【新日本】“親父の背中"に大永田コール…後藤V2も永田13年4ヶ月ぶりIWGP挑戦で激闘「また立ち上がる」 2025/3/15

『NEW JAPAN CUP 2025』愛知・ドルフィンズアリーナ(2025年3月15日)
IWGP世界ヘビー級選手権試合 ◯後藤洋央紀vs永田裕志×

 キャリア32年、56歳の永田が実に13年4ヶ月ぶりにIWGPヘビー級王座に挑戦。王者・後藤に敗れたものの、大永田コールのなかで愛息・裕生さんのに“親父の背中"をみせ、「また立ち上がる」と前を向いた。

 かつて“ミスターIWGP"と呼ばれた永田。どれだけキャリアを重ねようとも挑戦を目指し続けてきたが、後藤の指名によってついに実現。IWGP再挑戦を誓い続けた愛息・永田裕生さんを連れ立って大永田コールのなかで入場し、実況もテレビ朝日・野上慎平アナウンサーが務めた。

 かつて永田の付け人を務めた後藤。56歳になったかつての師の挑戦を受けた45歳の王者も、容赦なしに潰しにかかる。永田がテーピングを施している左ヒザに集中砲火を浴びせた後藤は、響く永田コールにも構わずにその後も猛攻、裏GTRからラリアットで早くもフィニッシュ態勢に入った。

 それでも避けた永田は腕を絡め取る。大“白目"コールのなかで腕固めで後藤を絞めに絞め上げると、雪崩式エクスプロイダー、大☆中西ジャーマン、バックドロップ…と大技を連発して王者の牙城に迫った。

 必死に肩を上げ続けた後藤もどうにかGTWで巻き返したものの、永田も立ち上がって意地のエルボー合戦に突入。永田は昇天・改を浴びてもクリアし、打撃戦で視線をさまよわせながらも必死に立ち続ける。場内が熱を帯びるなか、死力を尽くしてフライングニールキックで頭部をえぐったが、意地で倒れない後藤も魂のラリアットをズバリ。続けざまにこん身のランニングローキックからのGTRで叩きつけて3カウントを奪った。

 最後は後藤が永田を堂々ねじ伏せて2度目の防衛に成功したものの、今宵の“主役"はやはり永田だった。後藤が求めた握手を永田が握り返すと、場内は再び大永田コール一色に。観衆に深々と頭を下げて感謝した永田は、リングサイドで観戦していた裕生さんのもとに歩み寄り、“親父の背中"をその目に刻み込んだ愛息とグータッチを交わした。

 バックステージでは温かい大永田コールに改めて感謝し「何度も次立ち上がろうって気持ちにさせてくれましたね。また立ち上がります」と、しっかり“前"を向いた。父との二人三脚でいまやレスリングの強豪選手に成長した裕生さんも、元日本王者でもある父に「次は自分が試合で結果を出します」と誓いを立て、“親父"も何より嬉しそうな表情で全面サポートを約束した。

 勝った後藤も「永田さん、強かったです。王者として俺が乗り越えなければならないもの、またひとつ、乗り越えることができました」と師に感謝。次はNJC優勝者の挑戦を受けるが「誰が上がってこようと、この俺が勝ちます。後藤革命はまだまだ終わらない。最後の最後まで後藤革命についてこい! IWGPのGは後藤のG!!」と叫んで地元・桑名にほど近い名古屋ビッグマッチを堂々締めくくってみせた。

【後藤の話】「(※用意されていたイスに座って)ありがとうございました。俺が、王者でやっていく上で、乗り越えなきゃいけないものをまた一つ、乗り越えることができました。『NEW JAPAN CUP』中ということで、いろいろ賛否はあったかもしれないけど、俺には時間がないんです。ベルトを獲ることが遅くなった分、俺は、急がせてもらいますよ。次(の挑戦者)は、『NEW JAPAN CUP』優勝者。誰が来ようと、このベルト、渡さない。“後藤革命"は、まだまだ続くぞ」

※この後、YOSHI-HASHI を迎え入れて、祝杯用に用意されていた缶ビールで乾杯。後藤は「最高だ」と漏らして缶ビールに口をつけ、YOSHI-HASHI の祝福を受け、「ありがとうございました」と言い残して席を立つ


【試合後の永田】

※永田の横には裕生くんがピッタリと寄り添っている。さらに小島もコメントスペースに並ぶ。

――永田選手、お疲れさまでした。

▼永田「(※小声で)チッキショー……。13 年、何カ月ぶり? 4カ月ぶり? (※絞り出すような声で)勝ちたかったなあ……。勝ちたかったよ……。悔しくて悔しくてしょうがないよ……。チッキショー……。やっとつかんだ挑戦権だったのにな。でも、後藤強い。後藤は強い……。やっぱ苦しんで苦しんで、IWGPのベルト獲っただけのことはありますよ。そういうのがなんだ……腹の底から(出てくる)とてつもない強さってものを感じましたね、はい(※自分に言い聞かせるように何度か軽くうなずく)」

――改めて、IWGP戦というのは永田選手にとってどのような闘いでしたか?

