8/19【新日本】G1覇者ザックが10・14両国でIWGP世界ヘビー挑戦 「内藤vsオーカーン」勝者と対決へ「ドッチデモイイヨ」
『G1 CLIMAX 34』覇者ザック・セイバーJr.が優勝から一夜開けた19日、東京・中野坂上の新日本事務所で会見。10・14両国大会でIWGP世界ヘビー級王座挑戦が正式決定し、9・29神戸大会の「内藤哲也vsグレート-O-カーン」の勝者と対決することになったが、「ドッチデモイイヨ」との意向を示した。
8年連続出場となった今年、ザックは7勝2敗の快進撃でAブロックを突破。優勝決定トーナメント準決勝で鷹木信悟を破ると、8・18両国大会における決勝戦で辻陽太を激闘の末に下し、悲願のG1初優勝を成し遂げた。「2日間の両国が自分のキャリアで最高の会場となり、自分のキャリア最高の試合ができたと思う」と満足げに振り返ったザックは「ようやくG1のチャンピオンになって自分の本当のキャリアがスタートした気分になっている」と今の心境を話した。
「キャリアで最高の達成」となったG1初制覇を遂げた今、次なるテーマはもちろんIWGP世界ヘビー獲りだ。優勝後にアピールしていた10・14両国大会での挑戦がこの日、正式決定。「ここでG1に優勝したということは、自分にとってこれからIWGPヘビー級王者になることに疑いはなく自分を信じきることができる」と言い切ったザックはすでに戴冠後を見据えている。
新世代の台頭がテーマの一つとなった今年のG1で、その一角である辻を破って優勝。ザックは「辻だけじゃなくて若い選手たち全員が台頭していかなければ新日本プロレスは大きくなっていかないと思う。だから俺自身は世代交代のちょうど真ん中にいるべき人物だと思っているので、新日本プロレスの上に立ってこれから引っ張っていく責任を負っていると自負している」とし、新日本を底上げする意味でも新世代勢の高い壁となるつもり。「短期政権で終わるつもりはない。これからの未来を担っていくレスラーになりたいし、過去と現在、そして未来を繋いでいけるようにこれからも頑張っていきたい」と誓うと、「このポジションは簡単には譲らないけどね」と言い切った。
両国大会の前にG1公式戦で王者・内藤を破ったオーカーンが9・29神戸大会で挑戦する。その勝者に挑むことになったザックも「G1で内藤を唯一破っている男でもあり、オーカーンが内藤に挑戦するのはとても納得のいくものだ」と異論はなし。G1公式戦で二人に勝利していることもあって「ドッチデモイイヨ」と日本語で言いつつ、「新日本プロレスのみならず日本で一番人気があるであろう選手を倒してベルトを獲ることが何よりもインパクトがあると思っている」と内藤からのIWGP世界ヘビー初戴冠を描いた。
【会見の模様】
▼ザック「まずは皆さんご来場いただき、ありがとうございました。今回のG1に関しては両国の2日間だけじゃなく、期間中すべてにおいてファンから素晴らしいリアクションをいただいて胸がいっぱいな思いだ。自分を信じてくれて、自分にインスピレーションをくれたみんなに感謝している。街を歩いても声をかけてもらったり、声援をもらったりしていた。ここで日本のファンのみんなの力も感じられたし、2日間の両国が自分のキャリアで最高の会場となり、自分のキャリア最高の試合ができたと思う。ようやくG1のチャンピオンになって自分の本当のキャリアがスタートした気分になっているので、今この瞬間が自分の新しいキャリアの初日と感じている。何人か感謝したい人たちがいるが、まず一人目、ブライアン・ダニエルソンが自分を信じて鼓舞してくれたことに感謝したい。彼は自分がプロレスを始めた初日からのインスピレーションだった。違う団体にいる中で応援をし続けてくれたことに感謝している。それと先日、引退を表明した小川(良成)さん。自分自身は自分のやるべきこと、目標に向けて突き進んできたけど、こういった人たちの影響もあってここまで来ることができた。そしてここで若いこれから頑張っていく選手たちにアドバイスがあるとすれば、準備を万端にしておくことで、自分の順番が来たときに力を出せるようにしておくことが何よりも大事だ。