【NOAH/インタビュー】遠藤哲哉のN-1テーマは“復讐へのリスタート" G1制覇・TAKESHITAには「おめでとう」と「ありがとう」 2025/8/27

 9・8後楽園大会から開幕するNOAH最大のリーグ戦『N-1 VICTORY 2025』。年初からNOAHレギュラー参戦を続けてきた遠藤哲哉も初出場を果たし、多くの注目のシングル初対決が実現する。

 Aブロックにエントリーして、KENTAや清宮海斗、藤田和之らとの対決がスタンバイ。そしてここに来て、かつて宿命のライバルと呼ばれたKONOSUKE TAKESHITAが新日本G1 CLIMAXを制した。あらゆる“刺激"に囲まれてN-1を迎える遠藤に、その心境を聞いた。


【遠藤哲哉インタビュー】

――N-1初出場を前に率直な思いは?

▼遠藤「今回のN-1、一言でテーマを言うなら『復讐のリスタート地点』ですね。今、僕がNOAHに上がってるきっかけのひとつは、2022年『Cyber Fight Festival』NOAH vs DDT対抗戦でDDTが全敗したこと。確かに今年6月のGHCヘビー級のタイトルマッチで僕がGHCヘビーを獲っていれば『DDTもNOAHに負けてない』ってことを証明できたと思うんですけど、それは叶わなかった。だから次に証明できる舞台といえばN-1ですよね。もちろんGHCヘビーにも再び近づくことができるし、DDT、ひいては遠藤哲哉の価値もプロレス界で高めていける。そんな舞台だと思っています」

――“復讐"といえども、恨みというよりは対抗心?

▼遠藤「そうですね。復讐っていってもネガティブな意味合いじゃなくて、もちろんNOAHのプロレスを認めてるからこその言葉で。だからこそ過去のケジメをつけたい気持ちも高まったし、その中で自分の価値を高めていきたい…って思いでやってきたので」

――Aブロックのメンバーを見て思うことは?

▼遠藤「Aブロックのなかで他団体所属は自分だけ。ほぼ所属の選手が占めるなかで、自分だけが“別の家"がある。だからこそ今回のN-1で台風の目になるのは自分なんじゃないかと思ってます」

――開幕戦9・8後楽園の相手はダガになります

▼遠藤「DDTの頃、彼のことはほぼ知らなかったんですけど、NOAHに上がって実際日々試合をみてみて『過小評価されてる選手だな』って感じましたね。本来はもっと評価されるべき選手。ただ、自分はTEAM 2000Xを抜けたんで言いますけど、彼は自分自身を『ライオンだ』って言ってますが、現状はT2000Xのペットの猫みたいなもん。願わくばライオンのダガとやりたい。かわいい猫をいたぶったところで、何の評価も得られないので」

――続く9・11岡山では佐々木憂流迦と当たります

▼遠藤「DDTの頃から憂流迦さんのことは気になっていて、『試合したいな』って思ってたんですよ。でもNOAHに来てから対戦する機会はほとんどなくて、T2000Xにいた時に少しだけ…1分ぐらい触れた程度。でも、その1分そこそこで“対抗策"がすべて見えてきました。シンプルなプロレスをする人。だからこそ勝ち筋がイメージしやすかった。それをシングルで実践してみるのが楽しみだし、自信もありますね」

――次の9・14広島では征矢学と今年3度目の一騎打ち

▼遠藤「ほかの選手は全員シングル初対決なんですけど、征矢選手だけは今年3度目…(笑) 最初に当たった1月のナショナル戦はT2000X介入ありきで僕が勝利。次のナショナル戦は向こう(情熱RATEL'S)の介入ありきの敗北。だから3度目は正真正銘、1対1の勝負。今回の結果がお互いの真の実力だと思うんで、白黒ハッキリつけたいですね」

――次の9・15熊本では藤田和之との対戦です

▼遠藤「僕のファンの方々も、このシングルを一番楽しみにしてくれてるんじゃないですかね。まさに野獣。これまでも何度か当たってきたんですが、最近話題のヒグマと闘っている感覚になりますね。人間とプロレスしてる感じがない…というか。だからフィジカルでは勝てないですけど、プロレスIQで勝負。知能指数では人間の僕のほうが上だと思うので、頭を使う試合をしたい。相手は野生の動物だと思って闘いたいですね」