▼永田「最高潮の舞台ですよ、ほんとに。もう、わき上がり方が違いますね。自分の中の感情が。だから勝ちたかった。勝ちたかった……」

――この14年、振り返ってみてほんとに長かったと思います。

▼永田「長かったねえ……。でも、IWGPを獲るということを念頭に、さまざまな試合、さまざまなタイトルマッチをやってきたけど、その中でいろんなベルトを(獲ってきたけど)、やっぱりIWGP戦が一番。なんとしても、もう1回獲らなきゃ。というか、まだ(やり残したことが)残ってる。もう時間は、そこまで残されてないかもしれないけど、やっぱりこれからもまた、改めてIWGPのことを念頭に、闘っていきたいと思います」

――もう1度、IWGPを目指しますか?

▼永田「当り前じゃない。常に俺の頭の中には、それが念頭にあるから。辞める時は、あきらめる時が辞める時だ……ですよ。必ず、必ず……。俺がベルトを獲るか、俺の体が動かなくなるか、どっちが早いか。それですね」

――そして裕生くんに、お父さんの闘いを届けられましたね?

▼永田「ま、今回も、強い親父の背中を見せられなかったけど。たぶん、俺以上に悔しいと思いますよ。(※隣で何度も軽くうなずく裕生くんに向かって)だから、お前が強くなれ。お前が強くなれよ。泣きみそで、ジュニア(クラス=15歳=になる前)前、泣きみそでいつも負けると泣いてたのに、こ
いつが一生懸命レスリング頑張って、全中(学生)チャンピオン、U15アジア銅メダリスト、そしてこれからもどんどん(大会に)出てさまざまなタイトルを獲る。そういう希望だけは、俺の背中を見せて本人に与えられたら。強い姿は見せられなかったけど、そういうなかで悔しさを俺以上に感じて、どんどん強くなって。彼に負けないように、俺もやんなきゃいけないなと思いました」

――あとは裕生くんの声援もそうですけども、挑戦表明したのちは賛否両論わき起こった中で、今日の闘いの中で大きな「永田」コールが送られました。どんなふうに聞こえてましたか?

▼永田「いやもう、俺の背中を後押ししてくれる声援でした。ほんとに今日は、東京のお客さまの永田を応戦してくれる方々で、彼(裕生くん)も含めてたくさん来てくれたことで、ちょっとは今日のお客さん(動員)に貢献できたかなと……。だからこそ、もっと強い背中を見せたかったなと思いますね」

――またここからですね?

▼永田「まだまだ。立ち上がりますよ。人間ほんとに強いヤツは誰かわかったでしょ? 倒れてもそこから立ち上がるか立ち上がらないか。ほんとに強いのはそこでしょ? また立ち上がります。以上です」

――入場時の「永田」コール、体操する時の「永田」コール、どのように受け止めてましたか?

▼永田「感謝。感謝……。背中を目いっぱい押してくれた。次また立ち上がろうという気持ちにさせてくれましたね。ファンの皆様の応援は……」

――最近の新日本プロレスでは乱入や介入が多い試合の中で、本来あるべき新日本プロレスのスタイルの試合を見せられたんじゃないかと思いますが……。

▼永田「ま、もしかしたらそれも今回の挑戦での俺の役目だったかもしれませんね。使い古された言葉かもしれませんけども、やっぱ“ストロングスタイル"。相手にスキを与えずに、一瞬のスキでも見つけて取りにいく。腕でも脚でも。そのお互いの状況を探りながら攻めていく。最後は意地の張り合い。今日は(意地の)張り合いで洋央紀に負けました。次はそうはいかない。新日本の源流をちょっとだけ。ま、年の功って言ったらあれだけど、うまく見せられたかなと。それはありますね。まだまだ頑張ります。ありがとうございました(※と礼を述べ、深々と頭を下げる)。裕生、今日はありがとう(※と言って握手を交わす)。小島さん、ありがとう(※と小島とも握手を交わす)。(※裕生くんの肩を叩きながら)お前、強くなれ。お前、お父さん以上に強くなれるのは間違いない」

▼裕生くん「(※父に向かって)次は自分の番です。次の試合、それで……」

▼永田「U17 か……」

▼裕生くん「ハイ。それで自分は……」

▼永田「勝てよ」

▼裕生くん「自分の、ま……言い方変になっちゃいますけど……」

▼永田「お前の見さしてもらうよ。お父さんの活力にさしてもらうよ。お前の闘いを見て、いつもお前に元気もらってんだよ。だからそのために練習いっぱいやらないとな。サポートするから。(※激励するように裕生くんとがっちり握手を交わして)以上です。よろしいでしょうか?」