▼ヒロム「70歳なんて嘘だろ? なんて力強いんだ。何度も危なかった。嘘じゃねえよ。この現役のジュニア最強のこの俺が本当に危なかったんだ。凄い。リング上で言ったことがすべて。苦労してるよ。若い人間すげえ苦労してるよ。上の人間に今の時代のプロレス否定されたら何信じりゃいいんだよ? あんたらだけは否定しないでくれ。じゃないと、この先のプロレスがなくなっちまう。今の時代の人間はあなたたちが残してきてくれたプロレスというものを必死に残そうと、必死にお金を稼ごうと頑張ってるんだ。10年後、20年後、30年後、プロレスがあるかわからないよ。それは今の人間にかかってるんだ。その頑張ってる人間のことをもっと褒めてあげてください。いつの時代もそうだ。あなたたちの時もそうだったのかもしれない。だったら同じことをしないでくれ。俺は藤波辰爾さんの『いつのどの時代のプロレスも面白い』という言葉、最高に大好きで、最高にリスペクトできるよね。リスペクトさせてくれ、頼む。藤波さんは今はたぶんスーパーヘビー級に近い体重だろうから、あと10キロぐらい痩せてくれたら、来年のBEST OF THE SUPER Jr.にエントリーしてほしいぐらいの輝きを放ってるよ。あの輝きは誰にも負けない、誰も勝てない。誰にも経験してほしい、あの人とのシングルを。でもなかなかできないだろ。だったらこっちが上に上がって、俺みたいになって、藤波辰爾さんと試合するしかない。絶対、全員経験するべきだ。運がいいことに藤波辰爾さんは生涯現役と言ってる。なんぼでもチャンスがある。みんなでもっともっと、もっともっとプロレス界盛り上げて、強くなろうぜ。メジャーだのインディーだのって関係ない。どこに境目があるんだ? もう言葉だけだろ? 存在してるのは。下らねえ。全団体で力を合わせてプロレス界を盛り上げないと、このプロレス村から脱出なんてできねえ。新日本だけじゃない、全日本だけじゃない、NOAHだけじゃない、メジャー、インディー関係ない。すべてが一つにならないと、すべてがプロレスを上げることを考えないと。ああ、そうだ。今、俺はワールドタッグシリーズ中だから、この調子で優勝しないと、藤波辰爾さんにも、獣神サンダー・ライガーさんにも申し訳ない。俺は正直ね、ライガーさんのことは消し去ったよ。考えちゃうと怖くなっちゃうからね。ふん」
『DRAGON EXPO 1978』後楽園ホール(2024年11月22日)
○高橋ヒロムvs藤波辰爾×
新日ジュニア新旧エース対決がドラディションのリングで実現。ヒロムが藤波超えを果たした。
藤波は日本プロレス界におけるジュニアヘビー級の先駆け。1978年1月にニューヨークMSGでWWWFジュニアヘビー級王座を戴冠し、凱旋帰国するとドラゴンブームを巻き起こした。以来、ジュニアヘビー級というジャンルが日本マット界に定着。その歴史は初代タイガーマスク、獣神サンダー・ライガーらに受け継がれてきた。そして現在の新日ジュニアの中心人物がヒロム。新日ジュニア新旧エース対決が実現した。
両者はシングル対決を約束し合った昨年5・30後楽園大会における6人タッグマッチ(藤波&船木&新崎人生vs越中詩郎&AKIRA&ヒロム)以来、1年半ぶりの対戦。かつて新日ジュニアの象徴と称されたライガーが特別レフェリーを務めた。
藤波は11・16小倉城プロレスで念願だった天守閣前でのプロレスを実現させたばかり。アームホイップで先手を取った藤波はヘッドシザースで捕らえる。ヒロムがグラウンドヘッドロックに持ち込んでもすぐさまヘッドシザースで捕獲。ヒロムもハンマーロックで絡みついたが、藤波は体を入れ替えてハンマーロックで切り返し、年輪の差をみせつけた。
パワーにも定評のある藤波は手四つにで押し込んだが、ヒロムは離れ際にチョップを打ち込んで反撃。冷静沈着な藤波はグラウンドヘッドロックで捕らえ、ヒロムがヘッドシザースで切り返しても巧みに切り抜けてのグラウンドヘッドロックに持ち込み、離れ際の張り手をお返しした。