自分はここまで長くやってきたので、このポジションになるには十分すぎるほどの実績を積んできたが、ここでG1に優勝したということは、自分にとってこれからIWGPヘビー級王者になることに疑いはなく自分を信じきることができると思う。と言ってもG1覇者になったのは何よりもキャリアで最高の達成だったので、これを軽んじることはないが、ベルトを獲ることが次の目標になる。ただ、短期政権で終わるつもりはない。これからの未来を担っていくレスラーになりたいし、過去と現在、そして未来をつなぐ。外国人だけど新日本プロレスを愛し、日本を愛し、日本のプロレスを愛している人間として繋いでいけるようにこれからも頑張っていきたい。(立ち上がってTシャツを示し)大変申し訳ないけど、会見の場にカジュアルな格好で来てしまった。体格が大きくなりすぎて、今まで着ていたスーツが全て着られなくなったので、これからチャンピオンスーツを買いに行こうと思っているが、今日着ているのは自分のグッズであり、ニュージャパンショップでも買えるものなので、よかったらのぞいてみてほしい。カジュアルマンデー」
――今年のG1は新世代がテーマとなったが、決勝の相手となった辻に対して思ったことは?
▼ザック「おっしゃる通り新世代、ニュージェネレーションということで、辻が若い世代の中で初めてNEW JAPAN CUPに優勝し、G1の決勝に勝ち進んだということで、彼が新世代の代表と言える選手なのではないかと思う。これだけ短期間にたくさんのタイトルを獲得し、勝ち上がってきたのは素晴らしいこと。自分に負けはしたが、恥じることは何もない。まだまだこれから時間もあるので、これからの選手だと思う。今回は俺が勝ったが、それに関しては相応だと思っている。未来の若手の選手たちの話になると、辻だけじゃなくて若い選手たち全員が台頭していかなければ新日本プロレスは大きくなっていかないと思う。だから俺自身は世代交代のちょうど真ん中にいるべき人物だと思っているので、G1に優勝して新日本プロレスの上に立ってこれから引っ張っていく責任を負っていると自負している。そして全員置いてけぼりにすることなく、自分がスポットライトを独占するのではなく、徐々にみんなにスポットライトを当てていく。このポジションは簡単には譲らないけどね。でもみんなにとって素晴らしい未来になるために自分自身がこのポジションにいることが大事だと思う」
――2004年以来となるサブミッションによる決着の優勝戦となった。サブミッションの重要性をどう考えている?
▼ザック「もちろん2004年以来ということは頭の中にはあった。2004年に勝ったのは天山さんだったと記憶している。自分にとってグラップリング、サブミッションレスリングというのは何より大切にしているもので、プロレスの中でそういったテクニックを活かしていくことが大事だと思っている。それこそが唯一無二の自分自身のスタイルを作るし、近代プロレスの中にサブミッションレスリングを入れていけるというのを見せられるお手本になる存在でもあると思う。自分自身、体形を見てもヘビー級の中では大きい方ではないというところも踏まえてサブミッションを使っていくというのが勝っていく上でとても大事だった。若いレスラーたちにアドバイスできるなら、情熱をもって取り組むことが個々のスタイルを確立していくことも挙げられると思う。自分自身を信じて、自分の情熱を信じて、もちろんファンのリアクション、他のレスラーが何を言うかということもあるけど、そういったところを気にせず突き進んでいくことで、自分のスタイルが出来上がっていくと思う。俺はサブミッションレスリングを大切にしているけど、10年経って今を見返してみたときに、こういったものがあった、それがどういうふうに活かされたが分かればいいと思っている。自分にとっては勝つすべでもあるし、情熱でもあるし、昔から引き継がれてきたブリティッシュスタイルというのをモチベーションにやってきたので、とても大切なものだ」
――オーカーンが先に内藤に挑戦するが、どんな展開を予想、希望する?
