8/5【全日本】安齊V6戦へ「認められたいし、超えたい」、青柳「安齊勇馬の化けの皮を剥ぐ」 三冠戦会見
8・17立川大会の三冠ヘビー級選手権試合へ向けた会見が5日、東京・湯島の全日本事務所で行われ、王者・安齊勇馬、挑戦者・青柳優馬が出席した。
最年少三冠王者・安齊は8・3仙台大会で斉藤レイを激闘の末に下し、5度目の防衛に成功。立川大会で元王者でもある青柳迎撃が決まった。7・13大阪大会の諏訪魔戦を皮切りに、7・20後楽園大会の本田竜輝戦、そしてレイ戦を突破。青柳を退けたとしても、宮原健斗が挑戦を表明している9・1福岡大会も控える。
“過酷な夏"となっている安齊だが、この短いスパンで強敵をことごとく退けてきたことで「試合を重ねるたびに大きな経験をさせてもらってるのと、やっぱり一番は短いキャリアに対して本当にそれ以上の自信につながってる」と大きな収穫を得ることができた。
そんな中で迎えるV6戦。安齊にとって諏訪魔がプロレス入りの恩人なら、青柳はプロレスのイロハを叩き込んでくれた師匠といえる。「今までは負けたくないとか、この人に勝ちたいという思いで臨む試合がほとんどだったんですけど、今回はこの人に認められたいっていうか、この人を超えたいという思いが一番強い」という安齊は「今までこの三冠のベルトを獲ってから自分の腰にこのベルトを巻いてないのですが、青柳さんに勝つことで、胸を張って自分の腰にこのベルトを巻きたい」とキッパリ。青柳超えによって本当の意味で三冠王者になれると考えている。
対する青柳は昨年11・5札幌大会で中嶋勝彦に敗れ、第70代王者から陥落以来、9ヵ月ぶり2度目の戴冠を狙う。三冠戦線に絡むのもそれ以来で、満を持しての挑戦となる。この4ヵ月以上、三冠王者として戦ってきた安齊を「もう言うことなしです。本当に頼もしい選手だなと思うし、このまま安齊勇馬に食わせてもらおうという自分もいる」と手放しで絶賛した青柳は「デビューするための最低限の工程を教えるっていうのが僕の仕事だったので、それを実行しただけなので、やれ師弟関係だとか、僕に認めてもらうとかどうこうというのは気にしてほしくはない」と投げかけた。
とはいえ青柳もキャリア10年ながらまだ28歳の若さ。新時代の波に飲み込まれるつもりはない。「伸びしろしかないですよ僕は。これからどんどん脂が乗って良くなっていく一方だと思ってるんで。まだまだ僕も気持ちは新世代ですし、まだまだ2年目、3年目の気持ちでやってますよ」と強調し、「僕を応援してくれるファンの方もいらっしゃるので、その人たちのためにこのベルトを獲って、また全日本プロレスの一番になりたい」と三冠返り咲きを見据えた。
当日は新日本のG1両国大会、NOAHのN-1八王子大会との興行戦争となる。7・20後楽園大会における綾部蓮との次期挑戦者決定戦に勝利後、「プロレス界の夏を獲りにいく」と宣言したのもそれを強く意識してのこと。この日も「全日本プロレスの方が後にスケジュールを入れたと聞いてるんで、ウチが喧嘩売ってるようなもんなんですけど、そのへんも含めてしっかり興行戦争勝ちにいきたい」とあらためて対抗意識をむき出しに誓った。
「もし三冠チャンピオンになったら本当に勝手なワガママなんですけど、絶対に宮城県内で斉藤ブラザーズの挑戦は受けない」と今から戴冠後の公約を掲げた青柳。「通過点ぐらいだなとしか考えてないですよ、このチャンピオンは。次、宮原健斗が福岡で挑戦表明してるじゃないですか。そこに向いてますよ、彼の気持ちは」と自身に敬意を示す安齊に疑念の目を向けると、「さわやかな笑顔に騙されちゃダメです。8月17日、立川は青柳優馬が安齊勇馬の化けの皮を剥ぎにいきます」と陰湿全開に予告してみせた。
【会見の模様】
▼青柳「青柳優馬です。昨年の11月にベルトを落として以来の久々の三冠戦になります。ただ最近の全日本プロレスを見てると、とにかく若手だったり、新時代と呼ばれてる選手たちの活躍がとても目覚ましくて、僕なんかがもう頑張る必要がないんじゃないかなっていうぐらいの雰囲気を感じるんですよ。それでも僕を応援してくれるファンの方もいらっしゃるので、その人たちのためにこのベルトを獲って、また全日本プロレスの一番になりたいと思います。応援よろしくお願いします」
▼安齊「安齊勇馬です。8月17日、立川大会。vs青柳優馬ということで、三冠戦が決まるたびに毎回ワクワクしてると発言してるんですが、今回は特にワクワクしていて。というのも今までデビューしてからたくさんの人と戦ってきたんですけど、青柳さんとはまだ一度もシングルマッチをしたことがなくて。初めてのシングルマッチが三冠のベルトをかけた舞台での戦いになるっていうことに対して本当にワクワクしています。今までは負けたくないとか、この人に勝ちたいという思いで臨む試合がほとんどだったんですけど、今回はこの人に認められたいっていうか、この人を超えたいという思いが一番強い対戦相手であり、人なので、今まで以上に頑張りたいと思います。そして今までこの三冠のベルトを獲ってから自分の腰にこのベルトを巻いてないのですが、青柳さんに勝つことで、胸を張って自分の腰にこのベルトを巻きたいと思います」
――7月から三冠戦の連戦が続いているが、プラスになった面はある?
