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12/26【新日本】目指すは「東京ドーム超満員」 棚橋新社長が会見で所信表明

 棚橋弘至臣社長が26日、東京・中野坂上の新日本事務所で就任会見。東京ドーム超満員、地方大会でのタイトルマッチ増などを掲げた。

 棚橋は今月23日付で新日本の新社長に就任。アントニオ猪木、坂口征二、藤波辰爾に次ぐ史上4人目の社長レスラー誕生となった。木谷高明オーナーから打診を受けたのが今年11月。「まだ世界ヘビーのベルトも獲ってませんし、まだまだ鍛え直してという部分があったんですけど、同時にやってこそ逸材じゃないか」との思いで重責を担うことを決断した。

 そこで棚橋社長は3つの目標、方向性を定めた。一つは東京ドーム大会の超満員。かつてそれが当たり前だった時代もあったが、再び実現することが新日本の大命題となってきた。棚橋社長は「超満員の中でドームの花道を歩くのはレスラーとして誉れであり、今のレスラーにも経験してほしい。その後のレスラー人生に影響を与えるし、ファンの皆さんにもいい記憶として残る」との強いで目指していくつもりだ。

 そのために必要と考えているのが地方大会の充実だ。“暗黒時代"と称された頃、棚橋を中心に地道なプロモーション活動を展開した。その時、棚橋社長は「地方大会が超満員にならないと東京ドームも超満員にならない。地方の熱が高まって初めて東京ドームが満員になる」と実感。日本全国から今以上に熱を生み出すべく地方大会でのタイトルマッチを増やしていくことを考えている。

 そして棚橋社長自身も「オーナーの期待に応えられるように日々、新しい知識、経験を身につけながら頼りにされる、そんな存在になりたい」と経営面でも進化を遂げるつもり。社長レスラーとなり、その両立が課題となるが、棚橋社長は「レスラー生活と事務所仕事っていうのは続けてみないとわからないんですけど、周りにサポートしてくれる心強いメンバーもいますし、僕は何より疲れないので大丈夫」と断言。「年間の大会は巡業についていきますし、東京にいる時は社長業もやっていきたいですし、プロモーションももう一回先頭に立ってやろうと思ってます」と宣言し、「現役レスラー社長として日本一動き回る姿勢。そういう新しい社長の形を模索してやっていきたい」と自身の方向性を示した。

 「まだ世界ヘビーを巻いてないので、それがやっぱり一つの目標、僕のモチベーション」と話した棚橋社長は当然、現役続行にも前向き。「試合中に力が出る瞬間っていうのが最終的に自分が勝ちたいとか、目立ちたいとか、かっこよく見られたいっていうところのエネルギーよりも、ファン皆さんの応援に応えたい、見てもらって楽しんでもらいたいっていう、誰かのために何かを頑張る時の方が人間、力が出る」というように、リング上の姿勢はこれまでと変わらない。それは社長としても同じで、「これから社長業もファンの皆様のために、新日本の社員のために、そういう思いでやっていきます」と誓った。

 会見に同席した木谷オーナーは「僕は向いてるなというふうに思っています。それは苦労をいとわないところと明るい。で、頭脳明晰。資質としては十分だと思います」と棚橋新社長に期待。新たに取締役に就任した松本仁司氏(テレビ朝日 ビジネスプロデュース局担当局長)も「テレビ朝日で幅広くやってきました。そういった知見をすべて注ぎ込んで新体制、棚橋社長を支えていきたい」と後方支援を約束した。棚橋社長を柱とした新体制の新日本が来年1・4東京ドーム大会から本格的に始まる。

