【ブラッドスポーツ】6・22両国へモクスリー「戦いの本物の魂を見せる」、バーネットは連勝によるIWGP挑戦視野に 2024/6/21 17:00

 6・22両国大会参戦選手が21日、都内で囲み取材を受け、IWGP世界ヘビー級王者ジョン・モクスリーが「自分が生きて帰れるかわからないが、戦いの本物の魂を見せて、いいものを届けたい」と覚悟とともに誓いつつ、次期挑戦者・内藤哲也に向けて「本当のサバイバーだと思うが、今回でジ・エンドだ」と通告。対するジョシュ・バーネットは「プロレスで最強は誰かを証明するチャンスでもあるし、正式にそのベルトに挑戦する権利を得られるかもしれない」とIWGP王座挑戦を視野に入れた。

 ブラッドスポーツはバーネット主催によるプロレスイベント。これまでアメリカで開催されてきたが、今回、日本初進出を果たす。試合はノーロープのリングで行われ、KO、ギブアップ、レフェリーストップにより決着となる。メインイベントでは主催者・バーネットとIWGP世界ヘビー級王者・モクスリーが対決する。両者は2021年4月にブラッドスポーツで対戦し、バーネットがレフェリーストップ勝利。モクスリーにとっては雪辱戦となる。

 モクスリーはブラッドスポーツでの戦いを「プロレスのピュアなものを全て注ぎ込んだルール」、「最高の技術の試し合い」、「頼れるのは自分の技術のみ。本当のサバイバル」と考えている。そのリングにIWGP世界王者として登場することになり、バーネットとの再戦に臨む。「物凄く試合は僅差だったと思うので、もう少しで勝てたのが見えた瞬間、それがたくさんあったにもかかわらず負けたのが一番悔しかった」と3年前の対戦を振り返ったモクスリーは「明日はどうなるかわからない。自分が生きて帰れるかわからない」と覚悟。「もしアントニオ猪木さんが生きていたとしたら、ジョシュ・バーネットが何なんだ、相手がどうとかではなく、今何ができるかが一番大事だ。絶対にそう言うはずだ」とキッパリ。IWGP創設者でもある猪木さんの存在を意識しつつ、「戦いの本物の魂を見せて、日本中、世界中のファンにいいものを届けたい」と誓った。

 今月30日(現地時間)にはアメリカAEWマットで内藤哲也とのIWGP世界ヘビー5度目の防衛戦も控える。2ヵ月ぶりのリマッチで、過酷な戦いが続くことになるが、モクスリーにコンディション面での不安は皆無。「内藤は本物のサバイバーだと思う。俺と似ている部分がある」と評価し、「ただ、今回でジ・エンドだ」と通告。一方で、「内藤戦はその次だ。今、大切なのはブラッドスポーツにどれだけ集中できるかだと思っている」と強調した。

 迎え撃つバーネットは相手のモクスリーを「一番のストロングポイントは絶対にあきらめない心だと思う。どんなことがあっても簡単にあきらめないし、どんな最悪な状況でも少しでも前進してチャンスをつかもうとする」と評価。「彼はレスリングのバックボーンがあり、技術が多岐にわたっていて、どんな技を使うか予測がつかない」と警戒している。

 一方でIWGP世界王者としての参戦がバーネットのモチベーションを高めており、「ベルトは誰が持っているかが非常に重要なことで、今モクスリーが持っているが、彼はジョシュ・バーネットの強さを最大限に引き出してくれる」と確信。新日本参戦時の2003年に当時のIWGPヘビー級王者・永田裕志に挑戦したこともあるが、現王者・モクスリーに連勝すれば大きな実績となるのは確実。「プロレスで最強は誰かを証明するチャンスでもあるし、正式にそのベルトに挑戦する権利を得られるかもしれない。両方のチャンスがある」と久々の“IWGP挑戦"に色気を見せた。

 また、バーネットはプロモーターの立場で日本での継続開催を視野に。「選手としては非常に興奮しているし、プロモーターとしては緊張している」と複雑な心境を口にしたバーネットは「選手が最高のものを出してくれると思うので、それに期待するしかない。試合が終われば全てがわかるだろう」と自信満々。「一番大事なのは強いインプレッションを残して、もう一度見たいと思う大会にしないと意味がない。今まで見たことのないような大会にして人の心を動かす」と両国大会成功を誓った。