▼安齊「試合を重ねるたびに大きな経験をさせてもらってるのと、やっぱり一番は短いキャリアに対して本当にそれ以上の自信につながってるというか。この短いスパンで行われる三冠戦、その一つ一つ乗り越えていくことで本当に今、自分に自信を持って戦えてます」
――師匠的な存在である青柳選手との三冠戦だからこそ先ほどの発言になった?
▼安齊「僕が全日本に入団したきっかけは諏訪魔さんからのスカウトなんですが、入ってから腕立ての一回からプロレスの受け身の全てとか全部教わったのは青柳さんなので。そういう面で本当に一番認められたい、超えたいって思いがある人です。なので、この試合勝ちたいです」
――安齊選手の三冠王者としての戦いを見てきて感じていることは?
▼青柳「もう言うことなしです。本当に頼もしい選手だなと思うし、このまま安齊勇馬に食わせてもらおうという自分もいるので。ただ、それだと自分を応援してくれるファンの人に申し訳ないって気持ちがあるので、とにかく頂点に返り咲きたいという思いですね。自分自身もプロレス界全体で見渡しても安齊勇馬を中心に熱を発してるぐらいの勢いがあると僕は思ってるので。プロレス界の熱源に自らもなりたいと思ってるんですよ。認めてもらいたいとか言ってますけど、全然もう十分できることはできてますし。僕も練習生にものを教えるっていうのは仕事だったので、育てたとか自分が師匠だっていう気持ちは一切ないですね。とにかくデビューするための最低限の工程を教えるっていうのが僕の仕事だったので、それを実行しただけなので、やれ師弟関係だとか、僕に認めてもらうとかどうこうというのは気にしてほしくはない。もっと言うと、こんなさわやかなツラして、そんな優しいこと思ってるはずがないじゃないかっていうのが僕の考えなので。絶対そんなこと思ってないですよ。みんな、このさわやかでかわいい笑顔に騙されてるだけなんで。絶対にもう通過点ぐらいだなとしか考えてないですよ、このチャンピオンは。次、宮原健斗が福岡で挑戦表明してるじゃないですか。そこに向いてますよ、彼の気持ちはたぶん。絶対に思ってない。さわやかな笑顔に騙されちゃダメです。8月17日、立川は青柳優馬が安齊勇馬の化けの皮を剥ぎにいきますので」
――新時代と言われる中で、青柳選手もまだ若い。まだまだ引き下がれない?
▼青柳「そうなんですよ。僕まだ若いんですよ。今年で29ですけど、一応まだ20代ですし、キャリアもまだ10年目ですよ。これからですよ。伸びしろしかないですよ僕は。これからどんどん脂が乗って良くなっていく一方だと思ってるんで。まだまだ僕も気持ちは新世代ですし、まだまだ2年目、3年目の気持ちでやってますよ」
――三冠王者に返り咲いたら、どんな防衛ロードを描いている? 全日本をどうしていきたい?