【会見の模様】

▼木谷オーナー「今日はお忙しいところ、このようにたくさんお集まりいただきまして、ありがとうございます。今日は棚橋新社長の最初の会見ということで本当に期待度も高いと思いますが、そのへんの期待に関しては質疑応答で私からも添えられると思います。まずは先日まで社長を務めてもらいました大張(高己)前社長に関して少しお話したいと思っています。大張社長、それ以前の部長の時代も含めて、コロナ禍に入ってからは、コロナ対策等でスポーツ庁との折衝も重ねてもらいつつ、新しい収入源を開拓しなきゃいけないということで、各種メディア売り上げが上がるようにしたり、また、スポンサーの開拓もかなり積極的に行いつつ、最近では本当に多くのスポンサーがついていただけるようになりました。また自治体との提携等も増えております。プロレスにおいて難しいところっていうのはやはり海外での大会。プロレスってやはり日本でやっていても、もともと存在がグローバルなものであったりしますので、海外での大会の主催、また海外の有力団体との渉外等、なかなか難易度の高い仕事を手腕を発揮していただいたというふうに思っています。ただ、新日本プロレスに入社してもらう前から、『とりあえず5、6年やってみようか』、『やってみます』というところから始まっていまして、やはりプロレス団体の経営は私がずっとそばで見てますけど、凄く難しい、難易度が高いと思っています。それだけプロレスが奥が深いという証明でもあると思っていますが、その奥の深さがいろんな角度からの奥の深さがあるのがプロレス団体の経営かなと思っていますし、日本にいながらも常にグローバルな視点で物事を考えていなきゃいけないところもプロレス団体の経営の難しさかなと思っています。そんな中でコロナ禍が始まりまして、その中でもかなりの対応力を見せつつ、それが終わって一区切りついて、これから動員を増やす段階だということで、動員の前のことはかなり昨年、一昨年とできてたのではないかなというふうに思いますけど、残ったところがよりお客様にプロレスを楽しんでいただいて、動員を回復、さらにコロナ前以上に成長させることかなというふうに思っています。そんな中で当初からの5、6年一緒にやっていこうよというところから新体制に移行すると同時に勇退していただくことになりました。本当にまだまだ活躍していただきたかったのですけども、今回このような運びとなりました。また新体制に伴い、世代交代の意味で西沢取締役にも退任していただくこととなりました」

▼大張前社長「大張でございます。本日はお集まりいただきまして、ありがとうございます。私は2019年1月から5年間、新日本プロレスでお世話になりました。2019年11月には新日本プロレス初の海外子会社である『NEW JAPAN PRO-WRESTLING of AMERICA』の初代CEOとなりました。2020年10月には新日本プロレスの第10代の社長となりまして、それ以来3年2ヵ月、その任務を務めさせていただき、このたび退任をさせていただきました。社長に就任した2020年というのはまさにコロナが始まった年。2020年の10月はこれから先どうなるのかわからない、トンネルの入口なのか出口なのか全くわからないような、そんな時代でした。未曽有の危機を乗り越えて、同じくコロナで苦しい思いをしているファンの皆様のためにもプロレスの灯を絶やさずに。さらには、その積み重ねがアフターコロナの武器になるようにと思って経営をする。これが私のミッションであったのではないかなと思います。コロナ禍の3年でデジタル、グローバル、そして他団体やスポンサー企業様とのパートナーシップ、これらを武器にビジネス面での改革についてファンの皆様、選手のみんな、社員のみんなと、皆様に支えていただきながら私の力の及ぶ範囲でできることはすべておかげさまでやり遂げることができたと思います。その間、いつも傍らで立場は違えど、かつての危機を乗り越えたV字回復の立役者として支えてくれたのが棚橋弘至新社長です。私と棚橋さんの関係は選手と社長というよりも、コロナ禍をともに乗り越えてきた戦友であり、同志であるような、そんな印象があります。いつも経営目線で気にかけてくれて、経営状況の共有もしました。そして新しい施策などもよく相談に乗ってくれました。声出しを回復した後楽園ホールでは汗まみれの棚橋選手に涙ながらに抱きつかれた。そんな思い出もございます。この3年2ヵ月で、皆様のおかげで作り上げてきた、この積み重ねの武器を史上最高の新日本プロレスを実現するために棚橋選手にすべて手渡せたことを大変うれしく思いますし、誇りにも思います。そして私は選手ではないのでリングの外のビジネスを専門としてテコ入れを行ってきました。一方で棚橋選手は選手であり、社長であり、リング内外垣根なくメスを入れていける経営者になられると思います。私は5年前まではイチファンでした。そして社長を務めさせていただきました。その観点からひと言申し上げると、プロレスはこちらの世界から見て、内部の世界から見て、私がファンであった時に想像していたものよりも何倍も何十倍も何百倍も尊いものだと知ることができました。そしてそのポテンシャルは今、顕在化しているものよりも何倍も大きいと思います。なので新日本プロレスは業界のリーダーとして棚橋新社長の新体制のもと、ますます発展していくものと思います。新体制下でも引き続き、より一層の応援をよろしくお願いいたします。最後に立ち上がらせていただきます。世界中のファンの皆様、私の人生の宝物になるような素晴らしい体験を3年2ヵ月にわたって与えてくださいまして、誠にありがとうございました」