【会見におけるモクスリー】

▼モクスリー「ブラッドスポーツは自分が一番好きなものの一つで、今までWWEとかいろんなところで戦ってきたが、その中でも一番好きなものだ。初めてブラッドスポーツを見たのは鈴木みのるvsジョシュ・バーネットだった。プロレスのピュアなものを全て注ぎ込んだこのルールというのが本当に斬新で、最高の技術の試し合いだと思っている。北米のプロレスではクソみたいなものが凄く多くて、そこにはキャラクターが重視されていたり、プロモーションのいろんなものが絡んでいたりするが、そういった無駄なものが一切ないものだと思った。頼れるのは自分の技術のみ。本物のサバイバルだった。そういった本物の戦いの中でジョシュ・バーネットとの対戦が実現しないといけないとずっと思っていた。1回目の対戦ではみんなの予想通りの結果になった。ジョシュが俺の頭を延々と踏みつけて血まみれになったわけだが、最後、踏みつけされた時は意識が飛んでいて、気づいたら試合が終わっていたような状況だった。これは誰もが予想していた展開だと思うし、ブラッドスポーツというジョシュ・バーネットが作った王国。そんなことは当たり前だと思う。ただ、自分がそこで一番悔しいなと思ったのが、勝敗ではなく、物凄く試合は僅差だったと思うので、もう少しで勝てたというものが見えた瞬間、それがたくさんあったにもかかわらず負けたのが一番悔しかった。それが幻想でも夢でもなく、本当に自分で感じたもの、目に見えるぐらい勝利がすぐそこにあった。それでも負けたのが悔しかった。今、俺はIWGP王者になり、こうして今回、日本で、しかも相撲、格闘技の聖地・両国で試合をするチャンスをもらって本当に最高なことだと思っている。プロレスにはデスマッチだとか、東京ドームでのビッグマッチ、後楽園ホールでの試合、いろいろあるが、そういったもののすべてを注ぎ込んだブラッドスポーツという場でパフォーマンスができることを非常にうれしく思っている。明日はどうなるかわからない。自分が生きて帰れるかわからない。戦いの本物の魂を見せて、日本中、世界中のファンにいいものを届けたいと思っている。明日、俺はマジックを起こすためにいると思っている。すべてのものを注ぎ込んで、それを表現する場をいただいたので、いいものを見せたいと思っている」

――IWGPのベルトを持っていることで注目度が上がっているが、IWGP王者として負けられない思いは?

▼モクスリー「もちろん新日本の王者として今まで歴代のチャンピオンだったり、新日本のレスラーたちだったり、かかわっている全ての人たちに恥じない戦いを常にしようと心がけている。靴を履いて家の玄関を一歩出たら新日本の代表であるという気持ちを一度も忘れたことはない。ただし、新日本が俺の父親ではないし、俺の人生をコントロールできるわけではない。誰かのために生きているのではなく自分のために生きている。もし俺のプロレスラーとしてのキャリアが終わって日が暮れるときには、自分がプロレスラーとして全てを出し切れたのかが一番重要だと思っている。プロレスラーである自分を誇りに思うし、何万人のうちの一人にしかできないことをやっているというのは確実だ。ただしプロレスラーだからどうするというのではなく、常に自分のために生きている。もしアントニオ猪木さんが生きていたとしたら、ジョシュ・バーネットが何なんだ、相手がどうとかではなく、今何ができるかが一番大事だ。絶対にそう言うはずだ」

――内藤とのIWGP戦を控え、過酷な戦いが続くが、コンディション面は問題ない?