――9・17大阪では清宮海斗と注目の初シングルです

▼遠藤「清宮選手は過去DDTとの対抗戦で上野勇希に負けて終わってるんで、対DDTに対しては思うところもあると思うんですよね。いうなれば対抗戦で負けた者同士の闘い。清宮選手もNOAHを背負ってる意識がひときわ強い選手だし、互いに団体を背負って戦えれば。今回の公式戦のなかで、一番“対抗戦"のマインドが強い一戦だと思ってます」

――そして佳境の9・20浜松では黒く染まったマサ北宮と当たります

▼遠藤「北宮選手に対して言いたいことは“二番煎じ"。T2000Xに入る…っていうトレンドに流されてる。確かに今年、OZAWA効果もありつつ、T2000Xもプロレス界でトレンドになりましたよね。メンバーも増殖していきましたけど、6月に入って杉浦貴が入って、ヌルが入って…飽和状態になってるところに今度はマサ北宮が入った。ちょっと大局が見えてないなと」

――変わるために安直な道を選んだように見えた?

▼遠藤「そうですね。何か行動を起こすんだったら、お客さんが想像できないようなサプライズを起こしたい…って気持ちが僕にはあるんですけど、北宮選手が姿を消した時点で、SNSとかを見てると『北宮がT2000Xに入るんじゃないの?』って声がチラホラあって。だから『やっぱりね』って思われたらプロレスラーとして負けですよ」

――最終公式戦の9・21宇都宮では現GHC王者KENTAとシングル初対決です

▼遠藤「Aブロックの中で誰が一番気になりますか?って問われたら、やっぱりKENTA選手が一番“おいしい"相手ですよね。おいしい相手。現チャンピオンですし、ネームヴァリューもあるし、最終公式戦だからブロック突破へ前進できる。だから何がなんでも勝ちたい。もちろんすべての公式戦で勝ちますが、一番勝ち負けの重みがあるのは最後のKENTA戦なんじゃないかな…と思いますね」

――そのうえで優勝決定戦に進出したら誰と当たりたい?

▼遠藤「OZAWAか拳王ですね。OZAWAには実際負けてますし、NOAHへの“復讐"というテーマにも合った選手だと思うんで」

――DDTでずっと比較されてきたKONOSUKE TAKESHITAも、ここに来てG1 CLIMAXを制した

▼遠藤「はい。でも正直、自分のなかでは素直に祝福して良いのか…って気持ちがあって。もちろん凄いことだし『おめでとう』とも思うんですけど、ただ、僕もリングに立つ人間として意識するところはあって。悔しさもあるんですよね。ずっと同じ団体で、同じ2012年デビューで、ずっとしのぎを削ってきた仲間なんで。ずっと僕の先を行ってた存在でもあるんですけど、DDTで最後にTAKESHITAから3カウントを獲ってるのは僕なんですよね。それでも彼には2歩も3歩も先を行かれた。だから何としてもN-1を優勝して、自分としても上昇する足がかりにしないと」

――今のTAKESHITAは以前とはまた違った輝きを放っている?

▼遠藤「そうですね。AEWがどうとか、新日本がどうとかっていうんじゃなくて、ずっと日本で活動していたレスラーが、海外に拠点を移して、そこでトップを獲るってこと自体がまず凄いんで。環境が変わっても、必ずそこで一番になってる。それが彼の凄いところ」

――TAKESHITAのG1制覇は強烈な刺激になった?

▼遠藤「もちろん。でもまぁ………『おめでとう』ですね、うん。でも、同時に僕に対してプレッシャーを与えてくれて『ありがとう』でもあります。それは優勝して自分の声で伝えたいですね、改めて」

――遠藤哲哉の公式戦日程――
9/8後楽園:vsダガ
9/11岡山:vs佐々木憂流迦
9/14博多:vs征矢学
9/15熊本:vs藤田和之
9/17大阪:vs清宮海斗
9/20浜松:vsマサ北宮
9/21宇都宮:vsKENTA