▼棚橋社長「このたび代表取締役社長に就任しました棚橋弘至です。皆様、本日はお集まりいただき、ありがとうございます。ここからは座ってお話しさせていただきます。新日本プロレスでプロレスラー生活を送っていく中で新日本プロレスの社長になるというのは、いつしか僕の夢となり、目標となっていきました。なので今回それがかなって、とてもうれしく思っています。社長就任が発表になった時、本当に多くの方からお祝いの言葉をいただきまして、それも感激しました。と同時に、その多くの期待に応えなければならないという思いで身が引き締まっています。僕が社長になって新日本プロレスをどうしていきたいかというのを改めて考えてみたんですけども、まず一つは東京ドーム大会を超満員にする。これはずっと目標でもあったんですけど、やはり東京ドーム超満員の中で花道を歩くのはレスラーとして誉れでもありますし、それを今いる選手にも経験してほしい。それがその後のレスラー人生に大きな影響を与えるし、ファンの皆様の記憶の中にも楽しい記憶、よい記憶として残っていくと思うからです。それともう一つは地方でのタイトルマッチをどんどん増やしていくということです。2000年代、新日本の営業の皆さんとプロモーション活動をたくさんやらせていただいたんですけど、地方の大会はまず何とかまず500人入れよう。500人を達成したら次は1000人を目標にしようということでずっとやってきて。地方大会が超満員にならないと東京ドーム大会も満員にならない。そういうのがだんだん見えてきて、日本全国のプロレスファンの熱量が高まって初めて東京ドームが満員になるということがわかりましたので、それを改めてやっていきたいと思います。そして最後にスポンサー様とのパートナーシップの強化。新日本プロレスがより一層はばたくためには強力なタッグパートナーが必要だと考えています。現役レスラー社長として日本一動き回る姿勢。そういう新しい社長の形を模索してやっていきたいなと考えております。やりたいことはいっぱいあるんですけども、社長としてまだまだ身につけて勉強していかないといけないことも多いですが、全力で頑張っていきますので、皆様、棚橋弘至、そして新日本プロレスを応援よろしくお願いします」

▼松本取締役「テレビ朝日から参りました松本と申します。このたび取締役社長室長を拝命しました。今日はご取材および中継もしていただき、ありがとうございます。僭越ながら同席させていただいておりますので、少しお話させていただきます。着席させていただきます。私がやりますことは肩書通りと言いましょうか、プレイングマネージャーである、ものすごく働いていただけるとおっしゃっていただいていますが、やはり試合をしながらの社長業ですので棚橋さんをしっかりサポートしていくということだと思っています。テレ朝ではプロレスの仕事以外にスポーツの権利ビジネスを幅広くやったりですとか、総務部長をやったりとか、危機管理の仕事もやったりとか、あとはお客さんの顔が直接見えるようなイベントの仕事とか、幅広くやってまいりました。そういった知見をすべて注ぎ込んで新体制、棚橋社長をしっかり支えていきたいと思ってます。そして何より、もう24年間、棚橋さんがデビューされた直後ぐらいから私、新日本プロレスの仕事に携わらせていただいてまいりました。ですのでテレビ朝日のプロレスに対する考え方とか、課題とか、そういったものは知り尽くしているというか、私がずっと今までまとめてきたというところですので、今度は新日本プロレスの側で新日本プロレスの発展につながる施策、どういったことがテレビ朝日にできるんであろうかというところをしっかり考えて、両者で協力関係を強化していくというのが大きなミッションだと思っています。まずはこれから51年の歴史がある会社に敬意を表し、支えていただいているファンの皆さんに対する敬意をもって、急いで勉強してお役に立てるように頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします」

――社長を打診された時期、決意した理由は?

▼棚橋社長「社長を打診されたのは今年の11月ですね。木谷オーナーと食事の機会がありまして、その依頼を受けまして。僕もやっぱり現役を…まだ世界ヘビーのベルトも獲ってませんし、まだまだ鍛え直してという思いがあったんですけど、同時にやってこそ逸材じゃないかということで。少し考えたのち、木谷オーナーに『ぜひやらさせていただきます』とお伝えして現在に至っております」

――19年半ぶりの社長レスラーとなるが、新社長に選んだ理由は?