▼ザック「内藤が(ジョン・)モクスリーからベルトを奪い返してくれてよかったと思っている。G1で内藤を唯一破っている男でもあり、オーカーンが内藤に挑戦するのはとても納得のいくものだ。ただ、自分自身にとってタイトルマッチというのは、新日本プロレスのみならず日本で一番人気があるであろう選手を倒してベルトを獲ることが何よりもインパクトがあると思っている。自分自身、新日本プロレスにおける今年のテーマはチェンジ、変化なので、誰からであれベルトを獲ることで変化をつけていきたい。オーカーンには自分がいつも勝っているので、(日本語で)ドッチデモイイヨ」
――G1史上初のイギリス人覇者で、初のヴィーガン覇者となったが、昨日はどんな食事でお祝いをした?
▼ザック「日本なのでいつも食べているものではあるが、豆腐をいっぱい食べた。近々ヴィーガンで初めてのIWGP世界ヘビー級王者になることだろう。自分の計画としては、これからヴィーガン主義というのをプロレス界でも広めていきたいと思っている。布教していきたいと思っている。ヴィーガンムーブメントは日本でも昔からあるし、和食はヴィーガンに近いものがある。穀物を食べる、野菜が多い。ということでプロレスラーのみんなにもヴィーガンとは何たるかを教育していきたいと思っている」
――SNSでフィン・ベイラー、ウィル・オスプレイらが祝福していたが、中でも印象に残るお祝いの言葉は?
▼ザック「誰かというより、試合が終わった後だけではなく、G1期間中もいろんなメッセージをもらった。世界中からいろんなメッセージが来ていたので、自分自身が中心になっているなと感じた。本当にいろんな人からサポートをもらって、G1覇者になったのはもちろん個人的にうれしいことだけど、それ以上に意味のあるものなんだなと感じて、今の自分は本当に止められない男になっているなと感じている。違う団体で活動しているが、みんなが同じ気持ちで俺の優勝を喜んでくれて、プロレスラーの気持ちが一つになったなと感じた。やはりこの一つの勝利が世界をつなげるし、国境というか自分たちに見えない線を乗り越えていく力があるように思った。そういった気持ちを共有できてハッピーになれるのは素晴らしいことだね」
――ヴィーガンにおいて重要なことは?
▼ザック「もちろん食べることが何より重要なんだけど、みんな植物性のものだけしか食べていない、栄養的に足りないと思われるかもしれないが、そんなことは全くない。肉を食べていたころと比べても自分のエネルギー源が違うってことが凄くわかるし、今はリカバリーも肉を食べていた時よりも短い時間でできている。プロレスラーはコンビニでササミを買って食べている。その1品目で20g、30gを摂っていると思うが、自分は様々なものを食べて、その中でバランスよく栄養素を摂っているので、体の作りはまた違ってくると思う」
――いつからヴィーガンを続けている?
▼ザック「(日本語で)9ネン。ライネン10ネン」
――小川選手から学んだことは? ザック選手にとってどんな存在?
▼ザック「もちろん彼のプロレスに対する情熱もそうだし、長いキャリアの中でNOAHの若い選手と毎日、リングから追い出されるまでずっといるぐらい熱いレスリングを見せてくれたのが何よりも大きいと思う。NOAHに入団すると、まず最初に小川さんが外国人選手たちの面倒を見てくれる。そんな人だったから、お世話になったよ。何を学んだかは何時間でも話せるが、大きいのはタッグパートナーとして同じコーナーという最高の席で彼のプロレスを見れたのがとても大きい。彼のスタイルはテクニカルレスリングとか言われるが、彼自身はいつもベーシックレスリング、基礎、基本ということを言う人だった。そのベーシックレスリングをやるべきだと。それが完璧にできれば、もう付け加えるものは大して必要なくて、そのベーシックレスリングを続けること、忘れずにいることが今トップのレスラーたちも忘れがちというか、軽んじていると思う。僕は小川さんに常に言われていたので、常に頭の中にある。基礎、基本を続けていくこと。複雑なことをやりたくなるんだけど、そういったことに流されず、まずは基本を大事にしてやっていくこと。毎回頭の中で小川さんの『テクニカルレスリングだよ、ベーシックだよ』って声が聞こえているよ」