さらにヒロムが逆水平を打ち込むと、藤波も張り手で応戦。激しい打ち合いに突入すると、藤波は左張り手を叩き込む。ヒロムはコーナーに追い込んで逆水平を連打し、低空ドロップキック、ショルダータックルで追撃。動きが止まった藤波を蹴りつけながら「藤波さん、こんなもんじゃないでしょう!」と迫った。
触発されたように藤波はドラゴンスクリューで逆襲。ドラゴンロケットは未遂に終わったものの、再びドラゴンスクリューでヒロムを吹き飛ばす。足4の字固めで数分間絞め上げ、ヒロムの悲鳴が響いた。
ドラゴンスープレックスはヒロムが阻止しても、藤波はスリーパーで絡みつき、ドラゴンスリーパーへの移行を狙う。読んだヒロムはこれをかいくぐると、ラ・マヒストラルで丸め込んでニアフォールに追い込む。藤波もワンハンドバックブリーカーで反撃するものの、自らの左ヒザにもダメージ。それでもヒロムちゃんボンバーをキャッチしての逆さ押さえ込みで丸め込んだが、ヒロムはキックアウトした。
すかさずヒロムは低空ドロップキック、ヒロムちゃんボンバーでたたみかける。2カウントで返した藤波もマットを叩いて自らを鼓舞したが、ヒロムはTIME BOMBを爆発。藤波は返せず、ライガーレフェリーが3カウントを叩いた。
新日ジュニア新旧エース対決はヒロムに凱歌。藤波超えを遂げた。試合後、マイクを手にしたヒロムは「藤波辰爾さん、そして本日お集りの超満員札止めのお客さん、本当にありがとうございました」と感謝し、「俺は藤波辰爾さんが『いつどの時代のプロレスも面白い』って言ってくれたこと、それから今この時代に頑張ってるみんなを下に下げないで、上に上げようと、そして藤波さん、今この時代のプロレスをリスペクトしてくれるところ。そんな藤波辰爾さんが大好きです」と藤波に敬意を表した。
「今の時代って楽だよなとか、今の時代プロレスじゃねえよ、戦いがねえよとか、いろいろ言われてきました。でも今日、藤波辰爾さんと試合して、俺が新日本プロレスに入る前に俺が好きだった9受けて10返すプロレスを体現してる藤波さん。やっぱり俺が考えた、俺が好きだった、俺が求めてた9受けて10返すプロレスでここまで頑張ってきて正解だってあらためて気づくことができました。藤波辰爾さんみたいなプロレスラー目指して、この先のジュニア、いやプロレス界を盛り上げてみせます!」と誓ったヒロムは「正直言って、藤波辰爾さんの入場ガウンを見た時、派手すぎて負けたと思いました。その藤波さんの考え、昭和、平成、令和関係なくプロレスというものを上に上げていくその力、最高です。ありがとうございました!」と再び敬意とともに感謝した。
ヒロムの手を借りて立ち上がった藤波は「高橋ヒロムは思ったより強かったな。新日ジュニアは強えや。ジュニアで育った人間からするとうれしいね。まだまだ新日ジュニアは捨てたものじゃないな」と賛辞を贈った。「まして今日はライガーがレフェリーってことでね。正直、高橋ヒロムがマイクを通じて言ってくれた通り、これは誤解した部分もあるけど、これはもう一回、新日ジュニアを見る価値あるな」と称えると、「本当に今回は久々のシングルマッチで何とか。胸の痛みと同時にいろんな部分で感じるものがありました」と満足げな表情を見せ、「今後ともプロレスをどうぞよろしくお願いします。本日は誠にありがとうございました」と感謝とともにメッセージを送って締めた。
【試合後のヒロム】
▼ヒロム「70歳なんて嘘だろ? なんて力強いんだ。何度も危なかった。嘘じゃねえよ。この現役のジュニア最強のこの俺が本当に危なかったんだ。凄い。リング上で言ったことがすべて。苦労してるよ。若い人間すげえ苦労してるよ。上の人間に今の時代のプロレス否定されたら何信じりゃいいんだよ? あんたらだけは否定しないでくれ。じゃないと、この先のプロレスがなくなっちまう。今の時代の人間はあなたたちが残してきてくれたプロレスというものを必死に残そうと、必死にお金を稼ごうと頑張ってるんだ。10年後、20年後、30年後、プロレスがあるかわからないよ。それは今の人間にかかってるんだ。その頑張ってる人間のことをもっと褒めてあげてください。いつの時代もそうだ。あなたたちの時もそうだったのかもしれない。だったら同じことをしないでくれ。