▼木谷オーナー「やはり一番苦しい時期に体を張って頑張っていただいたというのは大きなポイントだと思いますし、また棚橋さん、基本的に表向きもそうなんですけど、日常でも基本、ネアカなんですよ。経営者ってネアカじゃなきゃダメなところもあるんですね。もちろん冷静な部分も必要なんですけども。今、動員を増やして世界に打って出て、世界ナンバー1の団体を目指そうという時期。やっぱり明るく広がるような性格の方にやっていただくのがいいんじゃないかなと。今の時期です。時期によってまた変わったりするんですけど。経営者という立場からすると、やはり経営のことをちゃんと経験も積んで分かってる人がいいのかなという側面ももちろんあります。僕がイチプロレスファンに戻ったとしたら、プロレスファンからしたらプロレス団体の経営をプロレスラーがやる。それはそれで夢だと思うんですね。ドリームだと思うんです、プロレスファンから見ても。もっと言っちゃうとスポーツ選手って分かりやすい例でいくと野球を例に挙げますけど、少年野球をやっていて、高校野球をやっていて、甲子園に出て、この人将来どこまで行きそうか、なんとなく本人も周りもわかると思うんですけど、芸事の世界ってだいたいわかるんですよ。自分でも本当はわかってるんですよ、ここまでできるっていう。ただ経営者ってやってみないとわかんないんですよ。なので棚橋新社長も今凄く不安だと思うんですよ。ただ、これはやってみないとわかんない仕事なので。ただ、僕は向いてるなというふうに思っています。それはやはり苦労をいとわないところと明るい。で、頭脳明晰。資質としては十分だと思います。あとはやった時のストレスってまた違う種類のストレスがくるので、とりあえずやってみてくださいと。ただ、あまりにも初めてのことなので、周りでしっかりサポートしますという話です。いずれサポートなしでもいけるんじゃないかなというふうに思います」

――今の話を聞いて?

▼棚橋社長「非常に光栄ですね。オーナーの期待に応えられるように日々、新しい知識、経験を身につけながら頼りにされる、そんな存在になりたいですし。あと本で読んだんですけど、日本の経営者には血液型O型が非常に多いということで、僕はO型だったんで、それでしめしめと思ってます」

▼木谷オーナー「ちなみに僕はA型です」

▼棚橋社長「大変失礼しました(苦笑)」

▼木谷オーナー「経営者の資質で一番大事なのは全部くるんで言うと人間力ですね。人間力があると思ってますので。11月って話がありましたけど、別にその11月にいきなり思いついたわけじゃなくて、前々からいずれっていうことは考えておりました」

――プロモーション活動は続ける?

▼棚橋社長「新日本プロレスの年間の大会は巡業にもついていきますし。東京にいる時は出社して社長業もやっていきたいですし。プロモーションというのも先頭に立ってもう一度やろうと思ってますけど、やっぱり僕がやるのももちろんそうなんですけど、所属選手がとても多いので、オフの時期に選手が次のシリーズの大会の地に赴いて大会をやりますとプロモーションをやっていくことで、僕一人でやっていた時代より何倍もの効果があると思いますので、そういったところもオフの期間は選手にとって練習をしなきゃいけない大事な期間ではあるんですけど、そういうことも選手にお願いしていこうと考えています」

――社長としての資質は自分でどう思う?

▼棚橋社長「レスラー生活の中でいくつかの気づきがあったんですけども、試合中に力が出る瞬間っていうのが最終的に自分が勝ちたいとか、目立ちたいとか、カッコよく見られたいっていうところのエネルギーよりも、ファン方の応援に応えたい、見てもらって楽しんでもらいたいっていう、誰かのために何かを頑張る時の方が人間、力が出る。そういう考えがありまして。だから、これから社長業もファンの皆様のために、新日本の社員のために、そういう思いでやっていきます」

――棚橋社長がデビューした時は藤波さんが社長で、選手兼社長の苦労を見てきた。選手と社長の両立、シリーズフル参戦などが課題になるが?

▼棚橋社長「こればっかりはレスラー生活と事務所仕事っていうのは続けてみないとわからないんですけども、周りにサポートしてくれる心強いメンバーもいますし、僕は何より疲れないので大丈夫だと思います」

――社長として新日本を意識してみるようになったのがこの1ヵ月ぐらいだと思うが、現段階で団体としての課題、改善点などの気づきがあれば?

▼棚橋社長「これはなかなか難しいことなんですけども、ファンの皆さんがどういった新日本プロレスを見たいか。僕は試合終わったあとに楽しかったね、面白かったねと。そのあと飯食いながら酒飲みながら余韻に浸れるようなプロレスっていうのがね。僕もたくさん観戦していい思い出がたくさん残ってますし。プロレス観戦してそれをエネルギーに変えて日常に持って帰ってもらえるような、見に行ってよかったなと思えるようなものにしていきたいなと考えています」

――社長就任を伝えた時の選手の反応は?

