、女だ言ってる場合じゃねぇぞっていうのは正直あります。もちろん女性全員が僕のことあげられるとは思いませんけど。そういう意味ではインディーはメジャーを絶対許さないっていう佐藤さんらしい格言がありましたけど、ジュニアとヘビーにも何か同じ匂いを感じるなと思ってしまいました。そこがインディーの選手に失礼ながら言わせていただくと、僕がシンパシー感じてる部分なのかもしれません」

――佐藤選手は今日ここでデスペラード選手と戦うことを夢と表現していたが、デスペラード選手にとっては?

▼デスペラード「正直言って想像もついてませんでした。一緒に釣りして…練習させていただくことって今までなかったんですけど、いろいろ話を聞いたり、鈴木さんのお店に行ったら働いておられるんで、そこで仲良くさせていただいたり。一緒に滅茶な工程で釣り行ったりも散々しましたけど。やっぱり鈴木さんと佐藤さん、自分が好きなもののために寝る間も惜しんで努力するっていうスタイル。釣りであれ、プロレスであれ、何であれ、そのエネルギー、そのスタンスっていうのは単純に憧れますよね。やっぱりカバン一つで世界中を飛び回ってプロレスで飯を食えるっていうのが僕が始める前に漠然と思ってたカッコいいプロレスラーなんですけどね。それを体現してる二人。僕の憧れですね、二人は。最高に楽しかったです。またやりましょうって終わった瞬間に言っちゃうと、またすぐできると思われても悔しいんですが、できるタイミングは必ず僕は見計らってますから。いつか。プロレス界でいつかって言ってると、いつまでも来ないですけど、これは本当にいつか。またやりたいと思います。ありがとうございました」

【試合後の光留】
――大会を総括して?

▼光留「夢ってやっぱり形になったら想像とは全然違うもんだなと思いましたね。僕こう見えても子供の頃はアントニオ猪木になってヒクソン・グレイシーの息子を倒すと思ってた。マジで。東京ドームで、バックドロップで。でも気づいたら全然勝てない総合格闘家で、プロレスラーにもなれてないって言われて。でも風呂無しアパートでいつか見てろ、お前らって。佐藤光留の良さがわかんねぇヤツ何か目にもの見せてやるからってマジで思ってました。思ってるだけでなれるもんじゃないけど、頑張ったらなれましたよ。でも多くの手助けと人との出会いが僕を今ここにいさせてくれて、一つ夢を一つ叶えさせてもらったんで、ありがとうという言葉と、やっぱ夢って1個叶ったら1個出てくるなって思ったんで。次は別の夢を必ず叶えます」

――デスペラード選手と対戦した印象は?

▼光留「印象と全然違いました。もっと俺は新日本プロレスだ、かかってこいっていう感じだと思ったら、漁港で会ったまんまでした。あのまんまで来たから楽しくなっちゃって。気づいたら何分試合やりました? 26分やっちゃって。もう首も取れそう、足も取れそう、腰もたぶん明日、永田さん頑張ってください。入場はするし、ギャラはもらうけど、俺は試合出ない。それぐらいやられた。タックル一発が重かった。レスリング1個が凄かった。やっぱり新日本プロレスだなと思いました。でもメジャーでもインディーでもないよ。エル・デスペラードと戦えてよかったなと思います。でも、エル・デスペラードと叶える夢が1個できたんで、俺は叶えたいと思います」

――過去最高の客入りだったが?

▼光留「でも3桁です。4桁なんて夢のまた夢。でも夢がこうやって叶ってるんで、いつか2万人になるんじゃないかな。でも東京ドームはいかねぇよ、俺は。オードリーのイベントでしか行かないよ。俺は川崎球場でしかプロレスやんねぇよ。富士通スタジアムでしかプロレスやんねぇ。夢叶えようとしてるヤツら、死ぬなよ。それだけだよ。叶うかどうかはてめぇで頑張れ。死ぬなよ」

プロ格 情報局