俺は藤波辰爾さんの『いつのどの時代のプロレスも面白い』という言葉、最高に大好きで、最高にリスペクトできるよね。リスペクトさせてくれ、頼む。藤波さんは今はたぶんスーパーヘビー級に近い体重だろうから、あと10キロぐらい痩せてくれたら、来年のBEST OF THE SUPER Jr.にエントリーしてほしいぐらいの輝きを放ってるよ。あの輝きは誰にも負けない、誰も勝てない。誰にも経験してほしい、あの人とのシングルを。でもなかなかできないだろ。だったらこっちが上に上がって、俺みたいになって、藤波辰爾さんと試合するしかない。絶対、全員経験するべきだ。運がいいことに藤波辰爾さんは生涯現役と言ってる。なんぼでもチャンスがある。みんなでもっともっと、もっともっとプロレス界盛り上げて、強くなろうぜ。メジャーだのインディーだのって関係ない。どこに境目があるんだ? もう言葉だけだろ? 存在してるのは。下らねえ。全団体で力を合わせてプロレス界を盛り上げないと、このプロレス村から脱出なんてできねえ。新日本だけじゃない、全日本だけじゃない、NOAHだけじゃない、メジャー、インディー関係ない。すべてが一つにならないと、すべてがプロレスを上げることを考えないと。ああ、そうだ。今、俺はワールドタッグシリーズ中だから、この調子で優勝しないと、藤波辰爾さんにも、獣神サンダー・ライガーさんにも申し訳ない。俺は正直ね、ライガーさんのことは消し去ったよ。考えちゃうと怖くなっちゃうからね。ふん」
【試合後の藤波】
▼藤波「いやあ久々のシングル。自分の気持ちでシングルっていう発言をしたわけだから。ただ、相手が思った以上に新日本ジュニアは芯がしっかりと、新日本プロレス魂が入ってるなと。反対にうれしいですよね。こうやって身をもって受けてみると、容赦なくとことん。だから勘違いしちゃいけないのは、ジュニアってところでみんな動きに目がいっちゃんだけど、ちゃんと芯は、リングの中の相手にしっかり向いてるというね。痛みと同時にうれしさもあります」
――「今の新日ジュニアは見る価値がある」という言葉もあったが?
▼藤波「うん。どうしてもジュニア同士だと、自分たちが磨き上げた技に走っちゃうけど、こうやっていざ技であり、打撃であり、そうやって身をもって自分がいつも出せるっていうのを持ってるのが形に出るからね。そういうようなところをこれから打ち出して。安心しました。新日ジュニアは健在だ、新日ジュニア強えなって身をもって感じ取れたんで、ヒロム君を指名して正解だったなって感じがします」
――70歳でシングルを戦い抜いたが?
▼藤波「ちょっとそのへんがお客さんが不満に思わなければいいんだけどね。正直なところ、20代、30代の動きはきついね。自分の記憶をたどりながらやったけど、リングに上がるっていうのはそこに照準を絞って勝負を挑んでるんだから、これはもう言い訳なし」
――来年へ向けて手応えもあった?
▼藤波「そうですね。今回の11月、夢の小倉城決戦で一つの夢も叶えたし、いろんなところでプロレスっていう部分を見方を変えれば、まだまだ掘り起こすとこはいっぱいあるんでね。プロレスの素晴らしさというのかな。そういう部分で今回、小倉城のシチュエーションの中でプロレスを見た時に、戦国の戦いと現代の戦いと、戦う意味は違いますけどね。見る立場からすると非常に興味深かったんじゃない? まだまだ自分のやるべきこと、やりたいことはホントに山ほどあるんでね。まずは小倉からスタートして、全国の城を回れば。回り切れないぐらいいっぱいあるからね。当分これ10年どころか回り切れないけど、自分の趣味という部分でもやるべきことが増えたこの11月でした」
――超満員だったが?
▼藤波「やっぱり今いろんな団体を見ていて、ファンはいろんなものに興味を持って愛してくれてるんだけど、この試合は見ておかないといけないなというところで、ファンはありがたいことに、これだけ足を運んでくれたんでね。それを大事にね。ドラディション主催は今年最後ですけどね、また来年やるつもりでいますけどね。ファンの皆さんにプロレスの凄さを見せたいね。ありがとうございました」