▼棚橋社長「選手に伝えたのは最終戦ですね。22日の後楽園ホールの試合終了後に伝えたんですけども、まだみんなもビックリして、そんなにリアクションというのはなかったですね。これからいろんな反応が出てくるんじゃないかなと思うんですけど。僕の感覚ですけども、好意的に迎えられたんじゃないかなと思います。声はまだかけられてないですね。でも先輩、自分よりキャリアが上のレスラーには『頑張って』ということを言われました」

――創業社長である猪木さんに伝えたいメッセージはある?

▼棚橋社長「猪木さんが亡くなられて、その映画も出させていただいてというタイミングもあっての社長という重責を担っていくわけなんですけども。そうですね、やはり猪木さんが思い描いたプロレスというもの、プロレス会社というものは、僕としてはこうなんだろうなとイメージすることしかできませんけど、新日本プロレスが超満員で盛り上がっていたら、天国から見てくれてるであろう猪木さんも『おう、やるじゃねえか』と喜んでくれると思います」

――これまでの経験を経営者としてどのように活かしていきたい?

▼棚橋社長「常に少し先の未来を見る能力というか力というか。僕もプロモーションをやりながら経験したことがあって。やはりプロモーションをやっても、その効果というのは少し遅れてくるんですね。ディレイするというか。これを僕は3年後理論と呼んでるんですけど、プロモーションを本格的にやり始めたのが2006年、初めてIWGPチャンピオンになってプロモーションを始めて。コツコツ6年、7年、8年、9年と続けていって、6年のプロモーションが9年、9年のプロモーションが12年と、少し遅れてくるんです。すぐ手応えが感じられないかもしれないけど、プロレスの熱というのはじわりじわり伝わっていくんだという経験が自分の中でありますので。そのへんも選手の方に伝えていければなと考えています」

――この10年で新日本は急成長したが、エンターテインメント全体を勝ち抜いて事業成長していくための強みは?

▼棚橋社長「これもやっぱりファンの頃の経験なんですけども、応援している選手が勝つとうれしい。俺も頑張ろう、僕も頑張ろうという思いになる。まだその当時、推しという言葉、文化がなかったんですけど、プロレスラーというのはやっぱり対抗の図式があって、応援している選手がいて、推してる選手が頑張ってる、勝った、タイトル獲ったとなると、応援してくれたファンもエネルギーをもらえて力になるところがありますので。そういう推しの文化というのが他のジャンルにもありますけど、そういった応援の熱量を力に変えられるというのがオンタイムで、しかもリングサイドの応援がそのまま同時にリング上でのプロレスラーのエネルギーになるっていうのはプロレスならではのところではないかなと思いますので。会場の熱量をライブ、現地で観戦する部分でも映像配信でも広く伝えていって、大きい目標として日本を元気にというところができたらなと考えております」

――棚橋社長の考える社長レスラーの強みは?

▼棚橋社長「やはり営業活動が強みになるかなと思います。引退後もできないことはないんですけど、やはり現役であるというところのメリット。地上波の番組に出たりとか、雑誌、ウェブいろんなところに取材していただいたりとか。自分自身が日本全国を走り回って営業できる、プロモーションをかけられるというところが一番の強みかなと思います」

――棚橋さんの社長就任によってリング上の光景が変わるのか変わらないのか?

▼棚橋社長「現役生活についても、やっぱり考えてるところはあります。ありますけど、まだ世界ヘビーを巻いてないので、それがやっぱり一つの目標、僕のモチベーションになってますね。僕はプロレスっていうジャンルは社長を殴れる唯一の競技だと思ってますので。集中的に狙われるかもしれない。『何このヤロー、社長だぞ』とは言わずに、プロレスという競技で勝負したいと思います」

――東京ドーム満員という目標を掲げていたが、再来年から土日開催でチャンスとなるが?

▼棚橋社長「もってますね。『プロレスファンは四が日』というフレーズを数年前、連呼してですね。4日まで休んでプロレス見ようよというプロモーションをかけたことがあったんですけど、三が日、で、土日となると、これはきましたね。そういうタイミングも本当にありがたく思いますし、東京ドーム満員っていう景色をもう一回、僕自身もファンの皆さんにも見てもらいたいと思いますので、ぜひお力添えを願えればなと思います。ありがとうございます」

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