▼モクスリー「コンディション面での不安は一つもない。俺は常にアクティブで体を作っていたい。それが最高の自分を作ると思う。内藤は本当のサバイバーだと思う。俺に似ている部分がある。ただ、今回でジ・エンドだ。ただ、今は目の前にあるものに集中していないといけない。まずはブラッドスポーツのことしか考えていない。内藤との対戦はその次だ。今ブラッドスポーツで一番大切なのはどれだけ集中できるかだと思っている。お前はもう死んでいる。本当は宮本武蔵のフレーズをカッコよく言いたかったな」

【会見におけるバーネット】

▼バーネット「明日は興奮とナーバスの両方の気持ちがある。選手としては非常に興奮しているし、プロモーターとしてはナーバスな面がある。選手が明日、最高のものを出してくれると思うので、それに期待するしかない。あとは試合が終われば全てがわかるだろう」

――相手のモクスリーはIWGP王者として出場するが?

▼バーネット「非常にチャンスだと思っている。プロレスで最強は誰かと証明するチャンスでもあるし、正式にそのベルトに挑戦する権利を得られるかもしれない。両方のチャンスがあると思う。ベルトというのは誰が持っているかが非常に重要なことで、今モクスリーが持っているが、彼はジョシュ・バーネットの強さを最大限に引き出してくれると思う」

――モクスリーの強さはどこにあると思う?

▼バーネット「モクスリーの一番のストロングポイントはネバーギブアップ、絶対にあきらめない心だと思う。どんなことがあっても簡単にあきらめないし、どんな最悪な状況になったとしても、少しでも前進していればチャンスがあると思っている。チャンスは与えられるものではなく自分でつかむものだということを彼はわかっていて、そこに向かって常に前に進んでいるのが彼の強いところだと思う。彼はレスリングのバックボーンがあり、技術が多岐にわたって素晴らしいと思う。どんな技を使うか予測がつかない。そんなところが彼の強いところだと思っている」

――自分をモビルスーツに例えると?

▼バーネット「いろんな武器を持っているという意味でケンプファーかな」

――プロモーターとしてどんな大会にしたい?

▼バーネット「もちろん大会は成功させたい気持ちが強い。視聴率も稼ぎたいし、ビジネスとして成功させたいという気持ちはある。ただしお金よりも一番大事なのは強いインプレッションを残して、もう一度見たいとたくさんの人が思うような大会にしないと意味がない。今まで見たことのないような大会にして人の心を動かす。この大会を見たことによって、その人のそれぞれの人生が豊かなものになって、やる気が満ちたり、心に火がついたり、そういったものにならないと意味がないと思っている」

――継続的に日本に根付かせたい?

▼バーネット「もちろん継続できるのであれば、ぜひやっていきたい気持ちはある。ただし毎月となると大変になるので、一度特別な大会として開催するのであれば、継続的にできるのではないかと思う。大きい会場でなくても十分だと思っている。何か特別なものとして継続できたらうれしい。プロモーターとして思うことだが、以前に前田さんとウィスキーを飲んでいて、外国人を一つの大会に呼んで試合をさせてみたいと話したことがあった。前田さんはそれは難しいんじゃないかということを言っていたが、いろいろなことを経て、それが明日、実現することになった。日本という国で外国人が大会をプロモートするのは面白い試みだと思うし、それに対して多くの企業が協力してくれたのも本当にありがたいことだ。この大会のことを聞いたたくさんの人々が賛同してくれて、これは面白いことになるとみんなが同じ方向を向いてくれたことに感謝している」

――昨日、猪木さんの展覧会で展示を見て改めて感じたことは?

▼バーネット「自分は誰かと比較して生きることはあまりしないようにしている。特に猪木さんは本当に偉大過ぎて自分が物凄くちっぽけに感じてしまう。昨日の展示会を見ても、本当に多くの功績を残されていて感動した。昨日はデイビーボーイ・スミスJr.、エリック・ハマーとともに行ったが、猪木さんの偉大さを再確認した。特に凄いなと思ったところは現代のようなネット社会ではない時代に、プロレスという新しいものを持ち込んで、若い人もそうでない人もすべての人がその面白さをしっかりと理解していた。そう理解できるものを表現していたのが本当に素晴らしいと思った。そういったことに自分もインスパイアされたし、猪木さんと今度会えるのは天国かもしれないが、天国で会った時、猪木さんの弟子として自分がどのぐらいのことをできたのか。その時に猪木さんに認めてもらえたらうれしいね」