▼青柳「僕が言うことじゃないかもしれないですけど、8月17日、立川大会っていわば興行戦争。他の団体も同じ関東内でやるわけじゃないですか。プロレス連盟とかそういうものがあるんだったら、大会とかが被らないように何とかしてほしいなという思いがあるんですよ。だから三冠チャンピオンになったら、そういうとこにも口出していきたいですし。あとから聞いた話だと、全日本プロレスの方が後にスケジュールを入れたと聞いてるんで、ウチが喧嘩売ってるようなもんなんですけど、そのへんも含めてしっかり興行戦争勝ちにいきたいという思いもありますし、ファンを疲弊させるような興行被りとかはやめた方がいいんじゃないかと苦言を申し上げていきたいです。あとはもし三冠チャンピオンになったら本当に勝手なワガママなんですけど、絶対に宮城県内で斉藤ブラザーズの挑戦は受けないということです。安齊勇馬vs斉藤レイ、裏で見てたんですけど、あの空気。安齊勇馬を応援する声もあったんで、さすが安齊勇馬だなって思ったんですけど、僕はたぶん無理なんで、そんなの。絶対に宮城県内で斉藤ブラザーズの挑戦は受けないということを公約に三冠ロードを歩んでいきたいですね」
――認められたいとか気にしなくていいと言われたが?
▼安齊「まあそうですね。青柳さんの考えとしてはそんなこと気にしなくていいとかおっしゃると思うんですけど、本当にこれは自分の自己満なんで。自分の中でお世話になった先輩と思ってますし。その人に一人前というか認められたいというのは誰しもが思うことなので。それは青柳さんがそう言われようと自己満だけなんですけど、僕の中でそういう思いを持ち続けると思います」
――三冠ベルトを失ってから挑戦までどんな気持ちで過ごしてきた?
▼青柳「率直に言うと自分が黒幕だったのかなという思いですね。僕が昨年11月、中嶋勝彦戦で負けてベルトを落として、一時期は凄く盛り上がってるように見えたんですけど、中から見ても外から見てもひどい状況が続いてたんで。僕も変な話、叩く側に回ってたんですけど、よくよく考えたら自分の責任だなって思いがあったんで。遠回しに僕が黒幕だったのかなという思いです。そういうのもあったんで三冠戦線にはもう絡まないようにしておこうと思ったんですよ。3月の大田区で安齊勇馬が獲り返して、全日本プロレスに希望が見えてきて、文字通り希望が具現化して全日本プロレスのあらゆる会場が満員になってきたり。安齊勇馬のおかげで今の全日本プロレスがあるなと思ってるんで。変な言い方ですけど、まだ若いんですけど、ちょっと老害寄りな人間なんで、そうならないように、この三冠戦で取り戻しにいきたい。信頼とベルトを取り戻しにいきたいと思ってます」
――青柳選手に指導を受けた当時のエピソードは?
▼青柳「本当に練習生だったので、右も左もわからない状態から始まって、先輩たちなんて自分が本当に吐くぐらいしんどい練習を顔色変えず平然とやってる中で、本当に凄い人たちだなと思っていて。自分の中で一番覚えている些細なことだと思うんですけど、デビューが決まってうれしい反面、不安もあって、今の自分で大丈夫かなって思ったんですけど、それを相談したというか、本当にボソっと言ったんですけど、『安齊なら大丈夫じゃない』みたいな。本当に些細なことなんですけど、その一言だけは今でもちゃんと覚えてますね」
――安齊選手が新人時代で思い出に残っているエピソードがあれば?
▼青柳「一応、指導者の立場ではあった人間なんですけども、本当に僕ってあまり人を見る目がないんですよ。こいつダメだなって、ダメ人間発見機みたいな感じでダメ人間はすぐわかるんですけど、そんな人を見る目がない僕でも、これは本当に全日本プロレスを食わせてくれる存在になるなというのが一目でわかるオーラじゃないけど、そういうのを発してたんで、来た時に全日本プロレス勝ったなと思いました。安齊勇馬が来てくれたことによって。プラスアルファ斉藤ブラザーズだったり、ELPIDAで活躍してる選手、あと自分の弟のこともそうなんですけど、他団体に出た時に新しいファンを引っ張ってきた活躍もあるんで、本当に頼もしいヤツらがいるから、全日本プロレスこれから先、負けることはないだろうという気持ちなんですけど、安齊勇馬が一番そのきっかけになった。そんな感じかなと思います。彼のおかげでたぶん全日本プロレスどんどん上がっていけるなと思いました」